【第9話】採取クエスト①
「あ、明日ですか」
「そうだ。別に野営をするわけでもなく数時間だ。特に用意は要らん。そういうわけで今日は解散だ」
急激に決まった外でのクエストに心が少し追いつかない。そりゃあ、もちろんいつかはくることだし、最終的にはダンジョンにも行くのだが。
考えても仕方ないので今日は早くに寝ることにした。
「おはよ、スウェロ」
「おはよう、アレン」
「今日は採取クエストだな。正直、少し緊張するな」
「俺も、同じだ。こういう初めてやることは、どこか心が抵抗する」
「まあ、次第に気にもしなくなるんだろうな。そうなれるよう頑張ろうぜ」
「そうだな。早く支度しないとな」
集合場所の教室には少し早く着いたが、待つというほどもなく全員揃った。
「一応、今日はモンスターが出てくる可能性がある所へ行くから、アレンとスウェロ、それとメティスは実剣を持っていくぞ」
「アタシは自前の短剣があるんですけど、それでもいいですか」
「ああ、あるならそれで構わん。慣れた獲物の方が良かろう」
俺とスウェロは学園の剣を借りていくこととなった。
「これが、実剣……」
模擬用の剣じゃあない本物の実剣を持つの初めてだ。軽く刀身を鞘から抜き出してみると、鉄の剣はいやに無機質で、冷たくて……思っていたより軽くて。月明かりの中、水面に反射した自分に見つめられたような気持ちだ。
「さて、支度も終えた事だ。採取に向かうぞ」
ダロス先生を先頭に学園をを出て、大通りを抜け、王都の正門から外に出た。これで正真正銘、冒険者として外に出たことになる。俺たちの夢に、一歩近づいた気がした。
「そう言えば、わかりやすくクエストと言ったが、今回は素材買取だ。特に今回集める予定の薬草はポーションに使われる種類だ」
前を向いて歩きながら話していたダロス先生が、良い事を思い付いたかのような顔をしてこちらに振り向いた。
「なぜポーションに使われる薬草は常時、買取価格が変わらないかわかるやつはいるか」
「ポーションは国が作っていることもあり、駆け出し冒険者の救済措置として値段を固定している、とかですかね」
「正解だ、スウェロ。逆にモンスターの素材なんかは需要や市場の在庫で価格が大なり小なり変動する。1級や王選なんかがダンジョンから帰った時は色んな素材の買取価格が下がりがちだ」
今後、素材買取をやるときには意識しておこう。少しの差が明暗を分けることもあるだろう。欲しい武器を買うのに少し足りないなんて目も当てられない。
それなりに歩いたが、モンスターがほとんどいない。王都近くの街道は王国軍が定期的に巡回している上、当然、冒険者の移動もあるからそっちに討伐されているのかもしれない。
とはいえ、一部のスライムみたいに積極的に人を襲わないモンスターはちらほら見かける。わざわざ討伐する意味も必要もないのだろう。
「お、見えてきたぞ。ここが今回採取を行う草原だ」
ダロス先生の指をさす方向には広大な草原が見える。この中から探していくのか……。




