俺、ヴィラスのお手伝いをするよ!2
「なるほど、お前達の事情は理解したが竜種としてそしてこの国の守護竜としてこの状態を放置する訳にも行かないんだ。さて、どうしたものか」
「申し訳ありません・・・・」
「どうしよっかね~」
ふむ~俺達からするとこの大地に汚染された魔力が残っているのは凄く気になるし、出来るならすぐさま排除したいって感じなんだよね~。汚染された魔力はそこにあるだけで生き物や大地に悪い影響を齎すから、生き物の傍にあるのは良くないんだよね。極端な事を言ってしまえば、俺としては少し気になるけど、燃え爛れる大地はそのままで汚染された魔力だけ取り除けてしまえば俺達は良い。
「じゃあさ~地面の下だけ浄化して正常な状態に戻して表面だけヴィラスの力で燃やし続けて貰おうよ。それなら見た目も変わらないし俺達の目的も達成できるでしょ?」
「ふむ、命が芽吹く大地にまで戻したかったが暫く待てば良い話だしな。浄化が出来るのであれば、俺は満足だ。そちらはどうだ?」
「私からは異論はありません」
「同じく」
うんうん、みんなの了承を貰えたことだし早速やろっか~
「それじゃあ、俺達は作業に戻るね~ウォル忙しい時にごめんね~」
「手間を掛けさせたな」
「いや、俺が必要な時はいつでも聞いてくれ」
「私もお二人のお力になれるのであればいついかなる時もお頼りください!」
「バイバ~イ」
忙しい中教えてくれた二人にお礼を言い手振りながら俺は繋いでた水の鏡を消すと、俺達は改めて燃え爛れる大地に視線を向けた。
「それで、さっきの案を実現するにはどうすれば良い?」
「ん~地面の奥深くまで浸透しちゃってる火の魔力を回収できる?地表の魔力はそのままで良いから」
「あぁ、それぐらいなら簡単だ。だが、汚染された魔力を燃やしていた物が無くなるから急速に汚染が広がるぞ」
「うん、分かってる。だから、火の魔力が無くなった瞬間に俺が水路を広げて一気に浄化するよ」
汚染された魔力と言うのは他の魔力や物を侵食していく性質があるから、阻んでいた物が無くなると急速に広がっちゃうんだよね。だけど、広がる前に俺の浄化で消しちゃえば大丈夫!俺の水は地面をすっごい速さで移動できるんだから!
「分かった。範囲はどれくらいにする?」
「流石に一気には無理かな~」
「それは俺も同じだ。取りあえずそうだな・・・・あの辺りにしようか」
この大地は俺達が朝から夜まで殆ど休む事無く走り続けたとしても7日掛けないと超える事が出来ない程大きな大地だ。流石の俺でもそこまでの広範囲を一度に全部は無理!それはヴィラスも同じようで、少し見渡した後手を振り火柱を立てて範囲を指定してくれた。
「この大きさが今出来る最大の大きさだ。いけるか?」
「勿論!」
「流石だな。それじゃあ、地中の火の魔力を回収するぞ」
「は~い」
指定された範囲は俺達が今見渡せる全ての範囲だけどこれぐらいなら大丈夫だね。いけると聞いたヴィラスは頷くと真剣な眼差しで地面へ手を伸ばし意識を集中し始めた。ヴィラスは地面に広がる火の魔力を少しずつ掌握していき、予定していた範囲にある全ての魔力を掌握すると、
「行くぞ!」
「は~い」
勢い良く手を振り上げるとそれに追従するように火の魔力が大地から一気に湧き上がり濃密な魔力はまるで燃え揺れる炎のカーテンのように視界を埋め尽くしていく。あまりの濃さに魔力が見えない人だとして、これははっきりと視認出来るだろう。そして、魔力を回収している範囲全てから湧き出していると言う事は浮いている俺達の真下もも範囲内な訳で大量の火の魔力が俺達に迫りくる。
「おお~・・・・あっついいいいいい」
「あ、すまない」
大地を変えてしまえるほどの大量の魔力が湧き上がり俺達の事を包み込んできたので、俺は慌てて水の膜を張り魔力を防御したけどとんでもなく熱かったんだけど!!!魔力を露出してくれるのは凄く助かるけど、その魔力を俺に当てるのはちょっと許せないぞ!!
「危うく火龍になっちゃうところだったよ!!」
「すまんすまん、ついな」
「むぅうううう」
火の魔力を浴びて凄く気持ち良さそうにしてるけど、俺は水龍だから火の魔力は好きじゃないの!
「暑いからさっさと吸収して!」
「あいよ」
俺は文句を言いながらも大地から消えた火の魔力の代わりになるように、予め引いていた水路を大地に根を張るように巡らせ隅々まで俺の水を巡らせていく。俺の水が大地に染み渡るのと同時に、大地に宿っていた汚染された魔力は次々と浄化されていく。その作業をしている間にヴィラスは湧き上がったら魔力を全て吸収していき俺達を包んでいる火の魔力は無くなった。
「ふ~少しは足しになるな」
「それは良かったね」
「悪かったって次からは気を付ける」
満足そうなヴィラスに頬を膨らませながら文句を言うと、俺の頭を撫でながら謝ってきたので許してあげるか。
「ん、許してあげる」
「ありがとな。よし、浄化も終わったみたいだな」
「うん、最後の仕上げをしたら次に行けるよ~」
俺は浄化されたのを確認すると、大地に地の魔力と水の魔力を分け与え渇き燃え滾っていた大地を植物や生き物が生きられる大地へと変えていく。暫くの間はこの大地の地上は無理だけど、時が来たらすぐに復活できるように整えておかないとね。地中の復活を終えた俺は過多になってしまった水路を必要な分だけ残し他は全て消し去り最後の仕上げは終わりだ。
「終わったよ~」
「ご苦労だった。それじゃあ次行くぞ」
「は~い」
今俺達が元に戻した範囲は広大な大地のほんの一部だけだ。この環境を変えるほどの魔力操作と浄化は俺達にしか出来ないことだけど、俺がこの町に居られる時間は限られているから素早く浄化して町に居る間にここの全ての浄化を終わらせないとね!俺達は並びならがら燃え爛れる大地を飛び回り、テンポよく浄化を進めて行くとようやく五分の一ほど終わったかなって頃には日は落ちて夜になっていた。
「もう夜か~」
「ふむ、このペースだと駄目だな」
「だね~」
予定では俺は此処をあと数日で発ってしまうけど、この調子だとあと4日は掛かってしまいそう。出発の日程に間に合わせる為に寝ずに動けば何とか間に合うだろうけど、ヴィラスが言うにはヴィレン山脈とセレルでも俺に手伝って欲しい事があるみたいだしそれもやるとなると確実に時間が足りないね。
「大分慣れてきたが一つ一つの作業が止まってしまうのがここまで時間が掛かる原因だと思うだのが、止まらず飛び進めながら同じ作業が出来るか?」
「無茶言わないでよ~水路を伸ばすのは何とかなるだろうけど、大地を復活させる作業は無理だよ~」
大地を復活させる作業は土の一つ一つに命を与え本来あるべき姿に戻しているので、一回大地の記憶を読むと言う事が必要になっているのだ。この作業は大変で手間が掛かるけどそれを無視してしまうと元の生態系を壊すことになるし省くことは無理!
「大地の記憶を読み再現をするという処理が追い付かないか・・・・」
「うん、逆に訊くけどヴィラスは魔力の回収を飛び進みながら出来るの?」
「あぁ、ここに流れている魔力は元は俺の物だからな掌握するのは簡単だ。あとはそれを操ってやれば良いだけだから飛びながらでも作業は出来るな」
「む~」
「俺とクーアでは作業の難度が違い過ぎるから仕方が無い」
確かにヴィラスは魔力を操って回収しているだけだから簡単だろうけど、ヴィラスに出来るのに俺が出来ないのは足を引っ張ってるみたいで嫌だ!
「そうなると、こっちの大地は途中までにして山脈と町の調整に力を入れて貰うか・・・・」
「ん~処理・・・・大地の再生・・・・手数・・・・あ!」
「ん?どうしたんだ?」
「良いこと思い付いた!」
俺一人じゃ処理出来ないなら大地の再生の為に生まれて貰った子達に手伝って貰えば良いんだよ!属性が変わっちゃう程の火の魔力は表面だけ残してヴィラスに回収して貰って、追加で俺の防御を掛けてあげればあの子達も来れるはず!
「良いこと?なんだそれは」
「それはね~明日のお楽しみ!」
「気になるが・・・・そう言うならば明日を待つとするか」
「うんうん、明日驚かせてあげるから今日は帰ろっ」
俺達は作業を中断してウォル達が待っているセレルへと戻るのだった。
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