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俺、休息地を復活させるよ!

 大地の記憶を読み取り、見えた光景は人間にとって住みづらい場所だが俺にとってはとても安らぐ場所だった。活き活きと植物達は輝き、空に架かる水の橋が常に植物達に水と生命力を分け与えている。今では面影も無い動物達が、湖畔でゆったりと過ごし寝ている。

 湖の中には多くの魚たちが泳ぎ、湖を彩っていた。


(凄いな・・・・)

(えぇ美しい)

(これが竜の休息地か)

(まるで神の庭だ)


 みんなも見える景色に見惚れている。普通ではありえない法則が働く竜の休息地見惚れるのも当たり前だ。だけど、俺達はこの景色を再現するんだから見惚れてる場合じゃないよ!


(これを今から再現するんだから頑張るよ!)

(はっそうだな。しっかりしなければ)

(えぇ、頑張ります!)

(ここが復活したら国のみんなも喜んでくれるだろ!)

(あぁ頑張るぞ!)


 うんうん、やる気が出たみたいで良かった。この再現はちょっと難しいけど、俺達が力を合わせれば大丈夫。大地は掛けられた魔法を覚えているから、エルディランが使った魔法を俺達も使えば良いだけだ。


 エルディランが使った魔法は大地の魔法と水の魔法を固定しただけ、ただその魔法が複雑だけど~大丈夫!


(じゃあみんな俺に合わせてね~)

(分かった)


 俺ならどんな複雑な魔法も、再現できる。そしてみんなには俺と同じように魔力を流してもらって俺が補助すれば十分。みんなの魔力をまとめ上げ魔法を作り出していく。大地から次々と植物が生えていき、空には水の橋が架かる。動物たちを生き返らせたりすることは難しいから無理だけど、水と植物、大地ならなんとかなる。

 湖を中心として次々と復活していく大地。俺達は魔法に集中していて気付かなかったけど、ホーン司祭たちは目が落ちても可笑しくない程驚いていたらしい。


 これでもう再生は終わりだけど、エルディランのお気に入りの場所だから少しだけおまけしておこっと。動物を復活させることは、やろうと思えばできるけど今の俺じゃ数匹が限界。だから、俺が得意な水で動物を再現するのだ。


「美しいな」

「あぁこれを俺達がやったと思うと・・・・」

「クーアありがとう」

「これからも、よろしく頼む」


 目を開けたウォル達が、復活した大地を見ながらしみじみと言う。そして、俺が作り出した水の動物を見ると笑いながら


「あれはクーアの魔法か」

「サスヴァンで見たやつね」

「可愛いな~」

「・・・・クーアあれは抱きしめれるか?」

「水だけど触れるよ~」


 俺は、水で作り出した兎を呼び寄せてアルベルドに抱かせてあげる。


「柔らかいな」

「水だからね」


 自由にこの休息地を走り回り、飛び回る水の動物達。水の魔法で形を作って一定の動きをするようにしてるだけだから、生きてるように見えて実際には生きていない。だけど、この広い湖に動物が何もいないのは少し寂しいからね。


「クーアあの猫だけ、他と違うんだが・・・・」

「あぁ、あれは俺の分身みたいなやつ~」

「分身?」


 ウォルが指し示したのは、夜の星空のような見た目をしている猫だ。参考にしたのは俺のスナネコちゃんで、この猫ちゃんは他の魔法と違って意思がある。俺のお願いを最優先してくれるけど、好きな場所に行くし好きな場所で寝たりする魔法生物だ。俺の力を使えるようにしてあるから、もしもの時は此処を守ってくれるよ。


「うん、魔法生物って言うんだっけ?精霊みたいな奴だよ~」

「クーアそんな事まで出来たの!?」


 レイランが、魔法スナネコちゃんに凄い勢いで近づいていくけど嫌がって逃げてしまった。逃げた先にはホーン司祭とディーン、ルルーが俺達が復活させた湖を見て固まっていた。全く動かないルルーの頭の上に魔法スナネコちゃんが乗る。


「あ~なんで逃げるの~」

「レイラン、小動物を怯えさせるのは良くないぞ」

「ディーン達動かないんだけど、大丈夫かな?」

「この光景を見ちゃったらね~しばらくそっとしておいた方が良いと思うぞ」

「そ~なのか~」


 俺はディーン達が動き出すまで暇だからアルベルドの頭の上に乗って、復活させた植物たちが元気に育ってるか見ていると叫び声を上げながら


「これは一体どういう事なんだ!!??」


 ディーンが叫びだすと、それにつられてホーン司祭とルルーが動き始めた。


「これは・・・・私は夢でも見ているのか?」

「・・・・猫?」


 ホーン司祭は湖の水面に自分を映しながら困惑してるし、ルルーは自分の顔を覗き込む魔法スナネコちゃんを見て頭を傾げている。俺は、動き始めた3人の元へ飛んでいき


「あ、動き始めた~」

「「「龍!!!!」」」


 あれ~ウォル達と言い合ってる時も見てたと思うんだけど、そんなに驚く?俺を見た瞬間に跪く3人を見てちょっと懐かしい気持ちになった俺は


「普通にしていいよ~俺はみんなが崇めてる竜じゃないからね~」

「・・・・この奇跡は貴方様が?」

「俺だけじゃないよ~ウォル達と一緒にやったの!」


 ウォル達は俺の所まで来て俺の頭を撫でながら


「ホーン司祭落ち着いて話せる場所はあるか?」

「それではこちらへ」


 ウォルに言われて、3人は歩き出したけど目線は俺に固定されてて面白い。ちょっといたずらしたくなって空中を縦横無尽に飛び回ると、3人の顔がぐるんぐるん動くから楽しい!


「あはははは」

「クーア」


 3人で遊ぶ俺をシャールクが呆れた顔しながら呼ぶので行ってみると


「司祭様が大変なことになっちゃうからそれぐらいに」

「は~い」


 俺はシャールクに抱っこして貰って案内されたのは、ディーン達が普段寝たりしている小さな小屋だった。外には長いベンチと長いテーブルここならみんな座れそうだね。ウォル達4人とディーン達3人に分かれて座ると、さっそくホーン司祭が


「ウォル皇子、一体どういう事なのでしょうか?あのクーア君がこちらの龍であられるのですか?そして、この状況は一体・・・・」

「うむ、驚く気持ちは分かる。少し長くなるが聞いてくれ」


 ウォルは俺と出会ってからサスヴァンに行き、そしてこの聖域までの事をホーン司祭に簡潔だが分かりやすく話した。話を聞いている間俺は暇だったから、ルルーの頭に乗っていた魔法スナネコちゃんと追いかけっこをして遊んでいた。みんなウォル達の話を聞いて、「なんとっ」とか言って驚いてるけど、難しい話はウォル達にお任せ!


「と言う事なんだ・・・・」

「運命の導きを受けたようですね」

「このディーン、生きてる間に龍様と出会えるとは・・・・感激です」

「本当に龍様が・・・・龍様が・・・・」


 ホーン司祭はさっきまで取り乱してたけど、落ち着いたようで穏やかな笑顔を浮かべる。ディーンは遊んでる俺に向かって跪いてきて、ルルーは俺を見てぶつぶつ言ってちょっと怖い。


「俺は、ただのクーアだから気にしないで~」

「この地を復活してくださりありがとうございます」

「俺だけじゃなくてみんなで復活させたんだよ~」


 今回この土地を復活させたのは、俺だけじゃなくて加護をあげたことによって増えたウォル達の魔力でやったこと。凄く増えたから慣れれば、俺が手助けしなくてもウォル達だけで大地を復活させられるようになると思う。

 だけど、俺はみんなと一緒にこれから大地を復活させていくよ!

読んで頂きありがとうございます!

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