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俺、これからもっともっと頑張っちゃうよ!

 みんなの逞しさと優しさに励まされ、ぐちゃぐちゃになってしまった心と顔を直しみんなと一緒に笑い合ってると、こうなると分かっていた様に笑うヴィラスが俺の頭を撫でながら言う。


「話は纏まったみたいだな」

「うん!ヴィラスはこうなるって分かってたの?」

「まぁどれだけ時間が経ったとしても俺達の民だからな。何を考えて俺達をどう思ってるのかぐらい分かるさ」

「凄いね~」

「伊達に長く生きてないってな」


 俺はみんなから怒られ嫌われると思っていたけど、ヴィラスは最初からみんなが加護の事を知っていてどうなるかを理解したうえで俺達が話す場を整えてくれたんだね。だからすぐにみんなの元へ行かせてくれなかったし、急ぐ必要は無いって言ってたのか。そうだと分かってたなら先に行って欲しいよね!!昨日は本当に悲しくて寂しくてもうみんなに嫌われたって凄い落ち込んでたんだから!!!


「む~分かってたなら早く言って欲しかった!」

「人の心を知る良い勉強になっただろ?」

「ヴィラス達だって加護を使ってるくせに・・・・」

「国民に配った加護はほんの僅かで国民達の魂を変質できる程の力は無い。力の調整は俺の得意とするところだからな」

「うぐっ」

「それに、俺が大丈夫だって言ったって聞く耳持たなかったじゃないか」

「うぐっ・・・・」


 それは・・・・そうだね。あの時ヴィラスの口からウォル達は加護の事を知っていて受け入れてくれてると言われたとしても同族のよしみで言ってくれているんだと思って、信じなかっただろうね。だって、魂の変質を受け入れる生き物がこの世にいるなんて思わなかったもん。


「だから、こいつらと面と向かって話す場を作った訳だ」

「ヴィラス様、この度は誤解を解く場を作って頂きありがとうございます」

「気にするな」

「私も加護の事は聞いていましたがまさかここまでの拒否感を感じさせるものなのですね」

「うむ、まさかクーアがあんな事を考えているとは思わなかった」

「俺達はクーアが嫌いになる事なんて一生無いから安心しな」

「むふぅ~」


 ウォルは大きくなっているヴィラスに頭を下げお礼を言い、レイランは俺を抱き寄せると頭を撫でながらしみじみと言う。人間達には分からないみたいだけど、なんて言うんだろう。すっごくモヤモヤして気持ち悪いんだよね。


「それと、何も分かって無いのに強力な竜種の加護を渡したクーアにお灸を据えるためだな」

「うぐっ」

「今回は良い方向に進んだから良いが、いつもこうとは限らない。俺達は強力な力を持っているのだから、その力の使い方を正しく学ばないと駄目だ。今度から安易に力を使うんじゃないぞ」

「は~い」

「それに付随してこれからは俺が竜種についてを色々教えてやるから覚悟しておけよ。俺の指導は厳しいぞ」

「え~優しくが良いな~」


 今日の事で実感したけれど俺には知らないことが多すぎる。ある程度なら知っているけど、人間がどう思うとか俺達の力がどう影響するのかそして俺と言う存在はどんな影響をもたらすのかを俺はしっかりと学ばなきゃいけないな。そうじゃないと、大切な友達のみんなを傷つける事になっちゃうからね。導き手としてヴィラスはこれから色々な事を教えてくれると言っているし、これから沢山の事を勉強するよ!でも頑張るから優しくが良いな~


「駄目だ。クーアも竜種として生まれたからには星の守護者に相応しいものになって貰わなくてはならない。竜種が殆ど居ない今なら尚更な」

「う~」

「力だけなら俺を越しているんだから、沢山働いて貰うからな」

「いやああああ~みんなとゆっくり一緒に居たい~星さ~ん早く竜種を復活させてよ~!!」

「後数千年は無理だろうな。あの戦いで滅びた竜種達は皆汚染された魔力によって魂を傷つけられている。それを癒すには相当な時間が必要だ」


 今この世界に居る竜種で動ける者は多分だけど俺とヴィラス以外に居るかどうかって所だね。竜種の魂は膨大な魔力と強力な力を宿しているから癒すのにも時間が掛かるだろうし・・・・多くの竜種で行っていた世界の調整を暫くは俺達だけでやらないと駄目だろうね。それは流石に大変だし早くエルディランを見つけて手伝って貰わないと!


「後で魔力を星に送っておこっと」

「皆様はよく星の話をしますが、私達には遠く実感出来ない存在なのでいまいち分かって無いんですよね」

「皆様を生み出し理を作り世界そのものである星」

「大昔にヴィラス様によって存在を証明され、現在では王城で研究がされていますが全くもって研究が進んでいないと聞くな」

「他の国だと星と言う存在すら知らない者が大多数だからな」


 俺達の話を聞いて難しい顔をするウォル達はいまいち星について分かって無いみたいだね。星は全てを生み出した存在ではあり、生き物の理を決めてはいるけれど積極的に生き物達に関わらないから存在と意思を把握しているのは竜種くらいだ。だから、人間達が分からなくても無理はないと思う。


「星は俺達竜種以外が干渉するのを極度に嫌がっているからな。だから、干渉もしないし主張もしない。むしろ自分の存在を忘れて欲しいとまで思っているだろうな」

「全ての祖であり世界そのものが干渉されるのを嫌がっているから、知ることが出来なくて当然だよ」


 星相手にはどんな竜種や生き物でも敵わない。だから、全力で存在を消されたら気付く訳が無い。そもそも存在自体が大きく当たり前だから、気に掛けもしなかったりするしね。


「と言う事は・・・・星の研究は行わない方が良いのでしょうか?」

「だとしたら直ぐに父上に進言し研究を止めさせてもらおう」

「白風は大地への感謝はするがそう言った研究を行っていないから大丈夫だ」

「他国で星の研究をしているのはエルフの所ぐらいだな。兄貴が居るから働きかけることは可能だぜ」

「いや、別に研究するのは構わないが干渉するのは止めときな」

「そうだね~調べる分には大丈夫だと思う」


 干渉をしない限りは多分大丈夫だろうね。もし星に変な事をしたら俺達が動かないといけなくなるから、その境界線はしっかりと引いてね~


「なるほど、ありがとうござます」

「申し訳ございませんが、もう一つ大事な質問を宜しいでしょうか?」

「おう、俺が答えられることなら良いぞ」


 星の話が終わった後、ウォルは顔を引き締めるとヴィラスの正面に行き真剣な様子で話し掛けた。真剣さを感じたヴィラスは先程もゆったりとした姿勢で飛んでいたの止めるとウォルの目を見る。


「ヴィラス様はエルディラン様の行方をご存じでしょうか?我々はヴィラス様の様にエルディラン様を救いたいと思いここまでやって来ました。僅かな手掛かりは持っているのですが、まだ確証を得ていないのです」

「知らないな。汚染された後は殆ど意識を失っていて、エルディランにこの土地に安置されてからの事しか覚えていない。俺を安置したエルディランが何処に行ったのかはさっぱりだ」

「やはりそうでしたか・・・・」


 そうだね~エルディランが何処かに行ったのはヴィラスが死んだ後だったから分からないよね。この町には居なさそうだし予定通り鎮魂の地に行くしか無いだろうね~


「だが、確実とは言えないが心当たりはあるぞ」

「本当ですか!?」

「おう、あいつは責任感が強く自分が仕出かしたことは全て自分で解決しようとする節がある。だからこそ王様なんて面倒な事をしてたんだからな」

「そうなのですか・・・・」

「だからあいつはきっと自分で荒らしてしまった土地を抑え込もうと思うだろうな」

「つまり・・・・お二人が戦った場所ですか」

「鎮魂の地・・・・」

「俺はあの時意識が無かったから知らないがそんな場所あったか?」


 そうか、ヴィラスはあの時意識が無かったから場所を知らないし鎮魂の地って言うのも後から付けられた名前だもんね。


「草木や砂すら無いこの先の灰色の大地のことです」

「あ~命の墓か。なるほど、そこならどう戦っても生き物に影響は無いからな」

「あの大地は命の墓と言うのですか?」

「おう、知ってるのは俺達竜種ぐらいだけどな」

「墓・・・・」

「お墓なの~?」

「俺も詳しくは知らない」

「え~」

「だが、これで信憑性がかなり上がったな」

「えぇ、急ぎましょう」


 鎮魂の地は昔は命の墓と呼ばれてたみたいだけど、その理由はヴィラスでも分からないみたい。だけど、これでエルディランが居る可能性が上がったね。今の俺はみんなともっと仲良くなれて絶好調なんだから早くエルディランを見つけて助けてあげるね!!

読んで頂きありがとうございます!

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