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俺、流石に疲れたよ!

 ふぅ~今日一日だけで色々な事がありすぎだよね~


 このヴィレン山脈の謎と豊かな自然を体験して、色々な生き物達がこの山に残っている事に驚いて、空から沢山降ってくる火の岩を撃ち落としてそのあと火山の中に潜ったんだからね!しかも、その後は沢山の魔物達と戦って大量の汚染された魔力を浄化したらヴィラスの魂をこの世に戻して、さらにさらに星の魔法を使って復活を早めてあげて仮の肉体に意識を繋げてって・・・・色々あり過ぎ!!流石の俺も少し疲れちゃったよ~


 飛んでいるのもなんか怠いから、おぶってもらおっと。


 一度に色々な事をして疲れた俺は休むために、ウォルの背中に張り付き顎を頭の上に置く。うんうん、ウォルの背中は大きくて居心地が良いんだよね~このまま少し寝たい気分だよ。


「ふ~疲れたっ」

「・・・・疲れているところ悪いんだが、ちょっとこの状況を説明して貰えないか?」

「ちょっと情報量が多すぎて、処理が追い付いて無いんだが」

「仮の身体?え、どう見てもヴィラス様よね?」

「尊きヴィラス様!そのお姿も素敵です!」

「・・・・」


 ウォルとシャールク、レイランは20年間の眠りに就くと言われたヴィラスが、俺の背中に乗れるくらい可愛らしい大きさになって現れたことに驚き唖然とし事態が呑み込めていないみたいだ。アルベルドとディオクスは小さなヴィラスに向かって深々と頭を下げなげら、崇めている。説明してあげたいけど、少し疲れたから眠いんだよね~・・・・


「ヴィラス、後よろしく~」

「え」

「ちょ」

「クーア!?」


 自分に起きたことはヴィラスが一番よく分かっている事だろうから、説明はヴィラスに任せて俺は眠りに就くね。それに、ヴィラスは俺と比べ物にならないくらい永い年月を生きているんだから、知識は俺より上だろうし説明も上手でしょっそれじゃあ、あとはよろしく~




side ウォル


「寝てしまったな・・・・」

「えぇ・・・・」

「仕方が無いわね」

「そうだな、クーアには頑張って貰ったから休ませた方が良いだろう」


 全身を俺の背中に預け一切警戒する事無く眠りに就くクーアの信頼に、俺は嬉しく思うが今は状況を把握することが急務だ。俺はアルベルドの隣に行き首を垂れると、


「炎と風の支配者、いと尊き守護竜ヴィラス様。恐れながら幾つか質問をしてもよろしいでしょうか?」


 常にクーアと共に居るせいで竜種と言う存在が身近になりつつあるが、竜種はこの世界の頂点に立つ者であり簡単に会える存在では無い。しかも相手はこの国の創立者であり、外の国から我々を守り汚染された魔力から世界を守った守護竜様だ。本来であれば俺のような者が話しかけて良い存在では無いが、クーアが寝てしまった今この状況を全て理解できているのはヴィラス様だけだ。決して不敬に当たらないよう、最上級の対応をしなければならない。


「はぁ」


 溜息・・・・何か不敬を買うようなことをしてしまっただろうか。


「そんな畏まらなくて良い。そこのクーアと同じような話し方で構わない」

「いえ、そういう訳にはいきません」

「全く今も昔も俺の民達は堅苦しいな・・・・まぁ良い。質問には答えてやるから、まずは俺の質問に答えて欲しい」

「寛大なお心に感謝いたします。それで質問とは何でしょうか?我々でお答えできるものであればなんでもお答えします」


 まさか、ヴィラス様から質問がしたいと仰られるなんて思ってもいなかった。賢くありとあらゆる知識を持つヴィラス様が聞きたい事とは一体何だろうか?幸いここには様々な分野に精通している五人が居る。全員の知識を合わせれば大体の事は答えられるはずだ。


「そうか。んじゃあ、そこのクーアは一体いつ生まれたんだ?姿からしてどう見てみもまだ若い個体だろう?」

「クーアの話では半年ほど前だということです」

「半年だと?俺が眠ってから一体何年経った?」

「250年程です」

「たったそれだけしか時間が経っていないのか!?それなのに・・・・」


 ヴィラス様の質問はクーアについてだった。俺達と出会った時には三ヶ月と言っていたから此処に来るまでの日程を含めるともうすぐで半年になる。この三ヶ月は夢と幻想のような日々であったな・・・・それにしても250年がそれだけとは流石は竜様だ。そのヴィラス様は俺の答えを聞いて難しそう顔を顰めてしまった。


(たった250年で新たな龍が生まれただと?あり得ない話では無いが、星は250年前のあの汚染された魔力によって相当な消耗をしたはずだ。汚染は大地にしみこみ、環境に影響を与えこの世界の糧となる魔力を害のあるものへと変えてしまう故に、星にダメージを与え世界を維持するのも難しい状況にあるはずだ。しかも、星の重要な力の源である魂の循環が汚染された魔力に魂が捕らわれたことによって、力を蓄えられず弱っているはずなのに龍を作り出す余力があるとは思えない)


 一体どうしたんだろうか?何も言わず考え込んでしまったヴィラスに保管のみんなも困惑している。


(力の弱い竜種を生み出すのならば解るが、クーアの姿形は小さいがその身に秘めた魔力と力は全盛期の俺に並びそうなほどだ。竜種と言うのは生まれた時から完璧な星の管理者であり守護者だが年月を重ねるごとに徐々に力を増していくものだ。俺は最古の竜種と言っても良いほど遥か昔から存在しているが・・・・一体どういう事なんだ?)


「クーアは生まれた時から力を自由に操れたのか?それと導き手は誰だ?水属性ならばポセイドンかアクエリアが適任だろうが、あの戦いで星へと還ったはずだ」

「生まれた時からどうかは分かりませんが、三ヶ月前俺達と出会った時には既に力を自由にお使いのようでした。それと、導き手というのは何でしょうか?」

「導き手は、竜種に力の使い方と生き方を教える先達の事を言う。竜種には必ず居るはずなのだが・・・・まさか居ないのか?」

「そう聞いています。生まれた時は一人だったと」

(導き手が居ないだと?そこまで竜種の数が減ってしまったのか、それとも必要が無いのかどっちだ?俺は永く生きてきた故にこの星に存在する竜種は全て知っている。だから、クーアが遥か昔に存在した竜種の転生体では無い事ははっきりしているが・・・・そうだとしたらあの強大な力を操る技量は何なんだ?)


 導き手・・・・そんな言葉は初めて聞いた。竜種に詳しいレイランや情報通のシャールク、白風の一族であるアルベルドにディオクス殿。そして、王族である俺ですら知らないことだ。まさか、竜種にもそのような指導者のような存在が居るとは思わなかったぞ。


「なるほど・・・・色々分かった。これで最後の質問だ。大地は一体どうなっている?」

「大地とはこの国のみの話でしょうか?それとも・・・・」

「世界全体だ」

「エルヴィラス国の大地は枯れ果て砂と還ってしまいましたが、他国では変わらぬ状況が続いているようです。ですが、ここ最近では異常気象や天災が頻繁に起こっていると聞いています」

「ふむ・・・・」

(異常気象と天災か・・・・)


「それではお前達の質問に答えよう。何が知りたいんだ?」

「ヴィラス様のそのお姿は一体どういう事なのでしょうか?クーアが先程仮の身体と言っていましたが・・・・」


 一番知りたいのはヴィラス様に何が起きているのかだ。俺達が寂しいと言ったからクーアは仮の体を作ったようだがもし無理をさせてしまっているのであれば、クーアに言って戻してもらわなくては。


「この体はクーアが星の魔法と自分の魔力で作り出した俺に合わせた仮初の肉体だ。一種の魔法生物と言う表現が合うと思うぞ」

「またお会い出来たのは光栄ですがヴィラス様は休息に入った筈では?何か悪影響などは・・・・」

「大俺の今の状態は魂は星で癒されながら、意識だけをこの肉体に飛ばしている状態だ。この体に何か有ったとしても、何の影響も無いから心配しなくて良いぞ」

「それは良かったです」


 意識だけを仮初の肉体に宿す・・・・クーアは凄いな。


(魔法生物を作り出すことは、熟練した魔法操作と精密な体を作り出す魔力が必要になる。竜種であったとしても、魔法生物を自由自在に作れるもんじゃ無いんだがな・・・・・)

読んで頂きありがとうございます!

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