俺、砂嵐に巻き込まれるよ!
王都を出てはや四日、俺達は鎮魂の地の近くにあるネリアという町を目指しまずは中継地点となるボロスという町を目指して歩いていた。
「む~人影一つ無いね。町の姿も無いし」
「こっち側は殆ど砂漠と化してしまってるからな、どうしても人が住める場所は限られてくるんだ」
「ボロスまで町は無いと考えた方が良いぜ、レイランこっちの方角で合ってるんだよな?」
「えぇ、間違いないわ」
みんな長い距離を歩いているけど、そんなに疲れはたまって無さそう。こんな長い距離を移動するためにみんなには、賢くて逞しく頼りになる相棒となる馬が居るんだけど、この旅には連れてきていない。何故かというと、この大地が原因だ。
「何処見ても一面砂の山だね~・・・・」
「景色に変化が無いから、知識が無く砂漠に入ったらあっという間に迷子になっちゃうのよ」
「うむ、生きて帰りたければ砂漠の案内人を付けるのが常識だな」
「えっでも俺達は?」
「俺達の案内人はアルベルドだ。白風の一族の町は砂漠地帯に密接しているから、砂漠の事をよく知ってる」
「うむ、責任をもって案内しよう。シャールク横に行き過ぎるな、此処は砂が緩いから滑り落ちるぞ」
「おっとあぶねぇ」
そう、馬を連れてきていない理由はこの砂漠が原因だ。俺達が初めてあった場所にも砂漠化した場所はあったけど、ここまで大規模じゃなかった。だから、馬でも進めたしひび割れしていてもしっかりと踏める大地だったから大丈夫だったんだけど、此処は馬が進むには足場が悪すぎる。
そして、何より問題なのは水だ。水なら俺が出してあげれるけど、もし離れ離れになった時大変だし相棒である馬にそんな過酷な事はさせられない。だから、歩いてるんのだよね。だけど、此処は人間が歩くには中々過酷だ。空からは絶え間なく陽射しが降り注ぎそれが砂に反射しキラキラと光る様は綺麗だが異常な暑さを生み出している。乾燥した風が吹き続け時折砂と一緒に襲い掛かる。
俺達が歩いた場所は、水を通しているけど砂が多すぎて植物は生えてこない。
「む~こんな砂だらけの場所初めて来たよ」
「はは、普通はこんな過酷な場所には来ないからな。クーアのおかげで、歩けてるが居なかったらと思うと・・・・」
「暑さが凌げてるだけマシですね。皇子やシャールク、レイランも砂漠を有るのは慣れて来たんじゃないですか?」
「少しな、だがまだこの足場の悪さは慣れない」
「砂の上を歩くのってこんなに体力が必要だったのね・・・・」
「獣の姿の方が歩きやすいと思うが流石に肉球が火傷しちまうな」
流石にこの暑さで歩いていたらみんなが大変だと思って、みんなの周りに俺がいつも使ってる空気を冷やす魔法を掛けておいたのだ。この魔法はみんなの動きと一緒に動くからどれだけ動いても大丈夫。
「あとどれくらいでボロスに着くの?」
「あと三日ぐらいだな、そこから五日かけてサイドに行きそこから七日掛けてネリアだ」
「うへ~時間掛かるね」
「これでも、人数が少なく荷物も少ないから早い方だぞ」
アルベルドが答えてくれたけど思ったより時間掛かるね。ネリアって二番目に鎮魂の大地に近い場所らしいけど、そこから鎮魂の地まで行くのにどれくらい時間が掛かるんだろ。
「ネリアから鎮魂の大地ってどれくらい」
「十五日だな」
「うへ~」
「長いが仕方ない一歩ずつ確実に近づいていくしかないな」
そんなに掛かるのか~これから先が大変だ。ただ歩くだけなら、何とかなるかもしれないけど、この砂漠には多くの俺達を歓迎しない者達が居る。そいつらは突然地面から現れるから油断できないんだけど・・・・
「話してるところ悪いけど、右前方三体来るわよ!!!」
ほら、来た
砂柱を上げながら地中から現れたのは、この砂漠の厄介者であるワームだ。このワームは砂の下に潜み通りがかった獲物に襲い掛かる厄介なハンターで、その見た目もとても気持ち悪い。太く長い胴体に胴体と同じくらいの大きさを持つ大きな口、種類によっては胴体に模様やトゲトゲが付いてたりする。こいつらは、魔獣じゃないんだけど数がとても多いってアルベルドに教えてもらった。この旅の四日間何度も襲われたから、もう嫌!
「二体は俺が処理する、ウォル、シャールク近づくときは足場に気をつけろ、砂に足を取られるなよ」
「分かった」
「分かってる!」
「レイランは二人の援護を、クーアは俺達が危なくなったら頼みます」
「は~い」
そう言うとアルベルドは勢いよく地面を蹴り、風のような速さでこちらに向かってくるワームの一体の胴体を切り裂いた。
「行くぞ!」
「おうよ」
「足止めは任せて」
まず、レイランが水の魔法で水で縄を作り出しワームを拘束した。ワームはその拘束から逃れようと、体を大きく動かすがその隙を逃さずシャールクは雷の矢をワームの全身に撃ち込み、キィイイイイイイイという不快な鳴き声を上げながら悶え苦しむワーム、高く飛んだウォルが首を両断した。このワームの気持ち悪いところの一つが、この頭を切った後なのだ、
「うえ~」
頭を切ったのに、暫くの間体は動き続けるのだ。ウォルは動き回る胴体に、巻き込まれないよう俺達の所に戻り暫くワームは動き続けたがアルベルドが二体片付けて帰ってくる頃には動かなくなった。
「クーアはワームの事嫌いだな」
「うん、俺気持ち悪いって感じたの初めてだよ・・・・なんか色々と無理だね」
「砂漠に住んでいる者達もワームは嫌っているな。食べる所は色々あるんだが・・・・」
「いやぁああ聞きたくない!!!」
初めてワームが出て来た時聞いたけど、場所によってはワームを食べる事もあるみたい。大きく肉もいっぱいで貴重な食料になるとアルベルドに聞いた時ぞっとしたよね。俺は絶対に食べないからね!!!
「まぁまぁ、邪魔者も片付けたことだし早く行こうぜ」
「うん、そうしよう!もう見たくない!」
俺はさっさとこの場から離れたかったので、みんなの背中を押し急かす。やれやれという感じでみんな歩き始めたけど、どうせまたこいつら襲ってくるんだよね~・・・・もう、地面全てに水を通して駆逐しちゃおうかな。・・・・いやどんな生物でも、それは良くない。良くないのは分かってるけど~
また襲ってくるだろうワームに頭を悩ませてると、アルベルドがいきなり止まり
「む・・・・この風は・・・・良くないな」
「どうしたんだアルベルド」
「みな、もうすぐ大きな砂嵐が来る。何処かやり過ごせる場所を・・・・無いな」
アルベルドは焦ったように周りを見渡すが、俺達全員が隠れられそうな場所は無い。
「俺が風の壁作ってあげようか?」
「それが良いな、クーア頼む」
「は~い」
俺はみんなを包み込むように風の壁を作り出して、少しするとアルベルドが言ったように大きな砂嵐が前方から迫ってくる。
「うわ~凄い」
「砂漠の砂嵐は恐ろしいって聞いてたけどあれはヤバいな」
「とても大きいな・・・・」
「あれに飲まれたら大変なことになってたわね」
砂嵐が俺達の元まで辿り着くと、あっという間に周囲が見えなくなり砂色に景色が染まった。俺の風の壁は周りが見えるようにしてあるけど、砂が凄い速さで空を飛んでいる。
「おお~凄い」
「砂嵐は風も脅威だが、飛んでいる砂が体を傷つけていくんだ。視界も無く闇雲に進めばあっという間に、道を見失ってしまう。もし、砂嵐に遭った場合岩場の陰に隠れるか体を何かで包み込み砂嵐をやり過ごすんだ」
「俺の風の壁なら大丈夫だし歩く?」
「いや、先が見えないのに歩くべきでは無い。この砂嵐に乗じて魔獣が現れるかもしれない、視界が制限されている状況では大人しく待つのが得策だ。それに、ここまで大きな砂嵐だと地形も変わってしまうな」
「じゃあ、テント出すね」
「そうだな、暫くの間この砂嵐は続くだろう」
俺はポケットの中から皇都で買ったテントを取り出し地面に置き、みんなで暫くの間休憩することになった。
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