俺、誓いの湖に行くよ!
俺はウォル達からエルヴィラス皇国の歴史を聞かせてもらった次の日色々と考えていた。ウォル達の話から重要な部分を抜き出すと、汚染された魔力で土地が汚染されてしまった事と、エルディランは眠りに就いてしまった事そしてヴィラスとオーディスが死んでしまった事だ。
確かにこの大地には魔力が少なく汚染されている場所が多いけど、汚染された魔力が通った後にしては痕跡が少なすぎる。大地に残っていた加護の事を考えるとたぶんエルディランがこの大地に魔力を送って長年かけて汚染した魔力を落ち着かせたんだと思う。
地下深くに汚染された魔力がたまってるけど、エルディランには浄化の属性が無かったみたいだから地面深くに封印したんだね。今でも大地の加護は生きてるから、エルディランも生きてるんじゃないかな?
「ねぇねぇウォル」
「なんだ?」
「エルディランって眠りに就いたんだよね?」
「そうだな」
「じゃあエルディランが眠ってる場所って分かる?」
「いや、それは分からないんだ」
「ん?なんで?」
「エルディラン様が眠っている場所が知られてしまえば、悪意ある者達に利用されかねないからな。誰にも知らせず、自分の子供達にも知らせなかったんだ。だから今でも場所は分からない」
「噂とかだったらあるけどな」
「よく聞きますよね、この大地にはエルディラン様が眠ってるんだって」
「うむ、だが本当に眠ってる場所は未だ見つかってない」
「そうなのか~」
エルディランの眠ってる場所が分かれば俺が行って汚染された体を浄化してあげようと思ったんだけど、分からないのか~俺の探知にも引っかからないし、地道に探すしかなさそう。
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「ん~一回挨拶した方が良いかなって」
「ははっ確かにクーアからしたら同じ存在だからな」
「起きてたらエルディラン様も喜んでクーア様に挨拶しに来たと思うぜ」
「ヴィラス様もな」
生きてるかどうかは予想だし、浄化できるかどうかは多分出来ると思うけど実際に会ってみないと分からない。だから、浄化できるって言ってウォル達をぬか喜びさせる訳にはいかないからね!だから内緒。
じゃあ、次は~
「そういえば、ヴィラスって死んじゃったんだよね?その亡骸ってどこにあるの?」
「ん?なんでそんなこと気になるんだ?」
「この国を守ってくれてありがとうって言いたいな~って」
「なるほどな、エルディラン様とヴィラス様が戦った跡地が鎮魂の地なんだが、ヴィラス様の遺骸から汚染された魔力が溢れてしまったんだ」
「それで、悪用されないようにヴィラス様の遺骸をエルディラン様が何処かに隠したの」
「だから、何処にあるかはわからないんだよな」
「鎮魂の地が追悼の場となっているからな皇都に行ったら行ってみるか?」
「うん!」
魔獣化が酷ければその遺骸から汚染された魔力が発せられるのは可笑しくないけど・・・・
「その発せられた汚染された魔力ってどれくらいだったの?」
「確か以外の周りを少しずつ汚染したという記述があったはずだが・・・・」
「少しずつ?」
「あぁ」
ウォル達はどうしてそんな事を聞くんだと不思議そうにしてるけど、これは重要な事なんだ。大地を飲み込む程の汚染した魔力を体に取り込んだなら、いくら核を壊したとしても汚染した魔力周囲の溢れ出すはず。なのに少ししか出してないとなると、もしかたらもしかするかも?
オーディスは魂を使った力を使ったって言ったから弱ってるとは思うけど、魂が消失した訳では無いと思う。生き物に宿る魂は、肉体から離れたら星に戻りまた転生していく。弱った魂は転生するまで星で回復するから、すぐに転生はしないと思うけどね。あと数百年は無理じゃないかな?その人の魂の強さに寄るけどね。
「む~いくら俺でもな~」
「どうしたんだ?」
「汚染された魔力って邪魔だなって思っただけ!」
「あぁあれは危ない、クーアも近づかないよう気を付けるんだぞ」
「俺達が言えた事じゃないけどな」
「・・・・そうだな」
何度も汚染した魔力を浄化しているのを思い出し落ち込む4人。
「そういえば、誓いの湖ってオーディスがエルディランに誓ったから誓いの湖って言うの?」
「そうだ、今でも王族は何かしら自分の人生で決意したことがあればその湖にて誓うのが慣例になってるんだ」
「俺達も旅に出る時に誓いの湖で、この国を救う事を誓ったんだぜ」
「あぁ、誓いの湖も他と同じような状態だったがきっと美しかったんだろうと思える場所だった」
「今は武装神官があそこを守ってますよね」
「あぁ武装神官の中でも高位の者と司祭も常駐しているな」
今でもエルディランのお気に入りの場所を守ってるんだね。やっぱり大地が死んじゃってるみたいだから、俺が復活させてあげよう。ヴィラスのお気に入りの場所は無かったのかな?
「そうなんだ~ヴィラスのそういう場所は無いの?」
「ヴィラス様だとアルベルドの故郷だな」
「そっかアルベルドはヴィラスの末裔だもんね」
「あぁ、我が町はヴィレン山脈の麓にあるのだがそこがヴィラス様の休息地なのだ。二つの山の谷間に強い風が吹くんだが、そこを好みよくヴィラス様が訪れていたんだ」
「そっか風属性だもんね」
「あぁしかもヴィレン山脈は今も活動する火山なんだ」
「おお~全部揃った」
「今度クーア様にも案内しよう」
「うん、お願い!」
火山か~暑そうだね。俺は火属性を持ってないから火は好きじゃないんだけど、ヴィラスとアルベルドの町だからいつかは行ってみたいな~。その為には、暑さ対策しておかないと!
「おっと、魔物だな」
俺達が楽しく会話していると、水を差す悪い奴らが現れた。この国に現れる魔物って俺が居た森と同等か、それ以上の強さの奴らが来るんだよね。それに魔物の見た目も全然森と違う。今回現れたのは、3mはある巨大なサソリが3体。俺達を簡単に両断できるほどの大きなハサミと、尻尾に着いた毒針に注意しないといけない。
よ~し、倒しちゃうぞ~!
っと思ったんだけど結果俺の出番はありませんでした。まずウォルが、突っ込み尻尾を両断すると、そこに追撃で頭にシャールクの風を纏った矢が刺さる。そして、ウォルが胴体を切り裂いて核を壊し終了。
もう二体は、アルベルドが正面から攻撃を弾き、隙だらけの胴体に一撃で倒れて、レイランの作り出した大きな岩の槍で貫かれて終了。
俺の出番なし!
4人共ここらへんで出てくる魔物じゃ話にならないみたい。魔物を倒すとほんの少しだけど、汚染した魔力が体もたまるから内緒で浄化しておこっと。
何度も魔物や魔獣達に襲われたけど、怪我する事無く順調に旅は進み俺達は誓いの湖まで辿り着いた。
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