俺、精霊と会うよ!
昨日と同じ広間に行くと既にみんな席に着いていて、昨日より数は少ないけど色々な食べ物が用意してあった。王様の号令で食事が始まり、色々な話が食卓を飛び交う。
「王よ既に魔法師団の準備は終わりました何時でも動けます」
「騎士団は明日には準備が整います」
「申し訳ありません、測量士や経費の計算はまだです。全て準備が終わるのは4日ほど掛かるかと」
「うむ、緊急性がある案件ではあるが失敗も出来ない。しっかりと準備をした方がよかろう。各街への伝達はどうなっている?」
「既に事業の事は通達済みです。どこの街も余裕がある訳ではありませんが全力でこちらを支援してくれるようです」
「ふむ、順調だな。」
「はい順調に準備は進んでいます。ですが、鎮魂の地付近の街の状況は良くないですね。早急に解決する必要があります」
王様達は水路を引く計画について話しているみたい。聞いている限り順調だけど、鎮魂の地の方に俺達は行って無いから水路が無くて不味い状態みたい。その話を聞きウォルが
「明後日ここを発ち鎮魂の地に行くつもりだ。それで何とかなるだろう」
「そうか、ウォル気を付けるのだぞ」
「心配していただきありがとうございます。皇都へ水を引く計画の進捗はどうですか?」
「水路と水量は確認できた。今は門付近にしか通せていないが、皇都を巡っている水路にこれから通していく予定だ」
「それは、良かったです」
「これも全てクーア殿とお前達のおかげだ。お前達が引いてきた水路を広げるのは、エリクに指揮を任せる事にした」
「お任せください、必ずやり遂げます」
「エリク兄上、後をお任せします」
「弟が頑張っているんだ、私も必ずウォル達が築いてくれた希望を広げてみせる」
ウォルとエリクは握手をする。どうやら話は纏まったようだ。その様子を見て王妃様が、
「そういえば、ウォルとクーア様が中庭を治してくれたんですって?今日は忙しかったから見に行けなかったけれど、ありがとうね」
「今日王城内はその話題でもちきりだったぞ。ウォルが奇跡のような魔法を使い花と大地を再生させたと。はっはっは、派手にやったようだな」
「すみません父上・・・・場を鎮めるために父上の名をお借りした」
「よいよい、どうせお前達について何かしらの知らせを出さなければならなかったからな。会議によってウォル達はエルディラン様の遺産を見つけそれを使っていることにする。そしてクーア殿の正体は隠すが、その能力までは隠し切れないだろう。なので、クーア殿を精霊の一種だという事にしたいのだが・・・・よろしいだろうか?」
「精霊?」
「ん?俺の事呼んだかい!」
精霊って何だろう?村の人からも本からも聞いたことなかったけど、俺を誤魔化すために使うなら竜種みたいな存在なのかな?・・・・あれ?今誰が返事した?
あまりにも自然に答えるものだから一瞬誰も気付かなかったけれどみんなバッと声がした天井を見る。みんな傍に置いておいた、武器を取り何時でも戦える状態だ。俺もつられて天井を見るとそこには、笑顔で手を振る水色で半透明の子供が居た。その子供は首にスカーフを巻き半袖半ズボン、手首と足首にわっかを着けている。
「やっほ~呼ばれたから来たぜ!」
「クーアの知り合いか?」
「う~ん知らない!」
「そんなこと言うなよ~俺を生み出したくせに!」
「???俺は作って無いよ?」
天井に浮いていた少年は俺の前まで来ると肩を組んでくる。みんなは、どうしたらいいの分からないみたい。ここは俺が聞かないと駄目みたいだね。
「え~覚えてないのか?水源を作っただろ?」
「水源は作ったけど・・・・君は誰?」
「俺は水源を作ったことによって生まれた精霊だよ!」
「・・・・?」
「なるほど」
俺以外のみんなはこの精霊だと名乗る少年の言葉に納得したみたいだが、俺は全く分からない。なんで、みんなは分かるの?
「どういうこと?」
「精霊は清らかな魔力が溢れる場所で生まれるんだ。本来長い時間を掛けて生まれるんだが・・・・」
「創造主であるクーアの魔力が桁違いだったのと、純粋な魔力だったから早く生まれたんだぜ!」
「ほえ~」
「本来精霊は自然の魔力から生まれるから主は居ないんだが、今回はクーアの魔力で生まれたからクーアが俺の主だっよろしくな!」
「よろしく?」
よく分からないけど、俺はこの少年の主になったみたい。この少年が言うには、俺の魔力によって生み出されたみたいだけど俺にそんな意図はなかった。魔法スナネコちゃんみたいに意識して生み出せば、実感が湧くんだけど自然に生まれたみたいで全く実感がわかない・・・・
「それで、どうして精霊君は此処に来たの?」
「だって、主が呼んだだろ?精霊って」
「それで来たの?」
「おう!呼ばれればいつでも駆けつけるぜ!」
生み出したのは俺みたいだけど信頼しても良いのかな?もしかして、俺を裏切ろうと企ていたり・・・・。ちょっと悩んでいるとウォルが
「クーア、精霊は大いなる力を持ちながらも純粋かつ善良。悪い存在ではない」
「何時でも呼んでくれよな!色々役に立てるぜ!」
「何が出来るの?」
「俺は水の精霊だから、水関連なら何でも出来るぜ!水で攻撃したり、水を作り出したり主の水とも親和性が高いから主の水を操ることも出来るぜ」
「ほえ~じゃあ、俺これから鎮魂の地って場所に行くんだけど。君が居た水源とここを繋ぐ水路の管理して貰ってもいい?」
「おう、任されたぜ!」
「それと、このエリクって人が水路を広げる手伝いをして欲しいんだけど・・・・大丈夫?」
「楽勝だぜ、よろしくなエリク」
「えっ!?あぁよろしく頼む」
いきなりエリクの事を呼んで驚いたみたいだけど、精霊君と握手する。俺達がここを発った後が心配だったけど、精霊君が居るなら大丈夫かな?もしみんなに何かあっても助けてくれると思うし、何もしなくても悪い存在じゃないみたいだから大丈夫!
「おう、主の願いだから協力するけどもし水に悪さをしたら覚えておけよ!」
精霊君は満面の笑みだがその圧は怖いほど。確かに強力な力を持ってるみたいだね。
「まさか、この国で精霊を見られるとは・・・・」
「昔は居たようですが、ほぼ消えてしまいましたからね」
「確かに強いな・・・・」
突然現れた精霊に驚いていたみんなも段々慣れてきて、精霊君をしっかり観察し始めた。精霊君が同行することを勝手に俺が決めちゃったけど大丈夫かな?
「精霊の方に同行していただけるとは光栄だな」
「クーア殿エリクに精霊様を付けて頂き感謝する」
「計画も順調に行きそうですね」
どうやら反応を見る限り大丈夫みたいだね。
「俺は何時でも主と、交信することが出来るからもし何か用が有ったり主に聞きたいことが有ったら連絡するぜ!」
「うん、それなら安心だね。精霊君は名前無いの?」
「無いぜ!精霊は基本的に名前は無いんだ。主が決めてくれ!」
「う~ん・・・・リオはどう?」
「リオ!それが俺の名前だな」
元気で荒ぶる川のような雰囲気を感じる精霊君にはリオという名前を送ろう。喜んでくれてるみたいだし、良かったと思ったらいきなりリオが輝くと服装が豪華になった。服とスカーフに金色に輝く模様が浮かび上がりそれはまるで星のようだ。
「うわっ綺麗になった!」
「名前を付けてくれたから、強くなったんだぜ!」
「ほえ~凄い。精霊はリオしかいないの?」
リオ一人ぼっちは可哀そうだから、俺が力を使えば生まれるなら今お友達を作ってあげるけど・・・・
「まだ俺だけだな。だけど主が多くの力を使った場所は精霊が生まれやすいから、どんどん仲間が増えると思うぜ。既にサスヴァンって呼ばれてる場所で二人目の精霊が生まれようとしてるしな」
「サスヴァンに精霊が!?」
「一大事ですな・・・・」
新たな精霊が生まれると聞いて大慌てする王様と魔法師団長さん。そんなに慌てるほどの存在なんだね精霊って。
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