俺、色々な人を紹介されるよ!
紹介されたエルクは、ニコニコと笑いながらこっちに来て俺の前に立つと
「初めましてクーア様私はエルク・エルヴィラスただの老いぼれです。まさか、残り少ない人生で本物の竜種の方と会えるとは思っていませんでした。このエルク感動で身が震えてしまいます。先程は人間のお姿になっていましたが、やはり竜種の皆さまは人間の姿に変わる事が可能なのでしょうか、それとも一部の竜種の方だけがお姿を変えられるのですか?それと、クーア殿の周りで回っているそちらの美しき球体は一体何なのでしょうか?申し訳ありませんが私勉強不足でして・・・・」
「そこまでです爺様」
エルクは満面の笑顔を浮かべながら、怒涛の質問攻めをしてきて俺は目を回してしまいそれを見かねたウォルが助けに入ってくれた。ウォルは頭に乗っていた俺を抱っこして頭を撫でながら
「そんなに急がなくとも、時間は少しですが在ります。それに、クーアは答えてくれますから、ゆっくり質問してください。すまないなクーア、爺様は竜種研究の第一人者なんだ」
「竜種研究って何を調べるの?」
竜種って基本的に人と関わる事が無いからそんなに調べるようなことも無いと思うんだけど・・・・
「主に調べているのは竜種の生態と治療方法です。竜種の方々は、普段人と関わる事が無いのでその生態は分からないことが多いのです。どのように過ごしどんな物を好むのかなどを過去の文献や目撃情報から研究しているのです。そして、竜種の方々は何を苦手としているかも重要な事なのです」
「・・・・何でそんなこと知りたいの?」
竜種の弱点は、汚染した魔力に弱い事と属性と魔力が強い故に自分とは正反対の属性の環境には長く居れないことだ。竜種の特徴として、俺みたいに一つや二つ他の生物とはけた違いなほど強い属性を持っていることが上げられる。その強い属性を安定させるためには、その属性と親和性が高い場所に居る必要があるのだ。だから、竜種は自分の住処を作り出し自分の好きな環境へ変えてしまうのだ。
竜種は強いが無敵という訳じゃない。それは、みんなも知ってると思うけど弱点を知って一体どうするつもりなんだ?
「勿論、竜種の方々を守り快適に過ごしてもらうためです!弱点があるならがば、私達が全力でその弱点を補い悪意ある者から今度こそ守り抜くことが出来るでしょう。私達の力は小さいですが、少しでも竜種の方々の力になれればと。そして、エルディラン様が戻って来た時に快適に過ごして頂けるように、場所を整えられますからな」
「・・・・そっか~」
俺は集中してエルクの魂を見て嘘が無いか確かめたけど、エルクの言葉に一切嘘はないね。
「今はクーアと皆を休ませたいので、爺様お話は後にしましょう」
「むぅ・・・・仕方ないな」
エルク爺様は残念そうにしながら、列に戻っていきその様子を王様はウォルと同じように眉間に皺をよせこめかみを揉んで見ていた。
「それと、クーアにこの国の要となっている人達を紹介しよう。ミレイアは既に紹介したよな」
「うん!」
「それでは、まずは騎士団団長から」
ウォルは鎧を着て腰に剣を携えた人を手で指し
「騎士団団長バルバゼル・ドランだ。彼はこの国で一二を争う実力者だ。そして、俺に剣を教えてくれた師匠でもある」
「お~アルベルドが言ってた団長さん!」
「クーア殿、会えて光栄です。この剣は国に捧げていますが、竜種の皆さまの物でもあります。もし、障害となる者が居ればすぐにお教えください。すべて私が排除してみせましょう」
「そんな人居ないよ~ありがとね」
騎士団長さんは、俺達の中でも一番大きいアルベルドより大きくて腕が滅茶苦茶太い!顔は眉間に皺が寄っているから、怒っているように見えるけど喜んでいるみたい。髪は白髪の短髪で目は紫色だ。見た目や雰囲気がアルベルドに似てるけど・・・・
「アルベルドに似てるね!」
「私の父が白風の一族ですから、似ているのです」
「なるほど~」
アルベルドは白髪の短髪に黄色の目だから、白風の一族って白い髪が多いのかな?
「次に、魔法師団団長ラーティア・イルン、彼女は魔法の達人で様々な魔道具を発明している発明家でもあるんだ」
「初めましてクーア様、クーア様の魔法と比べれば私の魔法なんて子供の遊び程度でしかありませんがいつでもお力をお貸しします」
「ほえ~魔道具俺も作ってみたいな!」
「宜しければ、お教えしますので何時もで私の所へ来てくださいね」
魔法師団長さんは、常に微笑んでいて柔らかな印象を抱く人だった。髪は長いけど編んであって一つに纏まっていて大きな三角の帽子を被っている。そして、目に留まる特徴と言えばとんがった耳だ。レイランの耳に似ているけどレイランより大きくて飾りをつけている。
「ラーティアってエルフ?」
「そうですよ、私はエルフです」
「ラーティア殿は長年魔法師団長として国を支えてくれているんだ」
「長年?」
「エルフは老化が遅いので見た目は若いままですが、もう私はお婆ちゃんなんですよ、うふふ」
「え~見えない!若~い!」
「あらあら、ありがとうございます」
うふふと口を押えて笑う魔法師団長。一体いくつなんだろう?
「そして、エルヴィラス様を称える神殿の長であるエルメシア教皇だ」
「初めましてクーア様、わたくしは、エルディラン様とヴィラス様を崇め祭っている神殿の纏め役をしているエルメシア・サリーンです。龍であられるクーア様に出会えるとはわたくし天に昇りそうなほど幸せですわ」
「よろしくね~教皇さん!」
「わたくしの事は是非エルメシアとお呼びくださいませ」
「分かった~エルメシア!」
「神殿は何時でも竜種の皆さまの味方です。もしお時間が有れば是非神殿までお尋ねください」
「は~い」
神殿はエルディランとヴィラスを崇めているんだから俺は関係ないと思うけど、エルメシアは神を崇めるかのように俺の事を見ている。誓いの湖の建物は綺麗だったから、神殿はどんな風になっているのか気になる。時間が有ったらウォル達に連れてってもらお~っと
「これで紹介は終わりだな」
「うむ、ウォルよ部屋は何時でも使えるように整えてある。クーア殿はどうするかね?客間が空いているのでそちらで過ごすことも可能だが」
「ウォルと一緒の部屋が良いな~」
「分かった。そうしよう、バトラ案内を」
「畏まりました」
「!?」
王様が誰かの名前を呼ぶと、部屋の隅から返事が返ってきて驚いて見るとそこにはお爺さんが立っていた。
え!?何時からそこに居たの!?全然気づかなかったんだけど!
お爺さんは、ピシッと背筋が伸びていて俺達の所まで来たけど一切足音がしないし服が擦れる音も聞こえない。
「皇子ご無事で何よりです、クーア殿初めまして私はバトラ。皇子の世話係と執事をやっております。何か困ったことが有れば何時でもお申し付けください」
「バトラも変わりが無いようで良かった。そして相変わらず気配が無いな・・・・」
「勿論です。私は皆様のお世話係ですから、目立つ訳にはいきません」
ウォルは呆れたようにバトラを見る。気配が無いのは昔からなんだ~しっかり見ても魔法を使ってる様子は無いし、一体どうやってるんだろう?
「それでは、お部屋へご案内しますね。シャールク殿も客間へご案内いたします」
「ありがとうございます」
「それでは、失礼します」
俺は広間を出る前にみんなに手を振った後人間の姿に戻り、バトラの案内でウォルの部屋まで案内された。その間色んな人とすれ違ったけど、みんなウォルが帰ってきたことを喜んでいた。ウォルってもしかして人気者?
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