俺、友達と会うよ!
大変長らくお待たせいたしました。本日より投稿を再開いたします!またクーアとの物語を楽しんでいただけると幸いです。
お昼を食べた後浄化作業を再開した俺達は休む事無く続け、夕食の時間を過ぎても作業を続けていた。
「もうすっかり暗くなっちゃったね~」
「あぁ、だが浄化作業もあと少しで終わりだ。夕食を作って待っている者達には悪いがこのまま作業を続行するとしよう」
「そうだね~終わらせちゃった方が良いよね」
あと少しだけ残してしまうより今日は夜までやって明日は別の作業が出来るようにした方が時間も限られているし効率が良いと思う。だけど、その前にウォルに連絡を入れないとね!俺は水鏡を作り出しブレストと繋いだ。
「クーア!まだ戻らないが何かあったのか?」
「ううん、あと少しで作業が終わるから今日は帰れないんだ~」
「そうなのか・・・・無理はしていないか?」
「勿論!」
「すまないな、夕食は俺達を待たず食べてくれ」
「畏まりました。もし何かありましたらお申し付けください」
「あぁ」
「バイバ~イ!明日には帰るからね~」
俺達は手を振りながら水鏡を消した。これでみんなに心配させなくて済むね。
「さて、残りも頑張ろう~」
「あぁ、今日は強力な助っ人がいることだしさっさと終わらせてしまおう」
俺達は頷きあうと、空から太陽が消え闇が訪れたのにも関わらず眠ることなく赤黒く熱を発し続け火山を彷彿とさせる大地に向き直った。その光景は夜になり星々が輝く暗き世界に大地に燃え滾る炎が神秘的に見えるほど美しいが、美しさとは裏腹に多くの命を奪い世界を蝕む恐ろしさを含んでいる。
「よ~しやるぞ~」
ウォルと話して緩んだ気を取り直して俺は勢いよく地面へと潜る。
(みんな残りもお願いだよっ)
みんなに指示を出して俺は同じように大地を浄化し、水路を広げ大地を正常な状態へと戻していく。一日中やっているからこの作業にはもう慣れてしまったけど、浄化し忘れがないうおう慎重かつ確実にやらないとね!ヴィラスは空を飛ぶのが楽しいみたいで、炎を纏い縦横無尽に飛び闇に包まれた空をまるで翼が生えた太陽のように照らしているけどその作業に狂いは一切ない。流石は遥か昔から存在している竜だよね!
二つの竜種が魔法を使いその力を解放したことによって、魔力は可視化できるほどの濃度となりヴィラスの赤く燃え滾りその中に迸る緑の雷光の魔力と、透き通り全てを包み込み癒し洗い流す水の魔力が混ざり合い、幻想的な風景を作り出し空に光り輝くベールを掛けていく。
二体の竜種がその力を惜しむことなく使い大地を飛び、大地を潜って進んでいく。竜種がもたらす奇跡とも言えるそのような光景は世界が作られた原初の時代か、この国が作られた時代にしか無かっただろう。誰かが見ていれば歴史に刻まれ偉業でありこの奇跡を遥か先まで伝承されただろうが、この光景を見ているのは夜空に浮かぶ静寂を守る星々とこの大地に住まう魔物や動物のみ。
こうして世界を揺るがせ震撼させる奇跡は誰の目にも触れられずたった数日という期間で終わってしまったのだ。
「終わった~~~~」
「うむ、これで大丈夫だな!よくやった」
「お手伝いさん達もお疲れ様~手伝ってくれてありがとうね~」
ワオン キャン ナーゴ ガゥ
俺はやっと終わったことを喜び空を飛び回り、ヴィラスは満足そうに大地を見つめお手伝いさん達は各々鳴き声を上げながら体を揺らし喜んでいる。ふぅ~凄く長い距離だったけどみんなのおかげで今日中に終わらせることが出来て良かったよ~これで魔物の数は減って落ち着きを戻してこれ以上汚染された魔力が広がる事は防げたね。
「夢中でやったけどいったい今は何時だろう~」
「夜遅くという事だけは確かだな」
殆どの生き物は眠りについてしまっているだろう時間まで掛かってしまったけど、これでこの大地の浄化は終わりだね!念の為に探知を入れてみたけど汚染された魔力の気配は一切無いから大丈夫!
「ふ~これで一安心だね!」
「あぁ、これで汚染が広がる事は無くなったな。クーアとその眷属達のおかげだ助かった」
「ううん、ヴィラスがいないと浄化は出来なかったからヴィラスのおかげだよ!」
「いや、あそこまで広範囲の浄化と大地の再生はクーアでなければ不可能だった」
「じゃあ~二人の力ってことで!」
いくら強大な力を持っているとしても、火の魔力が噴出し滾るこの大地は俺と相性が悪くてこんな短期間で浄化するなんて無理だったもん。だから、これは二人のおかげだね!
「そうだな。そういう事にしよう」
「うんうん、それが良いと思うよ!それじゃあお仕事は終わったし町まで帰る?それとももう夜遅いしこのままここで夜が明けるのを待つ?」
普通の生き物だったら夜には眠りに就いて体を休めないと駄目だけど俺達は一生眠らなくても平気なんだよね。それなのに俺が眠るのはウォル達に合わせるため、みんなと同じ感覚と同じ時間を共有したいし同じ事をしてみたいからだよ!だけど、今日はもうみんな寝ちゃってるだろうから一緒に寝られないし、帰る理由も無いんだよね~
「さて、どうするか・・・・セレルに戻るには遅すぎるが夜が明けるまで待つには微妙な時間だろう。このまま何もせずこの美しい夜空を眺めるのも良いが、今は俺達ににそんな時間は無いんだ」
「え~お仕事終わったんだからゆっくりすればいいのに」
「そうはいかない。我々竜種は休むことなく常にこの星を守護し見守らなければない。それこそ俺達竜種が生まれた理由だからな」
ヴィラスは真剣な顔をしながら空を見上げながら言う。確かにそれはそうなんだけど偶にはゆっくりしても良いんじゃない?
「この時間であれば目覚めてくる時間までには帰ってこられるな。俺は少し今の世界を見てくるとしよう。クーアも一緒に行くか?」
「う~ん・・・・行かな~い」
「そうか、無用な心配だとは思うが気を付けて夜を過ごすようにな」
「は~い。ヴィラスも気を付けてね」
俺の返事を聞いたヴィラスは俺の頭を一撫ですると、その雄大で逞しい翼をはためかせ炎を纏いながら星が浮かぶ空へと飛び立ちあっという間にその姿が見えなくなるほど高くまで飛び立ってしまった。俺はその姿を地面に座ったままお手伝いさんと手を振りながら見送った。
「まったくヴィラスはついこの前までは死にそうな状態だったのに、元気になったらすぐにお勤めだなんて真面目過ぎるよ~」
ガウ ミャーン
「みんなもそう思うよね。あんなに頑張ってたんだから解放された今はもっと体を休めてゆっくりすればいいのにね」
今のヴィラスの体は仮初のモノだから肉体的な疲労は消え去ってるだろうけど、永い間汚染された魔力と戦った精神的な疲労は完全には消えては無いはずだよ。
「体を癒すのは簡単だけど魂と心を癒すのは簡単じゃないんだよね~」
「ガウ、ガウウウ」
「ん?ヴィラスにとっては空を自由に飛ぶことで自分を癒してるんじゃないかって?」
ん~確かに空を飛んでいるヴィラスは生き生きとしていたし、すごく楽しそうだったね~みんなの言う通りかも!
「それなら邪魔しない方が良いよね」
魔法を使って休んだらどうって?聞こうと思ったけ飛ぶことが心を癒すならそのままにしておいた方が良いよね!それじゃあ俺たちは・・・・
「んじゃ、お仕事も済んだことだしみんなを元の場所に返さないとねっ」
みんなと遊んで待っていようかと一瞬考えたけど、みんなにはお役目があるから早く元の場所に戻してあげないとね。それに、みんなが動いてくれないと国中に水を届けられないし!
ニャウ グァ アオーン
俺の言葉に頷いたお手伝いさん達はお別れの挨拶としてみんな鳴き声を上げた後、俺から消費した魔力を補充してから次々と地面へと潜っていく。
「みんな~ありがとね~バイバイ~」
手振りながらそれを見送っていると一人だけ地面に潜らない子がいるね~
「あれ~?君は帰らないの?」
「グルゥ」
「そうなのか~」
この猫を大きくして細身にしたしなやかな姿をしているお手伝いさんは特別足が速いみたいで、もう担当している地域が終わっちゃったみたい。しかも、人間が住んでなかったから元の場所に戻る必要がないのか~
「んじゃあ~お休みする?」
「ンナァ!」
「お仕事したいの~?ん~それじゃあセレルを担当してもらおうかな?」
「ナ!」
セレルを担当をしてくる子が居なかったからちょうどいいよね!
「それじゃあ~今日はここにいて明日戻ろうか」
それじゃあ、とりあえず寝床を整えないとね!ウォル達も野宿する時はテントを立てたりしてたし俺も真似して~・・・・あれ?でも、俺にテントって要らなくない?だけど少しでも快適に過ごすならやっぱり水が無いと駄目だよね!とりあえずオアシスを作って~植物がないのは少し殺風景だよね!それなら地面に埋まってる種を発芽させて~お花もあったほうが良いよねっ
「何事かと思ってみたけど・・・・クーア様だ!」
「んぅ?あれ?コーネス?」
寝床を夢中で作っていると突然声を掛けられて振り返るとそこにはネリアにいるはずのコーネスが居た。どうしてこんな所にいるんだろ~?
読んで頂きありがとうございます!
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