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俺、サイドの町でご飯を食べるよ!

 笑っていると、扉が開かれ中からウォルが出てきて笑っている俺を見て


「どうしたんだクーア、楽しい事でもあったか?」

「ううん、何でもない!」


 何でもないと言いながらクスクス笑ってる俺にウォルは、アルベルドを見るけど知らないと首を振る。その様子も可笑しくて、声を上げて笑っちゃった。その様子に二人は顔を見合わせて首を傾げる二人。そんな事してると、後ろから


「どうしたんだ、そんな楽しそうにして」

「あっシャールク!今日は起きれたんだね」

「おう、流石にこんなに賑やかじゃ目が覚めちまうぜ。それで、ウォルの部屋の前で何をそんな笑ってるんだ?」

「いや、それが分からないんだ」

「突然笑いだしてな」

「?どうしたんだクーア」

「あはは」


 俺を見て首を傾げるシャールク。シャールクはどうしたのかとアルベルドとウォルと顔を見合わせてるけど、二人も笑っている理由が分からないから首を振るだけ。隠すようなことじゃないけど、教えてあ~げない。


「まぁいっか、さっきレイランに会ったけど先に食堂に行ってるって言ってたぞ」

「そうか、俺達も行くとしよう」

「ごはんだ~」

「さっき騎士達が話していたが、ここの飯は美味いらしいぞ」

「おっマジか。久々にちゃんと飯が食べられそうだな」


 シャールクはうきうきと尻尾を揺らしながら、食堂へと歩き出しウォルとアルベルド、俺もそれに続いていく。砂漠に居る間は、食べられるものが限られるし、食料だって節約しないといけない。水は俺が何とか出来るけど、食料は俺がポケットに入れた分とみんなが持ち込んだ保存食ぐらいしかない。

 旅の間は交代で朝昼夜のご飯を作ってるけど、外だとそこまで凝った料理を作れる訳じゃない。だから、肉の丸焼きとか味の薄いスープ、固いお肉ぐらいしか食べられないから、シャールクは嬉しそう。皇都から持ってきた食糧はまだあるけど、ボロスで補充が出来なかったからかなり節約して砂漠を越えて来たからね。俺は食べないから、大丈夫だけど人間は食べないとね。


「おっ良い匂い!パンだな」

「相変わらず鼻が良いな」


  昨日入った広間が食堂となってるみたいだから、そこに行くともう騎士達が沢山居て入ってきた俺達を見ると朝ごはん食べていたり、話していたりした人も一斉に達が上がり敬礼をする。


「わお」


 一斉に動き見られたことに驚いて、俺は飛んでアルベルドの陰に隠れると俺にも視線が集まってしまった。やっぱり人前で飛ぶと、どうしても注目されちゃうんだよね~・・・・だけど、この体だと歩幅が短いし飛んだ方が楽なんだよね。アルベルドとウォルは顔を見合わせると、苦笑いをした後騎士たちの方を見て


「畏まる必要は無い、普段通りにしろ」

「俺は皇子だが、此処に居る間は一般人みたいなものだ気にしないでくれ」

「「「「「はいっ!」」」」」


 勢いよく返事をしてくれたのは良いけど、一切敬礼の姿勢を崩そうとしない騎士達にどうしたものかと、頭を掻くウォル。何言っても駄目そうだな~と思ってたら


「はいはい、みんなそんな風に立っていたらウォル皇子達の邪魔になるでしょ?副団長も普段通りにすることを望まれているんだから、いつも通りにしなさい」


 ラーラが手を叩き、騎士達に言うと敬礼の姿勢を取っていた騎士達は少しずつ席に戻り、俺達に集中していた視線は段々外れて行った。ラーラは俺達の所へ行くと


「部下が失礼しました」

「いや、いきなり現れた俺達が悪い。この後色々と話したいことが有るんだが、時間はあるか?」

「勿論です」

「うむ、それでは後程」

「お食事ご一緒してもよろしいでしょうか?」

「うむ、俺は構わないが」

「歓迎しよう」

「俺も大丈夫だぜ、だけどその前にレイランを見つけないとな」

「ここに居るわよ」


 声がした後ろを振り向くと、そこには呆れたような顔をして立っているレイランが居た。


「ウォル皇子とアルベルドが揃うと目立つわね」

「む・・・・」

「俺達を知っているところだとどうしてもな」

「それでは、お席へ案内しますね」


 レイランとも合流出来たのでラーラの案内で席に着くと、


「今日のメニューは豆と野菜のスープとパン、牛の蒸し焼きです。カウンターで注文するとよそってくれるのですが、私が取ってきますね」

「いや、そこまでする必要は無い。今の俺はここで世話になってる身だ、自分の事は自分でしよう」

「うむ」

「そうね」

「おう、クーアも食べるか?」

「ん~フルーツの気分だから大丈夫!」


 そう言ってみんな席を立ちカウンターへと向かっていた。ラーラは全員分持ってくるつもりだったみたいだけど、みんな自分の事は自分でやっちゃうからね。遅れてラーラもカウンターに行き、みんなが持ってきた料理はまだ湯気が出ていて暖かそうだ。


「お~美味そうだな」

「うむ」

「久々のちゃんとした食事ね。しっかり食べておかないと」

「ここの食事は美味しいって部下たちに評判なんですよ」


 みんな食事の挨拶をすると、冷めないうちに食べ始めた。豆と野菜のスープは、ミルクで煮たスープで野菜はトロトロになっていてみんな美味しそうに食べている。


「くぅ~美味いな」

「うむ、野菜があるのが嬉しいな」

「はぁ~沁みるわ」


 パンをスープに付けたり、お肉をパンの上に載せたりして色々な食べ方を試し食べ進めていくみんな。俺はポケットからウォルに買ってもらったデーツのドライフルーツをパクパクと食べていると、ウォルが


「一口食べるか?」

「ん~じゃあ貰う!」


 みんなが美味しそうに食べていたスープを一口食べさせてもらったけど、ミルクに野菜の旨味がしっかりと溶け込んでいて見た目より味がしっかりしていた。豆も野菜もしっかり煮込んであるから、トロトロで口の中溶けるように無くなっちゃった!


「美味しいね!」

「それは良かった。もっと食べるか?」

「ううん、大丈夫」


 これ以上貰ったらウォルが食べる分が無くなっちゃうし、俺は食べなくても平気だからね。食べなきゃいけない人が食べないとっみんなはどんどん大量に盛られた食事を食べていきあっと言う間に食べ終わってしまった。


「本当に美味しかったわ~ここに居る間はお世話になろうかしら」

「だな、短い間しか居ないだろうけどその分堪能しないとな」

「それでは、執務室として使っている場所にご案内しますね」

「あぁ頼む」


 食べ終わった俺達はラーラの後に続いて広間を出ると、大きな部屋へと案内された。


「ここは大人数用の宿泊室なんですが、一時的に執務室として使わせて頂いてるんです。申し訳ありませんが全員分の椅子が無いので、床に座って頂くことになってしまうんですが・・・・」

「構わない、椅子より床の方が楽だしな」

「クーア、クッション出して~」

「は~い」


 俺は人数分のクッションを出して、みんなそれを敷いて床に座った。床にはふかふかのラグが敷いてあるから、クッションが無くても大丈夫だけど一応ね。俺達は横一列になって座ってその正面にラーラが座る。そして、真剣な表情になると


「それでお話というのは、何でしょうか?」

「その前に、皇都から文は届いているか?」

「いえ、届いてませんね。副団長そしてウォル皇子直々にいらっしゃるなんて何か有ったのでしょうか?」

「ふむ・・・・文は砂嵐で邪魔されたのかもしれないな」


 この国では魔法で文を届けている。どうやるかと言うと、文を鳥の形に折りそれを風の魔法を使って送り出す魔法なんだけど、この魔法単純に見えてとても難しく自然環境の影響もかなり受けてしまう魔法なんだよね。遠くの場所まで風を届かせるには、届け先の場所までの道のりをしっかりと覚え想像できないと風を送れないし、そもそもそんな長距離まで届く風を作り出すのが無理だ。だから、文を送れる人はとても貴重なんだって。しかも、風の影響や雨の影響も受けてしまうから、魔力が宿ってる紙を使って紙自体を守るんだけど実際に届くのは5割ぐらいの確率なんだ。今回は俺達が遭遇した砂嵐によって文が邪魔されたのかもしれないね。


「砂漠地帯は元々砂嵐の影響で文が届きづらい。仕方ない事だが、何か改善しないといけないな」

「それは魔法師団でも課題になってるけど、なかなか上手くいかないのよね~」

「アルベルド、レイラン話がズレている」

「すみません」

「ごめんなさい」


 アルベルドとレイランが文の問題点を話し始めようとしてしまったので、ウォルがそれを止めまた最初の話の続きを始めた


「文の内容だが、簡潔に言えば砂漠地帯に水を作り出す手立てが出来たことだ。そして、その手立てと言うのが我々だ」

「・・・・どういうことでしょうか?水を作り出す手立てが出来たというのは大変喜ばしい事なんですか、手立てが皆様というのは?」

「俺達が水を探して旅しているのは知ってるな?」

「はい、勿論です」

「その旅の途中エルディラン様の遺物を見つけてな、その遺物を使えば無から自由に水を作り出し、水源をも作ることが出来るんだ。俺達だけでは無理だが、水の精霊のクーアが手伝いがあればな」

「精霊!?」

「やっほ~よろしくね!」


 俺が浮いてる所を見ても驚かなかったのに、精霊ってところは驚くんだね。

読んで頂きありがとうございます!

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