俺、魔境を飛ぶよ!
「水で私達の体を浮かせてる感じなのかしら」
「本で読んだ船と言うものに近いのかもしれないな」
「水に浮かぶ仕組みを利用しているのかもしれないな」
「水に浮かばせて風で運ぶ・・・・色々出来そうね」
「川が有れば、物資の輸送が楽になるんだがな」
「川なんて、夢物語だろ」
俺達が引いてる水路を地表に出せば良いだけだから、川ぐらい簡単に作れるよ~水源は枯れる事が無いから、どれだけ川を引いても水が足りなくなることは無いしリオが制御してくれるから川が氾濫する事も無いね。今俺達が地面に水路を引いてるのは、単純に俺達が歩いてきた場所が全て川になったら生活しづらいかな~と思って地面に通してるだけだしね。
「今も夢みたいな状況だろ。努力すれば実現するかもしれないぞ」
「確かに」
「水路が出来たら本当に色々な事が楽になるし、発展もしやすくなるわね」
「うむ」
簡単に出来る事を教えてあげた方が良いんだろうけど、今はちょっと魔法を作るのに忙しいから後回し。あとは、風の魔法と星の魔法を少し使って~・・・
「よし、出来た!」
「出来たのか?」
「一体どんな魔法なのかしら」
「この短い時間で作り出すとは凄いなクーアは」
「多分これで大丈夫なはず!」
「・・・・」
アルベルドはあいまいな俺の言葉に頭を撫でるのを止めてしまったが、たぶん大丈夫だから安心してね。
「まずは、みんなを水で囲んで~」
俺は水の魔法でみんなの体の周りに水を作り出し包み込むと、中は水で満たされてしまったがみんなは水の中でも呼吸が出来るから大丈夫。
「本当に呼吸が出来るわね」
「不思議だな」
「全然苦しくないぜ」
「水の中って不思議な感覚だよな~浮いてるようで沈んでいるような感じでそして体が少し重くなってる」
次は~みんなに横になって貰おう。
「じゃあ、そのまま寝転がってみて」
「え?」
「大丈夫、大丈夫、水が支えてくれるから」
「そう言う事なら・・・・」
みんなは少し不安そうに徐々に体を倒していき、地面に手が付く前に水でみんなの体を浮かせまるで、水のベットに寝転がっているかのような状態となった。
「凄いな・・・・水で俺達の体を支えられるとは」
「しかもこれ浮いてるわよね」
「どうやってるんだ?」
「星の魔法でみんなの重さを軽くしてあるんだよ~」
体を軽くさせれば水で体を支える労力が減るし風で運びやすくなる。重さを変えるくらいだったら、そこまで魔力は使わないし雨に打たれてる間はどんどん魔力が回復していくから、ほぼ消費が無いんだよね。
「そうなのか・・・・ふむ」
「再現は・・・・無理そうね」
「軽い物ならいけるのではないか?」
「私達は水の加護を貰っているから、この中でも無事だけど他は違うでしょ?運ぶものにいちいち耐水を付けるのは大変だわ」
「水に濡れても問題ない物なら良さそうだな」
俺の魔法がみんなの役に立ちそうで良かったよ~この魔法で物を運ぶんだったら、風で作った方が楽だし水にも気を使わなく手も良いと思うよ。俺は水が得意だから、水で作ってるだけだからね。色々準備していたから時間が掛かっちゃったね。さて、そろそろ出発しようか!
「それじゃあ、出発しようか!」
俺も大地の上に浮き上がると、人の姿のまま風のような速さで先導しみんなを囲っている水を操り俺に付いてくるように動かす。そうすれば、横になっているだけ水は飛び回り風の影響も受けない。
「おおお」
「凄い!本当に飛んでるわ!」
「速いな!」
「すげぇ~!」
雨降る大地の上を裂くように飛んで俺達、あまりの速さに当たる雨が俺達に向かって飛んできているように見えるけど中に居るみんなはしっかり守ってあるから大丈夫。みんなの反応を見ると、恐怖心も無いみたいだしそろそろ、みんな中に飛んでもらおうかな。俺は飛びながら、後ろを振り向き
「じゃあ、そろそろ自由に飛んでも良いよ!体を傾けるだけで動いてくれるから、頑張って!」
「マジか!」
「ふむ・・・・」
「・・・・」
「出来るかしら?」
三人は突然を操作を渡させたことによって困惑していたけど、シャールクは目を輝かせながら体を傾ける事によって操り、上昇したり右に曲がったりと動かし始めた。
「すげぇええ本当に動かせる!」
「上手上手!」
俺は目を輝かせながら飛び回るシャールクと並びながら一緒に飛び回ったり追い駆けっこをして遊んでいると、それを見ていたウォルが動かそうとして、地面に当たりそうになってしまった。それが見えたので、俺はシャールクから離れウォルの元に行き
「大丈夫?」
「少し難しいな」
「これはね、頭で考えちゃ駄目なんだよ~もっと楽しんで!」
ウォルの体はがちがちに緊張しちゃって思うように動けてない。
「楽しむ?」
「そうそう!シャールクを見て、凄く楽しそうに飛び回ってるでしょ?」
シャールクは一番早く動かせるようになったので、空中を一回転したり急カーブしたりと凄く楽しそうに動かしている。
「これはね、自然に体を動かすように動かすの。仕組みとか難しい事は考えないで体を任せてただ動かしたい方向に体を傾ければいいの」
「自然に任せる・・・・」
俺の言葉を聞きウォルは深呼吸をして体の力を抜き目を瞑りながら、右に体を少しずつ傾けていくと水もそれに付いていき右に少し曲がってくれている。
「そうそう!」
「曲がってる・・・・なるほど」
目を開けたウォルはコツを掴んだようで、少し笑いながら徐々に水を操り自由に飛べるようになっていく。
「おお~出来るようになったみたいだね」
「あぁクーアのおかげだ」
ウォルが飛べるようになって良かったよ~、次はアルベルドだね。俺は飛べるようになったウォルから離れてぎこちなくしか動かせていないアルベルドの元に行くと
「大丈夫?」
「少し難しいな」
「アルベルドはね~水を意識し過ぎなんだよ」
アルベルドは自分の体を動かすことより、水を動かそうと必死なようだ。水は体の後に付いてくるから、まずは体を動かさなきゃ!
「手を広げてみて~」
「こうか?」
アルベルドは手を翼のように広げる。
「そうそう、それで手を鳥が飛ぶ翼だと思って!右に行きたい時はどうする?」
「翼を傾ける・・・・」
アルベルドはそう答えながら、手を傾けと自然と体も傾けられスムーズに右に曲がりながら飛んでいく。
「出来たでしょ~?水じゃなくて体を動かすんだよ」
「なるほどな・・・・」
アルベルドは左に曲がるために左に手を傾け曲がり左右を繰り返していくと慣れたようで手を広げなくても自由に飛べるようになってきた。
「ふむ・・・・」
よし、これでアルベルドは大丈夫だから最後はレイランだね。レイランは自由に動かせるようになってから一回も水を動かしてない。怖そうにはして無いけど、どうしたんだろう?
「レイラ~ン?」
「水を使って飛ぶなんて、思いつきもしなかったわ。昔から空を飛ぶための研究はされてきたけど、それは全て風の魔法を使っての物だった。火の爆風を使って飛ぶっていう研究は有ったけどそれも失敗に終わってたし、魔法で空を自由に飛ぶのは無理と言われてたのに・・・・・星の魔法は無理だけれど何とかして再現できないかしら?一人では無理でしょうから数十人の魔法師を集めて、一人に魔法を掛ければ一人を浮かせるくらいの水は作れるんじゃないかしら?・・・・駄目ね、一人を飛ばしたとしてもその後動かすことが出来ないわ」
あ~動かない理由は考え事をしていたからみたいだね。風の魔法を使っても飛ぶことは出来ると思うよ~まぁ大量の魔力が必要だけどね。真剣に考えてるみたいだから、そっとしておこっと。
こうやって俺達みんな空を飛んで雨が降り稲妻が落ちる魔境を順調に飛んでいく。途中魔獣達と出会ったりもしたけど、避けてしまえば俺達の速さに追いつける奴なんていない。すれ違いざまに魔法を撃ってくる奴も居たけど俺の守りを舐めないでね!
暫く飛んでいると考え事が終わったレイランが自分で動かして、飛ぶようになったけどシャールクと同じように最初からうまく動かせていたよ。俺は飛んでいるみんなと追いかけっこをしながら遊んでいると、急に視界が晴れ前には一面の砂漠が広がっている。
「あれ~?」
「凄いな魔境を抜けたぞ」
「ありゃ」
「あと3日は掛かるはずだったんだが・・・・」
「まぁこの速さで飛んでたら、そうなるわよね」
「太陽の位置的に今は1時くらいか」
「あぁ、少し休憩をしようか」
「は~い、じゃあ最後にあそぼ!」
雨を抜けちゃったから、自然から貰っていた魔力が無くなってどんどん魔力が持ってかれちゃってる。しかも、砂漠だから火の属性が強くて水魔法を使ってるといつもう以上に魔力を持ってかれちゃうんだよね。だから、最後に遊びたい!
「えぇいいわよ」
「勿論だ」
「何をするんだ?」
「おっし!遊ぶぞ~」
「ええへへ~じゃあ、付いて来て!!!」
俺はみんなの前に出ると、急上昇し空に向かって一直線に飛ぶ。みんなは俺が言った通り後ろを付いて来てくれる。この魔法だと天に昇るれる程高くは飛べないけどある程度は飛べる。
「凄い高さね・・・・」
「俺こんな高いところ初めて来たぜ」
「砂漠が綺麗だな・・・」
「それじゃあ、行くよ~~~!」
下を見下ろし地面が遠くに感じるほど高く飛んだあと・・・・・急降下!!!
「あはは!!!」
「これは、凄いな」
「待て~ク~ア~」
「捕まえてやる!」
地面に落ちていく間に一回転をしてみたり、みんなの周りを飛び回りそれをみんなが追いかける。俺達が飛んだ道は水の雫が空に舞い、昼間の砂漠に落ちる流れ星が空を掛け周っているかのよう。俺達は陽の光を受けキラキラと輝かせながら地面へ落ちていく。
ちょっといたずらしちゃおうかな~
俺はみんなが纏っている水を解除し、風の魔法をみんなに纏わせる。
「水が!」
「!!」
「大丈夫!飛べるよ!」
水が消えたことに驚いたみんなだが、さっきと同じように飛べることに気付くとみんなは顔を合わせた後頷き、俺を見ると
「まちなさぁああああいいい」
「いたずらしたなぁああああ」
「あははは」
みんなして必死に追いかけてくるから笑いながら逃げると、シャールクとレイランは後ろから追いかけ、アルベルドとウォルが挟み込まれて捕まっちゃった。
「えへ」
「えへっじゃないでしょ~」
「流石に心臓に悪いぞ」
「あぁヒヤッとしたな」
「クーアも捕まえたことだし、休憩にしましょうか」
俺達は地上に降り、日陰になる岩が有ったのでそこで休憩することにした。
読んで頂きありがとうございます!
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