俺、皇都に着いたよ!
誓いの湖を出発してから4日目の朝、ウォルが言うにはそろそろ皇都に着くんだって!今日の歩きながら水を通す係は、ウォルだよ。あれからずっとウォルは朝から夜まで訓練しているけどまだ上手く魔法は使えない。だから、俺が手助けしながら水を通している。
「そろそろ、皇都に着くんだよね?」
「うむ、このペースなら昼頃には着くと思うぞ」
「それと、あの人達に会うと思うからクーア悪いけど人間の姿になって~」
今日は何となく空を飛びたい気分だったので、龍の姿になって馬と並走していたのだ。どうせ町に行かなければ人と会う事も無いし、いっかなと思ってたんだけどウォルの馬に人間の姿になって乗る俺。
「誰と会うの?」
「皇都周辺で狩りをしてる鎧人って呼ばれる人が居るんだよ、もうすぐその人達の行動範囲に入るから、龍の姿だと大騒ぎになっちまう」
「鎧人?皇都を守ってるのって騎士団じゃないの?」
「騎士団はどちらかと言うと、皇都内の秩序を守る事が多いんだ。勿論他の町から申請があれば、その町に出兵することもあるがな」
「鎧人は皇都周辺の守りと城壁の修繕、そして魔獣の討伐を生業としてるんだ」
「へ~砂の民みたいだね!」
「確かに似てるな。だが、見た目は全くと言って良いほど違うぞ」
「見たらクーア吃驚すると思うぜ」
へ~会ったら吃驚する人達ってどんな人なんだろう。サスヴァンと誓いの湖を出た後道中小さな村や町に寄ったことはあったけど、みんな同じような人達だった。優しくて、自分の暮らしが厳しいのに俺達に食料を分けてくれた。この状況を受け止めどうにかしようと色々と努力している人達だったから、みんなと一緒に大地を復活させて水をみんなに届けたよ。みんな喜んでくれたし、色々贈り物も貰っちゃった!今俺はサスヴァンで貰った花冠とストール、水をあげたら貰った綺麗な石のブローチをストールに着けている。
心が籠った贈り物って嬉しいよね!
ウォルは無言で水を通すのに集中して、シャールクは周囲を警戒しながらも魔力を掌に集める訓練をしている。アルベルドとレイランは、シャールクやウォルに助言をしながら周囲を警戒している。
少し歩いていると前から魔獣がこっちに向かって走っている気配がする。みんなその気配に気づいているが、何時もみたいに武器や魔法を構える訳じゃなくてみんな気にせず歩いている。
どうして、戦おうとしないんだろ?もしかして、俺が戦って良いってことかな!?よ~しそれなら頑張っちゃうぞ~
目に見えるぐらいに魔獣が近づいてきたので、俺は水で核を撃ち抜こうとしたら
ドンッ
空高くから何かが降ってきて俺達に向かって走って来ていた魔獣を踏みつぶし、大地を抉った。何か大きなものだったことは分かったけど・・・・その衝撃で風が吹き砂埃が舞って何が降っていたのか分からない。みんなはいきなりの事なのに驚くことなく、平然と降ってきた何かを見つめている。
段々砂埃が晴れていき、降ってきた何かが姿を現した。それは岩の巨人と言える岩で出来た人型だった。その大きさは4m程で、ただ岩を纏っている訳じゃなく鎧のように岩に装飾が入っていて人間のように滑らかに動き始めた。
何これ知らない・・・・!魔獣かな?
俺は、水の魔法を撃とうと周囲に水の塊を展開して、念の為に岩の巨人に探知を撃つとなんと
「人間?」
「あぁ彼らが鎧人だ」
探知で岩の巨人をよく見てみると、中には人間が入っていたのだ。魔法で全身に岩を纏っていて、動かすのも魔法でやってるみたい。ただ岩を纏うだけじゃなくて、岩を圧縮しているから簡単には貫けないし重量も相当なものになっているのに凄いな~
「ウォル皇子じゃないですか!」
「その声は、ガイアか」
「はい!」
鎧人は俺達を見て棒立ちしていたけど、いきなり鎧人から爽やかな声が聞こえてきた。ウォルはその声に覚えがあるみたいで、名前を呼ぶと鎧人の胴体が開いて中からウォルと同い年くらいの男が出てきた。
「そこ開くんだ!?」
「あれ、知らない子ですね。ウォル皇子の隠し子ですか?」
「「「ぶふっ」」」
出て来た緑色の髪を持つ男は、輝くような笑顔でウォルに言いその言葉にウォル以外全員が噴き出した。ウォルはこめかみを抑え、頭が痛そうにしながら
「はぁ・・・・ガイア、この子は友人のクーアだ。決して隠し子ではない」
「そうなんですか!こんにちは、クーア!俺はガイアっよろしく!」
「ガイアよろしくね~!ねぇねぇあの岩の巨人近くで見ても良い?」
「おっ、俺達の鎧に興味あるなんて見る目があるな!良いぜっでも、倒れたら危ないから俺と一緒にな」
「わ~い」
俺はウォルの馬から降りると、ガイアと一緒に岩の鎧を近くで見る事にした。しっかり見てみると、細かい装飾が付いていて綺麗だし、ゴツゴツしてる訳じゃなくて、表面はなめらかでツルツルしている。ガイアが入っていた部分は空洞になっていて、体にピッタリって感じじゃないみたい。それに・・・・
「色々な岩と土を使ってるんだね」
「おっ分かるか?皇都周辺で採れる岩と土、そして鉱物を俺達独自の配分で混ぜて圧縮するとこの鎧が完成するんだ」
「この鎧って鎧人全員持ってるの?」
「おう、戦士なら全員が持ってるんだ。上位の者になると、装飾が増えていくんだ」
「じゃあ、ガイアは凄いんだね」
「な~に、俺はまだまだだぜ」
「ガイアは鎧人の次期族長だ」
ガイアの鎧には細かな装飾が入ってたから、凄い人だとは思ってたけど次期族長さんなんだね。ウォルがそう言うとガイアは照れたように
「俺はこいつを動かすのが得意なだけなんすよ。一族を率いるとかはあんまり得意じゃないんですけどね」
「ガイアは、よくやっていると族長も言ってたぞ」
「うっす・・・・そういえば、さっきから思ってたんだけどどうして、皇子達が歩いて来た場所に緑が戻ってるんですか!?」
「今更か・・・・」
ウォルが呆れたように言う。ガイアは俺達が歩いて来た道を見ながら目を輝かせている。
「実はな・・・・」
ウォルがガイアに説明している間暇だったので、ガイアが着ていた鎧を隅々まで見る事にした。凄いな~カッコいいな~俺もやろうと思えばこの鎧作る事が出来そうだな。でも、こんなに重い物を着るのは大変そう。俺は、鎧の足を持って持ち上げてみる。
「よいしょっと」
「えぇぇええええ!」
お~人間にとっては重いけど、以外と持てるくらいには軽かった。持ち上げた俺を見てガイアが叫んでる。
「これすっごい重たいんですよ!?どうして、持ち上げられるんですか!?」
「ん~なんでって言われも、持ち上げられるから?」
「クーアそんな怪力だったのか・・・・」
「びっくりだわ」
ウォル達も驚いてるけど、言ってなかったっけ?この体は龍の体を変えて作ってるから、能力的には龍の体と変わらないんだよね。
「ウォルから話を聞いた時は半信半疑だったけど納得したぜ」
「まぁそういう訳で、皇都に急いでるんだ」
「じゃあ、俺が案内しますよ。皇都に用事もあったし」
「それじゃあ頼む。それとクーアそろそろ鎧を下ろしなさい」
「は~い」
ガイアは鎧を着て、俺はシャールクの馬に乗って皇都まで走っていると大きな壁が目の前に見えてきた。
「シャールクあれって」
「おう、あれが俺達が住んでいた皇都エデンだぜ!」
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