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俺、頑張っちゃうよ~

「クーア・・・・」

「それいきなり言っちゃうのね」

「だって~」


 いきなり自分が龍だということを明言はして無いけど、殆ど言ったようなことを言った俺にみんなは呆れ顔している。でも、俺だって考え無しで答えた訳じゃ無いんだよ!この旅で学んだことの一つとして、竜種って存在をこの国の人間達は大切にしているってこと。だから、俺がお願いしたりするとどんな事でもしようとしちゃうんだよね~

 俺としては無理に言う事を聞かせてるみたいでこれを利用するのは、ちょっと嫌なんだけどあの反応と魂の揺れからしてディオクスは、ヴィラスの居場所に心当たりがあるみたい。人の力じゃどうしようも無いって思っているなら俺の正体を明かして、どうにかなるって教えてあげた方が良いと思うんだよね。


「一体どういう事なのだ、アルベルド」

「ふむ・・・・」

「もう言っちゃった方が話し進むでしょ~?」

「確かにそれはそうなんだが・・・・」


 言うのを少し迷っている様子のみんなと俺達が何を言っているのか理解できず眉間にしわを寄せるディオクス。ウォルは少し悩んだ後溜息を付くと


「確かにクーアの言う通りにした方が話は進むだろう。機会を見て明かすつもりだったのだが、ディオクス殿は町の中心人物かつ重要人物であるため明かしても問題は無いな」

「まぁそれが一番言い方法よね~」

「うむ、父さんであれば決してクーアを害そうなど思わないだろう」

「何の話か分からないが、私は幼子を傷つけるような鬼畜では無い」


 顔を顰めるディオクス。みんなの許可を貰ったので俺はウォルの背中から飛び降りて宙に浮く。それを見てディオクスは目を見開き驚いてるけどまだまだ驚くことはあるんだよ~


「飛んだ・・・・?」

「じゃあ改めて自己紹介するね!」


 俺はディオクスの目の前まで飛び、魔法を使って水を作り出しそれを繭のように俺を包み込ませる。そして、外から見えなくなった俺は人の姿から龍の姿へと戻った。


「水の魔法・・・・この地で行使するとは・・・・」


 俺の体は火の魔力の影響を少し受けてしまっているけど、いつも通りキラキラと光る星々を浮かべた水面と化し抑え込んでいた魔力を開放する。纏う八つの星々は意志を持っているかのようにクルリと俺の周りを巡り輝き始めた。元の姿に戻った俺は、水の繭を解除しみんなの前に姿を現す。


「龍・・・・・!!!」

「やっほ~水の龍クーアだよ!よろしくねっ」

「っ!!ご無礼を働き申し訳ございません。アルベルド何をしている御前の前だぞ!!!」


 飛んだことで目を見開き驚いてたディオクスは、水の繭から現れた俺を見て口を大きく開けて目が落ちる程驚いたけど、すぐさま俺の前に跪くと迫力のある大声で謝罪をし俺の横で座っているアルベルドに怒鳴った。


「そんな畏まらなくて良いよ~普通にして~」

「いえ、そういう訳にはなりません!いと尊きお方にそんな態度を取るなど言語道断です」

「あ~クーア。父さんは一度決めたことに関しては頑固だ。だから、もう気にしないでやってくれ」

「アルベルド!龍様になんて口調だ!」

「そうなんだ~じゃあ仕方ないか。俺に対しては、好きな口調で良いって言ってるしお友達だからアルベルドは良いんだよ~」

「さ、左様ですか・・・・」

「これで、俺が龍だってことが分かってくれたみたいだし俺ならみんなの力になれるでしょ?だから、ヴィラスのこと教えて欲しいな」

「ですが、龍様のお手を煩わせるのは・・・・」

「む~さっきと言ってること違うよ!」


 ヴィラスに対して何かしてあげたいけど、人の力じゃ足りなくて困ってるんでしょ?だから、俺が手を貸してあげるよ!


「そ、そうですが・・・・」

「父さん、諦めた方が良い。それに父さんだって龍の力を借りなければどうにもならないことを理解しているんだろ?」

「・・・・大変恐縮ではございますが、どうかお力を貸していただけませんでしょうか?」

「勿論!任せてねっ」


 アルベルドの言葉を聞き少し迷った様子を見せたが、ディオクスは頭を深く下げお願いされたので俺は胸を張って頷いた。そして、まずはディオクスから詳しい話を聞かないといけないので、一旦跪いた状態からアルベルドが強制的に座らせた。最後まで抵抗していたけど、俺がお願いすると素直になってくれたんだよね~ここまで頑固なのは初めてだよ。


「さて、ディオクス殿現状ではヴィラス様についてどれだけ把握しているのか教えて頂けないだろうか」

「今分かっている事としては、このヴィレン山脈の何処かにヴィラス様の遺骸がお眠りになられている事だけです」

「それは確かなのか?」

「はい、ほぼ確実です。少々お待ちください」


 そう言うとディオクスは自分の執務机の引き出しを取り外し、その下に在った金庫から古そうな石板を取り出した。そしてその石板には覚えのある魔力が宿っていた。


「あ、それってディオが書いた石板!」

「流石は龍様一目でお分かりになられるとは、この石板は仰った通りディオ様が書かれた石板で我が家の先祖でありヴィラス様の番であるミルガンナ様から代々受け継いできた物なのです」

「そんなの俺は知らないが」

「お前は早く家を出たからな」


 アルベルドは少しばつが悪そうにディオクスから視線を外す。その様子に溜息を付きながら話の続きを始めた。


「この石板によると、エルディラン様はミルガンナ様が何時でもヴィラス様の傍に居られるように遺骸をヴィレン山脈の地下へと安置したそうです」

「だが、それでは汚染された魔力が・・・・」

「それは、山の力が解決してくれるそうです」

「それ見せて貰っても良い?」

「勿論です、どうぞ」


[ セレルに着いてからまず最初に尋ねたのは、ミルガンナ様の家だ。龍の番であるミルガンナ様は長い歳月が経った今でも若々しく美しい姿であられた。ミルガンナ様とヴィラス様はとてもお似合いの夫婦であり手本とした程だ。そして、なにより母上と姉妹のように仲が良くきっと母上ならばこの近くにヴィラス様を安置したはずだ。

 最初は知らないとあしらわれてしまったが、何度も尋ねたことによって折れて下さった。ミルガンナ様が言うには、ヴィラス様はヴィレン山脈の地下の何処かに安置されているそうだ。詳しい場所はミルガンナ様でも知らないようだが、取りあえず場所が分かっただけでも大きな成果だ。


 ヴィラス様に宿ってしまった汚染された魔力は、エルディラン様の守りと山の魔力で焼き尽くしてくれるだろうと言っていたが本当に大丈夫なのか?

                       記録33 ディオ・エルヴィラス]


「ふむ~」

「なんて書いてあるんだ?」

「翻訳して貰えると助かるんだが・・・・」


 石板を見て首を傾げる俺を見て、内容が気になった四人に読み上げてあげると驚きと困惑の表情を浮かべた。


「ミルガンナ様からの話であれば信憑性があるな」

「だけど、エルディラン様の守りってなんだ?」

「焼き尽くすって・・・・汚染した魔力って火で焼き尽くせるの?」

「汚染された魔力はそれを圧倒する魔力を使えば、消すことは出来るんだよね~」

「そうなの!?」

「だけど、人間じゃそんな魔力持ってないから普通は無理だね。竜種ぐらいの魔力が無いとね~この土地は竜の影響をかなり受けてるから少量の汚染された魔力なら消せると思うよ」

「知らなかったぜ」

「普通は無理な方法だから仕方ないよ。エルディランの守りって言うのは多分だけどヴィラスの遺骸に何か細工をしたのかもね」


 エルディランもこの土地の特性を利用して汚染した魔力を消そうと思ったんだろうね。守りって言うのは多分だけどヴィラスに宿ってしまった汚染された魔力が魔法で一気に解放されないようにしてるのかも?でも、この土地の状況だと浄化しきれない程度漏れ出てるみたいだし~何か守りの魔法に何かあったのかな?


「なるほど、そういう意味でしたか」

「他にこういう石板とか見つけてない?」

「我が家に伝わる物はそれだけです」

「ん~詳しい場所が分からないのは残念だけど俺が探せば何とかなるかも?」

「私達も協力するわ」

「それであれば、ヴィレン山脈に慣れている私が案内役を務めましょう。ですが、今日は皆様はお疲れでしょうから取りあえず今日は我が家でお休みください」

「あぁ、お言葉に甘えよう」

「ずっと魔法を使い続けてたからさすがに疲れたものね」

「明日から頑張るか」


 取りあえず今日はみんな疲れているし、明日になってからが本番だね!ヴィラスの居場所も分かったことだし、ちょっと調子はまだ戻って無いけど俺頑張っちゃうぞ~!

読んで頂きありがとうございます!

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