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俺、役立たずだったよ・・・・

 町長の家から出た俺達は町中がお祭り騒ぎになっていることに驚きながら、人々に見つからないように姿を隠しながらなんとか騎士団が泊まっている宿まで帰ってきて中に入ると


「「「「「「敬礼!!!!」」」」」」


 中に居た騎士さん達が俺達を見た瞬間一斉に立ち上がり、俺達に向けて敬礼をしてきた。そのあまりにも息の合った敬礼に、ビクッとしちゃったけど、アルベルドは動じることなく


「職務に戻れ」

「「「「「「はい!」」」」」」


 俺達はアルベルドの言葉で仕事に戻った騎士達の横を通り過ぎ、少し狭いけどウォルの部屋に集まると明日からの旅に必要な物資の確認を始め、食料に不足が無いか足りていない物が無いかと確認し、余裕をもって二週間ぐらいは持つ食料があるのを確認する。もし足りなくなったら俺が種を育てて食べれるものを作り出せばいいしね。

 確認していくと外はもう暗くなってきたが、お祭り騒ぎは収まって無いようで宿から出るのは止めた方が良いという事で食事は宿ですることにした。今日のメニューは、大きなステーキとジャガイモを蒸かしたものと、キャベツとニンジンが入った牛乳のスープそれを食べていると、ラーラが帰ってきた。


「おかえり~」

「あ、皆様お疲れ様です。相席してもよろしいでしょうか?」

「勿論だ」


 ラーラは食事を貰ってきて俺達の前に座るとちょっと疲れた様子だ。


「町の様子はどうだった?」

「お祭り騒ぎは収まりませんね。そこらかしこで宴が始まって酔っ払いも出てきてしまってます。ですが、悪い騒動では無いのでそこまで規制はしてません。騎士達も出払ってしまってますが、抑えられないほどじゃないですからね。暫くの間騒ぎは続くと思いますが、めでたい事なので規制はしませんよ」

「ふむ、迷惑をかけるな」

「いえいえ、私達の仕事ですから。それに悪い事をした訳じゃないんですか胸を張ってください」

「感謝する」

「ありがとね~」

「はいっ!!」


 ウォルとアルベルドと話してる時は普通なのに俺が話した途端動きがぎこちなくなるラーラ。少しは慣れてくれたかな~と思ったけれど、オアシスの件でより緊張するようになっちゃったみたい。


「俺達は明日にはここを出る。あとの事は頼むぞ」

「えぇ任せて下さい」


 俺達は食事を食べ終わり、夜更かしをすることなく眠りに就きまだ日が昇ったばかりでまだ薄暗い時間に起きた俺達は他の騎士が起きないように静かに部屋を出る。広間にはラーラが出迎えてくれたが他の騎士の姿は無い。


「お見送りぐらいはさせてくださいね」

「あぁ」

「ちなみに外には町長が待ってますよ」

「まぁ居るわな」


 俺達は苦笑いをしながら外に出るとキラキラした顔をしているシャリンが出迎えてくれて


「おはようございます!」

「あぁおはよう」

「おはよ~」

「この時間なら人々は寝てますから、騒ぎにならずに出て行くことが出来ますよ。本来ならこの町の恩人を住民総出で見送るべきなのですが・・・・」

「流石にそれはな・・・・」

「えぇとんでもない騒ぎになってしまうでしょうね」


 只でさえ俺達の姿が見えない間でもあの大騒ぎだったのだ、もし俺達の姿を見たらどうなることやら・・・・俺達は苦笑いを浮かべながら、もしもの事を考える。


「ですから、私だけで見送らせて頂きますね」

「皆様お体には気を付けて、あと恐らくあの人達なら大丈夫でしょうが第三部隊のことお願いしますね」

「あぁ、やらかしてないかしっかり確認するとしよう」

「そっち!?」


 シャールクがアルベルドの言葉に驚いたが、ラーラは頷きながら


「第三部隊は手練れで騎士団の中でも優秀な者揃いなんですが問題児も多くて・・・・」

「コーネスが常識人なだけマシだがな」

「あの人も別な意味で問題ですけどね」


 ラーラとアルベルドは第三部隊の人々を知っているから大きくため息を吐いているが、俺達はよく知らないので頭を傾げるばかり。まだ見ぬ第三部隊の人達を想像し、期待と不安半々を抱えながら俺達はシャリンとラーラに見送られサイドの町から出てネリアへ出発した。

 歩いて一時間ほど経ったが、俺達がサイドまで歩いて来た道とそんな変わらないけどこの様子だったら何の問題もなくネリアに歩いて行けそうだけど・・・・シャールクもそう思ったのか先頭を歩いているアルベルドに


「全然魔境って感じしないんだが・・・・どうなってるんだ?」

「まだ、入って無いからな。見ろあれだ」


 俺達は砂丘を登っている途中だったが、登り切ったアルベルドが指を差した方を見ると、


「うわっ・・・・」

「どうなってるんだあれ」

「不思議だな、普通であればここまで砂嵐が来るはずなんだが」

「何かしらの魔法が掛かってるのかしら」


 砂丘の上から見えた光景はある場所を境にして、どす黒い砂嵐に包まれ先が一切見えなくなっている魔境という言葉が正しい場所だった。どす黒い砂嵐は天高くまであり空を隠してしまう程、時折砂嵐の中には稲妻が走りとてつもなく大きな岩が常に浮いている。


「とんでもないな・・・・」

「よくアルベルドはここを抜けてこられたわね」

「いや、俺の時はここまで酷くなかった。砂嵐の色もそこまで黒くなかったし稲妻なんて無かったんだが・・・・聞いた以上だなこれは」

「なにがあればこんな風になるのかしら」

「あの大地にある魔力が原因だと思うよ」


  魔境はここからでも分かる程、強大な魔力に包まれ自然に干渉している。そのせいであんな環境になってると思うけど・・・・


「取りあえず近づこう。そしてクーアの力で早く抜けてネリアへ急ごう」

「そうだな」

「えぇ」


 俺達は魔境と砂漠の境界線まで歩き目の前に来たが、なんでここで区切られてるんだろう・・・・不思議だ。


「それじゃあ行くぞ」

「えぇ」

「クーア頼んだ」

「は~い」


 俺はみんなと一緒に魔境へ入り、空を飛ぼうとと思ったが入った瞬間全身を魔境を包む魔力に襲われ、立っている事も出来ない程の気持ち悪さを感じ倒れてしまった。


「クーア!?」

「急ぎ出るぞ!」


 倒れてしまった俺に驚きながらウォルは素早く俺を抱きかかえると、急いで魔境から出た。魔境を出たことによって少し落ち着いたけど、ふらふらしている俺を心配そうに覗き込むみんな。


「どうしたんだ!?」

「大丈夫か?気持ち悪いのか?」

「痛いところはある?」

「魔力が足りないのか?俺の魔力を使うか?」

「ん~大丈夫~少し気持ち悪いだけ」


 俺は暫くの間ウォルに抱えられながら休み、何とか自分で立てるぐらいには回復すると俺が倒れた理由をみんなに説明した。


「ここ、色々な魔力が大量に乱れまくってるんだ。だから自然が荒れるしこんな魔境になってる。俺は魔力の影響を受けやすいから、いろんな魔力が体の中を暴れまわっちゃって倒れちゃった・・・・」

「大丈夫?」

「うん、もう大丈夫。だけど、この魔境汚染された魔力が大量にあるから魔力の影響を抑えながら、浄化し続けて行かないと駄目だね。火と雷の属性も強いから俺との相性が悪いし、空を飛ぼうとしたら魔力がかき乱されて魔法が使えない。だから、空を飛んで通り抜けるのは無理そう・・・・ごめんね」


 うぅ~折角みんなが頼ってくれたのに答えられないなんて自分が情けないよ・・・・


「いや、クーアのせいじゃないさ」

「うむ。空を飛べないなら計画通り歩くだけだ」

「そうね、元々歩きでここを通り抜けるつもりだったんだから」

「みんなを守る風の防壁ぐらいだったら出来るから任せてね!」

「ありがとなっ」


 空を飛べなくなっちゃった以上他の事で役に立たないとね!


「少し休んだ後もう一回入ってみよう」


 俺が完全に回復するまで待ってもらい、もう一度俺達は魔境へ挑戦した。

読んで頂きありがとうございます!

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