俺、皇都を歩くよ!4
お姉さんに案内された場所は大きな倉庫になっており、入り口にあったお店の様相とは異なっていて色々な物が箱の中に整理して置いてある。箱の中身はナイフだったり、食器やロープ、服など多種多様だ。倉庫には品物を守る兵士さんが巡回していて、店員さんも品物を確認したりと忙しそうだ。
「それで、旅にに必要な物ですよね。砥石から水袋、ロープに魔道具何でも揃えてありますよ」
「助かる」
「ここら辺の物は好きに見て下さって構いません。もし品物が見つからなかったら私か父を呼んで下さればご案内します」
「分かった。各々揃えるとしよう」
俺はお金を持っていないし欲しい物も無いので商品を見る必要は無い。此処には色々な物が置いてあってみんなにとっては便利な物だけど、俺は魔法で何とかなるから要らないんだよね。だけど旅に必要な物って何だろう?気になったのでウォル達が何を買おうとしているのか見に行くことにした。
ウォルは金属の物が多く並んでいる場所で棚を見ている。
「ウォル~何買ってるの?」
「あぁクーアか。投げナイフを買いに来たんだ」
「何に使うの?」
「魔物に投げたりウサギなどを仕留めるのに使うな。基本消耗品だから、ここで大量に買ってるんだ」
「魔法でナイフ作ったりすればいいんじゃない?」
「魔法は魔力を使うだろ、小さな獲物に毎回魔法を使ってたんじゃ効率が悪い。それにまだ魔法をそこまで上手く使えていないからな、慣れているナイフの方が良いんだ」
「そうなのか~」
「ここは、あまり面白くないだろ?あっちでシャールクが色々買ってたぞ」
「分かった行ってくる~」
ウォルが指さした方は布や革、魔道具なんかが置いてある場所だった。置いてある商品からは魔力を感じて、キラキラと光ってる物もある。それをシャールクは真剣な表情で見ていた。
「シャールク~何見てるの?」
「ん?色々だぜ」
「例えば?」
「寝袋がボロボロになって来たから新しいのにしようと思ってな。それと、テントもそろそろ新しくした方が良いだろ。着火の魔道具の補充と油も買わないとな」
「お~いっぱいだ」
「自分で言うのもなんだが、此処には国中の物が集まってくるから良い物が多いんだ。どうしても使ってるとガタが来るからな、買える時に買い替えておいた方が良いんだ」
「ほうほう」
「あとは、毎年新しく便利な魔道具が出るからそれの確認だな。ほら、これとか置いとくだけで涼しい風が出るんだぜ」
「お~・・・・魔法で良くない?」
「それを言ったら、何でもだろ?」
「確かに!」
「俺達は万能の存在じゃないから、出来ないことが沢山ある。だから、それを補うために色々道具を買って準備をしておくんだ」
俺だったら大体の事は魔法で解決できるけど、みんなはそうじゃない。だから、色々買っておくんだね。色々な物を俺視点で考えるから要らないと思っちゃうけど、みんなから考えれば必要な物ばかりなんだ。要らない物って決めつけてみるのは良くないよね。
「お~じゃあ、これは?」
俺は蓋に穴が開いている小さな壺みたいな物をシャールクに見せる。
「それは香炉だな。中にハーブを入れてこボタンを押すと、色々なお香が炊けるんだ」
「へ~・・・・旅にどうやって使うの?」
「普段は家で使って安らぐための物なんだが、この中に獣避けや虫除けのお香を使うんだ。これなら、火傷することが無いし、地面においておけるから便利だぞ」
「そんな風に使うんだ~」
「旅を想定して作られていない物でも、使い方次第じゃとても役立つものになるんだ」
「シャールクは凄いね!色々考えてるんだ」
「旅は予測不能な事も起きるから常に準備しておかないな」
シャールクはそう言って棚に置いてある商品を次々と手に取り詳しく確認し始めた。その表情は真剣で邪魔するのは悪いかなと思った俺はチラッと見えたレイランの所に行くことにした。
「レイラン~」
「クーア、どうしたの?」
「何買ってるのか気になった!」
「なるほどね、今見てるのは保存食よ」
「あ~みんながよく食べてるやつ」
レイランが見ていたのは乾燥してカッチカチになったお肉やこれ食べれるのと思うほど固いパン。それに、瓶詰になっている野菜やジャム。どれもそんなに美味しくなさそう・・・・
「魔獣は何処にでも湧きますが、食べれる魔獣が何時でも現れるとは限りませんから必要な物なんです。人間は飲んで食べないと死んじゃいますからね」
「それ、美味しいの?」
「・・・・工夫すれば少しはマシですよ」
レイランは何処か遠くを見ながら言った。どうやら食べてるみんなもそこまで美味しくないと思ってるみたい。いくら俺でも植物を実らせたりすることは出来るけど、お肉を作り出すことは出来ない。旅の間は何度も襲われたけど食べれない魔獣さんが多い。食べれる魔獣さんなら大歓迎なんだけどな~
「そっか・・・・」
「でも、ドライフルーツは何時食べても美味しいわよ。たくさん買っておくから、楽しみにしておいてね」
「は~い」
レイランはそう言って色々な種類のある保存食を選び始めた。ドライフルーツってこんなにいっぱい有るんだね~果物は美味しそうだけど、その見るからに固そうなパンはお断り!アルベルドは何を見てるんだろ?
レイランから離れてアルベルトを探しうろうろしてると、大きな牙が置いてあったり大きな頭の骨が置いてあって他とは雰囲気が全然違う。そんなちょっとおどろおどろしい場所にアルベルドは居た。
「アルベルド~」
「ん?クーアかどうしたんだ?」
「何買ってるのかな~って、ここ何?変な物ばっか置いてある」
「ここは魔獣の素材を置いてあるんだ」
アルベルドはそう言って、俺を抱き上げ肩に乗せると
「ベルべラン商会は、魔獣素材の買取もしているから色々な物が集まってくるんだ」
「魔獣の素材なんて何に使うの?」
「用途は沢山ある。例えば、この牙は優秀な武器になるし、鰐の革は丈夫かつ防水に優れている。魔獣の素材は魔力の影響を強く受けているから、何かしらの特徴を持っているんだ」
「へ~アルベルドは何を買ったの?」
「蜘蛛の糸で作られた服と鰐革のブーツ、それと鉄蜥蜴の鉱石だ」
「蜘蛛の糸?あのベタベタするやつ?」
「魔獣の蜘蛛の糸を加工すればあのベタベタは無くなるんだ。この糸はとても丈夫で軽く戦士からは愛用されているほど人気なんだぞ。数が少なくて中々買えないが持ってなければ必ず買っておいた方が良いものだな」
「お~そうなんだ。それで鉄蜥蜴ってなに?」
「鉱物を食べる大きな蜥蜴が居るんだが、鉄を多く食べた蜥蜴を鉄蜥蜴というんだ。この蜥蜴は食べた鉄を体の中に蓄え鉄を圧縮していくんだ。その鉄は、錬成鉄と呼ばれ武器にすると、最高の剣が作れるんだ」
「そんな不思議な蜥蜴さんいるんだ。じゃあアルベルドはそれで剣作るの?」
「いや、これは俺が不在の間騎士団を支えてくれた同僚に送る物だ」
「おお~プレゼント!良いねっ」
俺は魔獣の素材が色々な物に使えると聞いて興味を持った俺はアルベルドの買い物が終わるまで一緒に素材を見るのであった。
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