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俺、星空を見るよ!

 リオの乱入によって、お話がズレちゃったけどしばらくの間俺は精霊として紹介されることになった。折角来たんだからリオも食事に誘ったんだけど、精霊はものを食べず魔力だけで生活するらしい。


「リオって何処にでも行けるの?」

「主の水が有る付近ならどこでも行けるぜ!」

「お~凄い!」

「主の水が広がれば広がる程行ける場所が増えるし強くなっていくんだぜ」

「精霊様が国全体に影響を・・・・有難い。エリク、精霊様が住める環境を整えるようにしておくように」

「はっ」


 リオは思っていたより強いみたい。俺も水を辿って行ったり、空間魔法を使えば一瞬で移動できるけど、リオの移動は違うみたい。さっき来た時も全く気付かなかったし。


「みんなリオの事を有難がってるけど、精霊ってそんなに凄いの?」

「精霊が住んでいる土地は、外部からの影響を受けづらくしながら、その土地を豊かにしてくれるんだ。つまり、精霊が国に居てくれることはとても有難い事なんだ」

「おぉリオ凄~い!」

「俺は主の魔力を大量に貰ったからそこらに居る精霊より強いぜ!主が居ない間水源の守りは俺に任せろっ」

「たのもし~い」


 リオは俺が想像していたより凄い存在みたいだね。リオも交えて宴は続きそうだと思いだしたことが有った。


「ねぇねぇみんな!この後時間ある?」

「俺達は有るが・・・・」

「うむ、今日の公務は終わっている」

「仕事は済ませてある」

「私も明日やれば十分なので」


 突然の事だけどみんなこの後の予定はないみたい。だったらやりたいことが有ったんだよね。


「それでどうしたんだクーア」

「みんなで中庭に行こうよ!俺みんなと一緒に星を見てみたい」

「良い考えだな、ララン見に行こうか」

「えぇあなた、是非見に行きたいわ」

「竜種の方と一緒に星を見られるとは、光栄です。是非参加させていただきます」

「うふふ、みんなと一緒に星を見るなんて久々ね!」


 俺の提案をみんな喜んで受け入れてくれた。もう食事は終わっていたのでみんなで、中庭に移動することになった。広間から中庭までは少し掛かるので通路を歩いていると、昼間とは全く違う雰囲気がお城を包んでいた。昼間は賑やかな人の声と日の明るさに包まれていたお城は今は静寂に包まれている。通路に人の行き交いは無く、衛兵さんが警備をしているだけ。


「静かだね~」

「この時間には皆帰っているからな」

「私は昼の賑やかな城も好きですが、夜の静寂に包まれている城も好きですよ」

「夜の警備は意外と人気だな」


 夜のお城の良い所をみんなで話しながら歩き中庭に近付くと、中庭の方からほのかな青い光が見えてきた。あの青い光はきっと・・・・


「まぁここからでも月光花の光が見えるわ」

「年々月光花の光が弱まってきていたが、以前より明るくなっている様だ」

「懐かしいですね~」

「城の名物にもなっているからな」


 王様や王妃様など、ウォル達より年を重ねている人達は月光花を長年見続けていたので感慨深いのかしみじみと言った。長年見続けていた場所が無くなってしまうのは悲しい事だから、月光花の光が見えてとても嬉しそうだ。


 中庭をしっかり見れる場所まで来ると、皆立ち止まり感嘆の声を漏らした。


「これは・・・・」

「凄いな」

「長年見続けていた中で一番綺麗に光っているわね。しかも、魔力が少し漏れて光ってるなんて」

「綺麗だな」

「えぇ美しいわ」


 中庭満面に咲いている月光花は、青い月の光を浴びほのかな青い光を発していた。その小さな花からは、淡い光の粒子が放たれ風が少し吹くたびに、光が空中に舞い幻想的な光景を作り出していた。


 凄~い!俺が想像していた時より綺麗だ。何で光るのかなと思ったけど、この植物は魔力を持っているんだね。


 しばらくの間中庭で可愛らしく花が揺れそして夢幻のような光景を作り出す月光花をみなで黙りながら見ていた。


 数分ほど見惚れていただろうか、風がいきなり強く吹き光の粒子が空高く舞ったことによって、はっとした俺達は通路を通り中央に広場へと向かった。


「何度も来ているはずなんだが、今日は何時もとまるで違う感じがするな」

「えぇそうねウォル」

「この庭を戻したのはウォルとクーア殿だろ?だから特別に感じるのだ」


 ウォルはその言葉を受け、中庭に生えている月光花を見つめると微笑んだ。


「そうかもしれません」


 広間にはバトラが持ってきてくれた絨毯を敷き、みんなで地面に座ると空を眺めた。吹き抜けになっている天井には満天の星空と大きく光る青い月。そして、月光花の光の粒子が星のように輝いている。星々はただ光るだけではなく、自分の色を持ち大きさもそれぞれ。健気に主張する星も有れば、自分を見てくれと強く輝く星も有る。


「うわ~やっぱり綺麗だね!」

「あぁ、とても綺麗だ」

「長年生きてきましたが、一番と言えるほど綺麗な星空ですね」

「星は私達の道を示してくれる、星に感謝しないといけないな」

「そうですね、星は私達にとって重要な物です。方角を示し、私達を導いてくれる」


 みんな座りながらうっとりと、星を眺めている。


「流れ星が!」

「ふっ幸運と会えたな」


 流れ星が起きたことによってみんな驚き幸運だと言っている。話の内容から察するに、流れ星は幸運の象徴なんだね。だったら・・・・俺は空に向けて手をかざしある魔法を発動する。


「これは・・・・!」

「流星群?」

「そんな、まだ時期じゃないはずです。それにいくら何でも数が」


 みんな驚きながら立ち上がり、大量の流れ星が落ちる空を眺めている。


 ふふふ、みんな驚いている。一緒に居たリオは俺がやっていることに気づき俺を見て笑ったがみんなに教える気は無いみたい。なんだか、少し悪戯をしているみたいで面白いね。クスクスと笑っていたら、ウォルが俺の頭に手を乗せると


「こ~ら、クーア。悪戯は駄目だぞ」

「あれ?バレちゃった!」


 ウォルにバレちゃったので、魔法を止めると星空に流れていた星たちは消えてしまった。


「あれを魔法で!?」

「素晴らしい魔法だな」

「うふふ、驚いたけど綺麗だったわ」

「私あんなに沢山の流れ星を見るなんて初めて!」


 みんな俺の悪戯を喜んでくれてるみたい。だけど、悪戯は悪戯だからお詫びとしてもっと近くで星を見せてあげよっと。


「あはは、ごめんね。お詫びとして、もっと近くで見れるようにしてあげるよ」

「お、次は一体何をやるつもりなんだ?」


 シャールクは期待に満ちた笑顔で言う。じゃあ、その期待に応えないとね!俺は星の魔法を使い、中庭を囲むように星空を作り出す。中庭から外の通路は見えなくなり、見えるのは満天の星空と月光花のみ。


「うわ~凄いわ!まるで星空の中に居るみたいね!」

「星をこんなにも近くで・・・・!」

「凄いな、まるで星になったようだ」

「すげぇ!流石クーア!」


 興奮したミランは中庭を駆けまわり、みんなは触れそうなほど近くに見える星に手を伸ばしている。実際に星空を作り出した訳じゃなくて、星空の景色を映しているだけだから今見えている物は本物の星じゃない。だけど、本物に負けないと思っているよ。


「こんな魔法初めてです・・・・!」

「ねぇ貴方まるで御伽噺の世界に居るみたいね」

「そうだな、こんな貴重な体験をさせてくれたクーア殿には感謝しないとな」

「クーアこんな魔法使って大丈夫なのか?」

「全然大丈夫!本物を作ってる訳じゃないから、魔力を全然使わないんだ」

「それなら良かった。それにしても凄いな・・・・」


 みんなはまるで子供の用に中庭を歩き回り、俺が作り出した星空を眺めている。みんなに気に入って貰えたようで良かった!

読んで頂きありがとうございます!

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