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俺、魔境を進むよ!

俺達は今見たことも無い魔獣に襲われ走っていた。その魔獣は頭は獅子の顔と胴体を持ち尻尾には蛇、背中には気味の悪い角が生えた動物が生えている意味の分からない生き物でしかも魔法を使う。育った力の強い魔獣や魔物は魔法を使うことが有るけど、こいつの場合色々とでたらめだ。


「炎来るわよ!!!」

「ちっ!」


 アルベルドは後ろから迫る化け物の攻撃を防ぐために最後尾に立ち盾で攻撃を防いでくれている。先頭はウォル二番手はレイラン三番手シャールクが走りアルベルドのフォローをしている。迫りくる炎をアルベルドが盾で防ぎ、シャールクが矢を撃とうとしたが、化け物が暗闇を纏い一瞬で消える。


「あぁクソっ本当にうざいな!!!」

「右だ!」


 アルベルドが叫ぶとシャールクは叫んだ方向をみえ一瞬で矢を放つが、角が生えた不気味な生き物が叫び風の壁を作り出し矢を防いだ。


「クソっ」

「瘴気が来るぞレイラン!」

「任せてっ!」


 獅子の顔による攻撃が止み、尻尾が俺達を睨み蛇の胴体が膨らんだかと思うと、蛇の口から紫色の吐息が吐かれ触れた土が腐っていく。この攻撃は一度見た後少しでも触れると不味いと理解したので、レイランには何時でもこの瘴気を吹き飛ばせるよう、風の魔法を常に構えて貰っている。レイランの魔法で瘴気を吹き飛ばすた隙にウォルが化け物に仕掛けるが、また姿を消してしまう。


「何度も同じ手が通用すると思うな!!」


 アルベルドは盾に魔力を込め地面に叩きつけると、大地が波打ち姿勢を崩した化け物が姿を現した。


「そこか!シャールク!!」

「分かってるよ!!!!」


 シャールクは風と雷の魔力を込めた矢を六本同時に、角が生えた気味の悪い動物に向かって放ち対応するのが間に合わず直撃し


「ギィョェエエエエエ」


 と耳障りな叫びをあげながらぐったりと倒れたがまだ獅子と蛇が残っている。だが、こいつらはもう詰んでいる。何故なら


「フンッ」


 アルベルドが大量の魔力を込めた剣を振りかぶると、剣から風の斬撃となって化け物に襲い掛かった。もう化け物に防御手段はなくただその斬撃を、受け止めるしか出来ず化け物は上下真っ二つになり力尽きた。やっと終わった戦闘にみんなは立ち止まりふぅと溜息をつくと


「何だったんだこいつは・・・・始めて見たぞ」

「体が消え始めてるから魔物みたいね」

「アルベルドは知ってるか?」

「いや、全く知らない奴だ。対処法さえ分かってしまえば何とかなるが異常だな」

「なんか色々な生き物が混ざった感じだよね~」


 消滅し始めている化け物を俺はつんつんと突きながら言う。


「あぁ混ざりものみたいだな」

「こいつについて何も分かって無いし、取りあえずこいつの呼び名は混ざりものにしておきましょうか」

「りょ~かい、にしても三つの生き物が同じ体を共有してるとはな~」

「しかも別々に魔法を使うとは驚いたな。一番厄介なのは蛇の方だな。あれは近接殺しだ」

「あれ撒かれちゃうと、近づけなくなるのよね~」

「風で吹き飛ばせるのが幸いよね」

「風魔法を持ってない者は火魔法を使って爆風を起こしても良いな」

「弓を使ってる身からすると、あのヤギ頭が厄介だぜ」


 あの気味の悪い奴はヤギだったんだ。鳴き声も耳障りだし、闇魔法と風魔法を使うこの頭にシャールクは悪態ついてたもんね~


「姿を消すから狙いが付けれないし、矢は風の防壁で守られる。一人で相手する場合は、さっさとヤギとヘビを潰さないと駄目だな」

「あぁ残りの獅子の体も力は強いが攻撃は単純だから処理は簡単だ。次遭遇した場合はまず、ヤギの頭とヘビの頭を潰すことを優先しよう」

「はぁ、休憩も済んだし行きましょうか。クーア魔核拾っておいてちょうだい」

「は~い」


 魔獣と魔物の違いを簡単に言えば、体が残るか残らないかの違いだ。魔獣は、この大地で生活している動物や虫が汚染された魔力に晒されることによって体を乗っ取られ本能のままに襲い掛かる。あくまで体を乗っ取っただけだから、核を壊せば体は死体として残る。だけど魔物は汚染された魔力が集まったことによって核が生まれ、魔力で体を生み出して活動するのが魔物だ。体を魔力で作っているから核を壊せば体を保つことが出来なくなり霧散してしまって残るのは核だけ。

 だからこそ、こんな変な生き物が生まれたんだろうけどこんなのが何体も生まれたら大変だよ。しっかり浄化しておかないとね。俺は混ぜ物の核をポケットにしまい、また魔境を歩いていく。


「かなり走ってしまったけど、道は合ってるのかしら?」

「うむ、合っている。このまま真っ直ぐだ」

「はぁ・・・・先が見えないのは思いのほかストレスになるわね」


 俺達の周囲は常に真っ暗な砂嵐に囲まれているから、何処か暗い場所に閉じ込められているような閉塞感を感じる。風景も変わりが無いから、どれだけ進んだのかもわかりずらい。そして日も見えないから、時間感覚だって分からなくなってしまう。


「今は何時だろうな・・・・」

「恐らく十二時くらいだな」

「なんで分かるんだ?」

「腹だ」

「・・・・」


 アルベルドはこの魔境に入ってどれくらいの時間が経ったのかを、自分の体内時計で計っているみたい。腹の減りぐらいで昼だと真面目な表情で答えるアルベルドにシャールクはなんて言ったら良いのか分からない顔をした後


「じゃあ、そろそろ飯か」

「うむ、あと一時間歩いたら食事にしよう。この状況では時間感覚が分からなくなる、毎日同じ時間に食事をとり眠り起きる事によって時間感覚を正した方が良いだろう」

「分かった、タイミングはアルベルドに任せていいか?」

「うむ」

「じゃあ、あと一時間頑張って歩きましょうか」


 休憩時間になる一時間後まで、魔獣達の襲撃を退け足場に苦戦しながらも歩き続けているとアルベルドがいきなり止まり


「時間だ、ここで休もう」

「は~い」

「ふぅ」

「クーア、テントは出さなくて良いクッションだけ出してもらえるか?」

「は~い、防壁も敵が来ないように強くしておくね」


 みんなは地面に座り保存食を食べ始め、水分補給を始めた。今は魔法を使う事が無いから、風の防壁内の魔力を浄化するのを止めて風の防壁を強化して誰も入って来れないよう強化しておく。


「クーア、常に魔法を使ってるが大丈夫か?俺の魔力を使っても良いぞ」

「ううん、大丈夫。みんなは何時でも戦えるように魔力が有った方が良いでしょ?それに、どちらかと言うと、魔力の消費より制御の方が苦戦してるんだよね~」

「クーアが苦戦する程なのか」

「うん、この土地にある魔力が邪魔をしてくるから少し気を抜くと簡単に魔法が解除されちゃうんだよね~」

「俺達はクーアの守りの中以外だと発動する出来ないからな・・・・感謝する。だが辛くなったらすぐ言うように」

「そうよ、クーアの防壁は有り難いけど無くたって何とか進んで見せるからね」

「うむ、適度に休んだ方が良い」

「俺達に頼ってくれよな!」

「うん!」


 みんなが気を使ってくれるけど、俺の魔法が無ければネリアまで無事に到着するの大変だと思う。ここの空気にはかなりの汚染された魔力があるから、人間が長時間この中に居たら体の中に汚染された魔力が入って苦しむことになる。だからみんなを俺が守らないと。


 みんなは俺が守るから大丈夫だけど、先に出発した騎士団の人達は大丈夫かな・・・・ネリアまで最短で歩いても七日は掛かるとアルベルド言っていた。そんなにこの魔境の中に居たら、絶対汚染された魔力が体に侵入してしまっていると思う。魔力が高ければある程度は抵抗できるだろうけど、疲れている時に魔獣達の攻撃を受けてしまったら致命傷になる。


生きてさえいてくれば、俺が何とか出来るから俺達はネリアに着くまで頑張って!!!


 俺はアルベルドの仲間を助けるためにも、急いでこの魔境を抜けられるようにちょっとだけ無茶してでも頑張る事を決めた。

読んで頂きありがとうございます!

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