俺、竜人について教えてもらうよ
しばらくの間、魔道具とその周辺に生えている摩訶不思議な植物を見て回った俺達は来た道を戻り石レンガの道まで戻って来た。また石レンガの道を進んでいきながら色々と気になってことをオーラン達に聞いてみた。
「ねぇオーラン」
「なんでしょう?」
「竜人って何人ぐらい居るの?」
「17人です」
「少な~い」
「竜人は年を重ねるたびに減ってきていますからね」
思ってたより少なかった。どうしてそんなに少ないんだろう?さっきはエルフみたいに永い時を生きるって言ってたから、もっと数が居ても可笑しくないはずだけど。
「どうしてそんなに少ないの?」
「それは、私達が生まれる可能性が低いからです。私達がどうやって生まれるかご存じですか?」
「知らな~い」
「私達竜人は、竜人から生まれるのではなくエルヴィラス皇国に住む多数の種族から突然生まれるんですよ」
「えっそうなの?竜人から竜人が生まれるんじゃなくて?」
「違うんです。例えば私は両親は共に人間でした」
オーランの両親は人間だったんだ。
「私はエルフと人間ですね。竜人は本当に突然生まれるんです。しかもその確率はかなり低い。だから竜人の数はそこまで増えないのです」
「竜人同士が結婚したらどうなるの?」
「竜人同士が子供を作っても、竜人が生まれるのは稀ですね。その場合基本的に竜人の親の種族になる事が多いです」
なるほど・・・・もしもオーランとエリスが子供を作ったら、人間かエルフになる事が多いってことだね。でも、どうして竜人が突然生まれるんだろう?
「竜人が生まれる事は奇跡と呼ばれ、生まれた竜人は親の元で少しの間育てられたのち私達竜人が教育をするんです。教育専門の竜人も居るんですよ」
「どうして他の人と一緒にしないの?」
「理由は単純で、私達竜人が他の種族と比べて突出して強いからです。竜人は幼い事から大人を圧倒するほどの力を持ちます。それを制御できるようになるまで他の種族と生活することが難しいので、一旦隔離して力の制御などを学ぶのです」
「そうなのか~・・・・ちょっと悲しいけど仕方ないね」
「と言っても完全に親元から離す訳じゃないんですよ。それはあまりに残酷ですから、月に何度か両親と会えるようにしています」
「お~良かった」
「それに・・・・」
エリスは少し寂しそうな顔をしながら、
「両親と一緒に居られる時間は短いですからね」
そっか・・・・竜人は他の種族より永い時間を生きる。その永い時間の内人間である親と一緒に居られる時間は短いものだろう。そして、もし子供を作った場合その子供が人間だったら子供を見送る事になるだろうね。それは・・・・とても寂しくて悲しい事だ。
「私達は他の種族と違う事が多すぎる。だからこそ、違いを受け止め短い時間を大事に使う事を教えなきゃいけないんです。後悔はしてほしくありませんから」
寂しそうに話したエリス。オーランもこの話を聞いてる間表情は変わらないがなんだか寂しそうだ。俺の加護によって、ウォル達は長生き出来るけどサスヴァンで出会った人や誓いの湖に居るみんな、いつかはお別れの時が来てしまう。俺にとっては短い間でも人にとっては一生の事、それを忘れないでこれからを大事にしていこう。
「すみません、しんみりさせてしまいましたね。私達竜人の話でしたよね?私達竜人と言えば、この尻尾と鱗そして瞳が特徴的ですね」
しんみりしてしまった雰囲気を吹き飛ばすようにエリスが元気よく言う。ウォルもオーランも少し悲しそうな顔をしているが、その話に乗り
「あぁ竜人の皆さまは美しい鱗を持っているな」
「竜の皆さまと同じように、持っている属性が鱗の色に現れるんです。尻尾は人によって特徴が違いますが、私達のタイプが多いですね。ヴィラス様に関する場所を守っている人も居るんですが、その人はヴィラス様のように尻尾の先が剣のようになっているんですよ」
「お~見てみたい!俺の尻尾と似ている人も居るかな?」
オーランとエリスの尻尾は似ていて体に近くなるほど太く先端に行くと細くなっている。尻尾は自由自在に動かせるようで、動かして見せてくれた。俺の尻尾も見せてあげようと思って、人の姿から龍の姿に戻るとそれを見た竜人の二人は目が落ちるんじゃないかと思う程俺の事を凝視している。
「ねね、俺に似た人居る?」
俺の尻尾は先端が二股になっている。しかも俺がこの尻尾を振るとキラキラと魔力の粒子が出てくるんだよ~
「いえ、見たことありません・・・・」
「そっか~残念」
俺に似た人は居ないみたい。そもそも龍の竜人っているのかな?
「・・・・・お~い、固まってるけど大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
返答はしてくれるけど、体は固まったままで視線は自由自在に空を飛び回る俺に固定されている。なんだかこの姿を見せると、みんないつも固まっちゃうから慣れてきちゃった。
「クーア様が龍だという事は分かっていましたが、本来のお姿を見せて頂けるとは光栄です」
「とても幻想的で神秘的なお姿をされていたのですね」
「あぁその姿はいつ見ても綺麗だな」
「えへへ~ありがとう!そういえば、龍の竜人って居ないの?」
「居ませんね。というのも私達竜人はエルディラン様かヴィラス様の血族から生まれるので、龍の竜人は生まれないのです。私達はあくまで、エルディラン様とヴィラス様の力がごく稀に強く出てしまっただけですから」
「そういう仕組みなんだ~」
「はい、なのでウォル皇子とは本当に遠い血族なのです」
「エルディラン様とヴィラス様の子孫は俺達王族以外にも沢山居るからな。ただ代表的な子孫が俺達なだけだ。街を歩けばすれ違う人の多くがエルディラン様やヴィラス様の子孫だぞ」
「お~エルディランとヴィラスの家族いっぱいだー」
「私達はあくまで、偶々力が強く出てしまっただけで本当の竜人と言うのは、エルディラン様とオーディス様のご子様とヴィラス様とアルネイア様のお子様達の事ですね」
竜と交わって生まれた子供なら、確かに竜の力が強く表れるはずだから竜と人間が混じった容姿になるだろうね。その力もかなり強い物だったと思う。
「現代でも生きてらっしゃるが、今何処に居るかは誰も知らないがな」
ウォルが残念そうに言う。
「今も生きてるの!?」
「あぁご存命だ」
そっか、竜と交わって生まれた子供なら竜の特性を強く引き継いでいるんだから長命のはず。300年なんて短い時間生きてられるはずだ、よしよしそんな時代から生きているんだったらきっとエルディランやヴィラスの居場所に関して何かしら知ってるはず!
「会いたいな~」
「運が良ければ、会えるかもしれませんよ」
「ディオ様が退位されてから、お話を全く聞きませんがこの国の何処かに居るはずです。龍であるクーア様であればディオ様達が自ら会いに来ていただけるかもしれませんね」
「ディオ様は伝説となっている人だ。是非俺も有ってみたい」
よ~し、段々エルディランやヴィラスの所に近付いてきた気がするぞ!旅を続ければきっと出会えるはず、もしかしたらあっちから来てくれるかもしれないみたいだから分かりやすいようにド派手にこの大地を復活させちゃおう!
色々なことが分かりはじめて、ご機嫌な俺は鼻歌を歌いながら再び動き始めたオーランとエリスの後を跳ねるように飛びながらついていくのだった。
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