俺、友達とおしゃべりするよ!
全然気づかなかったけど、どうしてこんな所にコーネスが居るんだろう~?確かにここはネリア側だけどネリアからは結構離れた場所のはずだよ?コーネスが居る理由が分からずに首を傾げているとコーネスは俺を抱き上げ満面の笑みで
「無事のようで良かったぜ!副団長達の姿が見えないっすけど、クーア様一人なのか?」
「うん、俺だけちょっと用事があってこっちに来てるんだ~」
「そうなんすか!なるほど~」
「ところでコーネスは何でここにいるの~?」
「見回りだぜ!」
「え~ここってかなり離れてるよ?副隊長さんがここまで来てもいいの?」
俺の質問に輝く笑顔で答えてくれるけど、ここはネリアから歩いて一日くらいの距離だよ?コーネスの足の速さなら楽勝なのかな?そうだとしても、町の守りを薄くするのはダメなんじゃないの~それにこんな遅い時間に~?
「クーア様のおかげで俺達元気になったから、ネリア周辺の安全確保は終わったんだ。なんで少し離れた場所も調査するようになって今俺がここにいるって感じだな!」
「まだネリアを発ってからまだそんなに日が経ってないのにもうネリア周辺の安全確保が終わったの?早いね~」
「俺達の部隊は機動力が売りだから、体さえ治っちまえばこれぐらい楽勝さ!」
コーネスったら滅茶苦茶自慢げだね!確かにコーネスの部隊って獣人さんが沢山いるから身体能力だけで見るなら普通の人間より断然上だよね!空を飛べる獣人のメイブンさんとかもいるし、みんなが本気を出したらこの短期間で終わっちゃうのも納得かも!
「すごいね~」
「勿論俺達だけの力じゃないけどな。ネリアにも町を守る戦士達はいるからその人たちに協力してもらって町の防衛は彼らに周囲の探索は俺たちが請け負った感じだ」
「町の人達は元気~?」
「おう、つい先日まで死にかけてたのが噓のようにすっげえ元気だぞ。水も食力も前より豊かになったから町に活力が溢れてる感じだ」
「それは良かった~」
水路が引いてあるから遠く離れていても状況を把握できるけど、ネリアにいる人がどう感じてるかは現地の人に聞くのが一番だよね。俺は大丈夫だと判断しても人間とか獣人とかからすると、居心地が悪かったり困ったりすることもある。だから、意見を聞くのは大事!
「どれもこれもチビッ子のおかげだぞ~ありがとな!」
「いえいえ~ってうわっ」
コーネスは俺を空高く持ちが上げると嬉しそうに俺と一緒に回り始めてしまった。みんな俺のことは大事そうに持ち上げるから、こんな速さでグルグルするのは初めて!コーネスって力強いから風が凄くて・・・・面白い!!
「あはははは、はや~い」
「嫌か?うちの奴らはこれで大喜びするんだが」
「ううん、すっごい楽しい!」
このまま手を離されたら遠くまで飛んじゃうだろう速さでグルグルと回ってると、はっとしたような顔で急に止まるコーネス。あまりにも急だったから体がぐわっとしちゃったけどこれも楽しいね!
「んぅ?どうしたの」
「いやいや、こんな風に遊んでる場合じゃなかったな。なんかオアシスが出来てるがそれは置いておいて用事で来てるって言ってたよな。時間は大丈夫か?」
「うん、用事は終わったから大丈夫!」
「それなら良かった。それで副隊長達のところに帰らなくて良いのか?もうかなり遅い時間だろ?」
「うん、今日はここで夜を明かして日が昇ったら帰るつもり~」
明らかに不自然なオアシスなのにそこをスルーするコーネスって寛容だよね~
「むむむ、そうなのか・・・・」
「ここに居たら良くない?移動しようか~?」
この場所は特に何もないけどコーネスは何か用があったのかな?それならオアシスを残して俺は別のところに行くよ。
「いや、そういう訳じゃない!全然ここにいても構わないのだが、クーア様をここで一人にさせるのは良くないと思ってな」
「む~?俺は一人でも大丈夫だよ?」
子供の姿をしてるけど俺は立派な龍なんだから、どれだけたくさんの魔物が来たとしても魔法でやっつけちゃうよ!ウォル達が居ないのは少し寂しいけど、ウォル達と出会う前は一人だったしたった一日だけだから大丈夫!それとも、俺は人間じゃないから何をするか分からないし監視が必要とか?
「クーア様が強いことは重々承知しているが偉大なる竜種であるお方をこんな砂漠の真っただ中でたった一人、護衛もつけずにいるのは色々と思うことがあってな。本来であればクーア様は豪華な場所で丁重な扱いを受けるべきなんだぞ?」
「え~豪華な場所は興味あるけど俺は俺の行きたい場所に行くよ~」
「勿論、クーア様の意向に反することはしないぞ」
「じゃあ俺がここにいても良いよね」
「あぁ、だが俺もここで野宿させて貰うぞ。良いか?」
「んぅ?勿論良いよ~わ~い、こういうのお泊り会って言うんでしょ~!?」
町にいる子供達がお友達と一緒の場所で寝泊まりすることをお泊り会って呼んでたの俺知ってるよ~コーネスは俺の友達だし間違ってないよね?
「んぁ~ちょっと、いやかなり違う気がするな。そうだな、王都に戻ったら本当のお泊り会をしよう。今日は俺が副団長の代わりにクーアの護衛だ。副団長よりは劣るが我慢してくれよな」
「お~護衛!なんか特別感あるね~でも、アルベルドは護衛じゃなくて仲間だよ!」
俺はみんなのことを護衛なんかって思ったことはないよ。みんな大切な友達で仲間なんだ!そもそも俺に護衛なんか必要ないしね!
「あ、確かにそうか。悪かったな」
「ううん、だからコーネスも護衛じゃなくて今日は俺の友達として一緒に夜を過ごそっ」
「う~ん、俺としちゃその誘いはすっごく嬉しいんだが仮にも副隊長という立場だし・・・・」
「そんな難しいこと考えないで良いんだよ~友達として一緒にいてもし危ないことが起きたら友達を守るのは当たり前のことでしょ?」
「う~あ~ん~・・・・確かにそうだな!んじゃお言葉に甘えて今日はよろしくなチビッ子」
暫くコーネスに似合わない眉間に皺を寄せた顔で悩んでいたけど、吹っ切れたのかいつものような笑顔で俺を抱えながら座り膝に乗せてくれた。コーネスの膝はみんなと違って分厚くて筋肉って感じだけど、居心地はいいし何より俺を支える手が凄く優しいんだよね!
「うん、一緒に朝まで過ごそうね~でも人間は夜は寝ないと駄目なんでしょ?いま準備するからちょっと待ってね」
「準備?」
俺だけならオアシスの中で寝ればいいけどコーネスはそうはいかないもんね。ポケットの中から使ってない寝袋を取り出してあげてもいいけど、せっかくオアシスがあるんだし活かさないとね。
まずは~オアシスの水を使ってベットを作ってあげよう!水を取り出して~細長い丸い形にして固めてあげればプヨプヨして気持ち良い過ごしやすいベットの完成!だけど、夜の砂漠は寒くて水が冷たいからこのままだとコーネスは風邪をひいちゃうよね。だから、さっき生やした植物達に協力してもらおう!
「これは・・・・水・・・・だよな?触っても濡れない水なんてあるのか?」
ねぇねぇ植物さん。力を上げるからこの毛布みたいに編み編みになってくれないかな?勿論君達を地面から離すことなんてしないよ。ただ葉っぱを伸ばしてくれればいいからさ!
え、良いってありがとう!
「うわっ草がいきなり伸びた!?というか何で自分で動いてるんだ!?魔法植物かなにかなのか・・・・?」
俺のお願いを聞いてくれた植物さんは自分の葉っぱを編み込み俺が作ったベットの上に乗ってくれた。
「コーネス出来たよ~」
「・・・・俺は魔法に詳しくはないがあり得ないよな?竜種様だからこそこんなことが出来るのか?」
「ん~これは簡単だよ?多分人間でも出来ると思うけど・・・・」
「そう・・・・なのか?いや、クーア様が言うならそう・・・・だよな」
どこか納得いってなさそうな顔をするコーネスだけど、俺は膝の上から降りてベットに連れて行ってあげる。このベットで寝たら気持ちいいと思うよ~
「おぉ~柔らかいな。体が包まれてる感じでこんな感覚初めてだ。それに葉で作られているのにサラサラしてるんだな」
「気に入ってくれた?」
「あぁ、俺の家にあるベットより快適だぞ」
「それは良かったよ~それじゃああとは毛布のような葉っぱをかけて~」
俺はヤシの木さんに協力して貰って作った葉っぱで出来た毛布を掛けて一緒に寝転んだ。
「ヤシの木って自ら幹を曲げるなんてことするんだな・・・・」
「ねぇねぇ、寝るまでお話しして!」
「ん?あぁおう。そうだよな、植物が自ら動くとか普通だよな。うん・・・・。それでお話か・・・・俺はそういうのあまり知らないんだよな」
「コーネスが体験したこととかでも良いよ」
「むむ、それなら沢山あるぞ!これはな俺が見習いだった頃の話でな・・・・」
コーネスの声は元気一杯だけど背中に感じる体温は高くてとても心地が良い。ウォル達とはまた違った抱擁感だよね~・・・・今日は沢山魔法を使ったし魔力を回復するためにもしっかり休まないと・・・・
「それでうっかり団長と一緒に城の演習場を半壊しちまって・・・・あれ、寝ちまったか。・・・・偉大なる竜種クーア様に出会えたことに感謝を、そしてあなたが平穏に暮らせるよう私達は全てを捧げます。私に出来ることは少ないですが、この身は貴方様の盾であり矛であります。今この時だけは安らかにお休みください」
「むにゅ~」
読んで頂きありがとうございます!
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