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俺、アルベルドに伝えに行くよ!

※お知らせ

新しく妖怪と特殊体質の高校生がおりなすほのぼのとした日常を描いた現代ファンタジー「求眠堂の夢食さん」というお話を投稿しております。種族の違う二人が様々な妖怪と出会う事で紡いでいく、笑い合いながら時に悩み共に成長していく日常の中の非日常をぜひお楽しみください。

https://ncode.syosetu.com/n9081ii/

「さて、みなさん!喜んでくれたみたいだけどそろそろお仕事をして貰うよ!」


 みんなは俺の声に反応しその場でお座りすると、耳を傾けてくれた。ピコピコと動く耳が可愛くて撫でたくなっちゃうけど今は我慢!みんなには速く仕事に言って貰わないといけないんだから!


「みんなのお仕事はもう分かってると思うけど、この国に水を広めること!この国中を走り周って隅々まで水路を引いて貰いたいんだ!みんな仲良く分担して仕事にかかってね。君達には大地と星の力を宿してあるから、全てを水場にするんじゃなくて元に戻すことを意識すること!」


 ワン ガウ ヒヒーン バウ ミュウ ニャー


 元気よく返事をしてくれるお手伝いさん達・・・・あれ?君達鳴き声出せるの?そんな仕組み作った覚えないんだけど・・・・まぁ進化したってことで良いよね。鳴き声が出せるってことはある程度のコミュニケーションが出来るってことだし話せるほうが良いよね。


 予想外の進化に驚いてしまったけど、このまま話を続けることにした。


「うん、良い返事だね!それで水を広める道中色んな人に会うと思うんだけど基本的には人間には優しくね!もし、水に飢えてたりしたら水を分けてあげて怪我も治してあげてね」


 同じく元気に返事をしてくれたので、俺は岩の端まで飛び後ろを付いて来てもらって端に座るとそこには雄大に輝く砂漠が一面に広がっていて圧倒されるほどの絶景に


「おおおおおおぉ!すごーーーい!」


 叫び声を上げてしまった。空から砂漠を見る事は数回有ったけど今までより遥か高くから見下ろす砂漠はまるで金色の湖のように輝いて眩しいくらいだ。視界の果てには白い雲が砂丘にかかりまるで砂丘が天まで伸びているかのように見える。


「この姿も綺麗だよね~」


 キラキラと眩しいくらいに光る砂漠を見てそんな感想も湧いてしまう。この土地はエルディランやヴィラスが関わるまで死の大地だったみたいだけど二人のおかげで一回豊かな大地へと変貌した。多くの植物が咲き水が巡り命が育つ大地となったこの地は美しかったと聞いている。だけど、二人が居なくなってしまいこの大地は荒れて砂漠になってしまった。この砂漠もこうやって見るととても美しいと思うけれど、人々が生活するにはその美しさとは打って変わって厳しい場所なのだ。


「この大地の再生が終わったら、きっとこの大地は砂漠と植物が共生した美しい姿になると思うんだよね。出来れば全ての大地を水が豊かな大地へと変えたいけれど、もう砂漠に適応した生き物達が生まれてしまっているから砂漠を無くす訳にはいかないんだよね」


 いくら人間の味方をしているかと言え、何も罪のない生き物達の生活の場を奪う程非道にはなれない。一つの種族の我儘で他の種族を滅ぼすことは良くないこと。流石の俺にもそれぐらい分かるからね。


「さて、それじゃあ行って・・・・あれ?あれってアルベルドだよね」


 そろそろみんなに仕事にかかってもらおうかと思ったら、見下ろしている砂漠の中で大きな魔法の気配がしたので見てみるとアルベルドと第三部隊の人達が魔物達と戦っていた。恐らく加勢しなくても大丈夫だろうけど、一応行っておこっと~俺達は岩の上から勢いよく飛び立ち、人の姿になりアルベルドの元へ行くと空には大きな翼をもった生き物がアルベルド達を見ていた。その生き物は俺達に気付くと


「うぇ!?チビッ子!?と・・・・なんだその後ろの奴ら!」

「喋れるって事は獣人さん?」

「おう、第三部隊所属大鷲の獣人メイブンだぜ!」

「飛べる獣人さんが居るって事は聞いてたけど、メイブンの事だったんだ~」


 てっきりアルベルドを狙ってる野生の動物かと思っちゃったよ。


「その・・・・後ろにいる謎の生き物ってなんなんだ?」

「この子達は俺のお手伝いさんだよ~ほらみんな挨拶して~」


 キュウ ワン ガウ ヒヒーン


「そうなのか・・・・不思議な生き物も居るもんだな」


  流石の俺でも今のは説明不足だなって思ったんだけど、それで納得しちゃうって・・・・第三部隊の人達はコーネスみたいな人達が集まってるんだね・・・・勿論良い意味でだよ!


「さっき大きな魔法を感じだけどみんなは何やってるの~?」

「あぁ今は食料確保のために魔獣達を狩ってるんだ。そんで俺は偵察役をやってる訳よ」

「なるほど~」


 食べ物を確保するためにみんな集まってたのか~あ、そうだ!


「ねぇねぇ、バッファローってみんな食べる?」

「ん?バッファローはご馳走としてみんな喜ぶだろうが、どうしてそんなこと聞くんだ?もしかして、こっちに来るまでに見つけたのか?」

「ううん、俺達がネリアに来る前にバッファローを大量に狩ったから余ってるんだよね~だから、それをみんなにあげるよ!」

「なんだと!?それは有り難い、すぐに報告しに行こう」


 メイブンと一緒に地上に降りると気配で俺に気付いてたアルベルドと地上に居た第三部隊の人達が迎えてくれ不思議そうに首を傾げながら


「クーア、今日は宿に居ると言ってなかったか?何かあったのか?」

「ううん、ちょっと用事が出来たから外に出て来たの~」

「その用事というは後ろにいる・・・・なんだ?水の・・・・動物?か?」

「そうだよ~紹介するね~!この砂漠に水を広めるお手伝いをしてくれるみんなだよ~」


キュウ ワン ガウ ヒヒーン


 紹介すると自己紹介のように鳴き声を上げるお手伝いさん達。アルベルドと第三部隊の人達は驚きながらもみんなに軽く会釈をする。


「水を広める手伝いとは一体どういう事だ?」

「ん~説明するの後でも良い?いまはちょっとやることがあるから、宿に戻ったらみんなに説明するよ!」

「クーアの都合が悪いのであればそれでも良いが・・・・俺は魔法の事をそこまで詳しい訳じゃないしレイランが居た方が良いだろう」

「じゃあそうしよう!そうだ、さっきメイブンと話してたんだけど食料が必要なんだよね?」

「あぁそうだが」

「じゃあ、前に狩ったバッファローが大量にあるから、出してあげるよ!」

「そういえば、あったな・・・・クーアどれくらいの量を出せる?」

「俺達のが必要な食糧は十分あるから、町の人全員に配っても大丈夫なぐらいはあるよ~」

「ふむ、そんなにか・・・・後で分かった町に戻ったら頼む」

「あれ、すぐに戻らないの?」


 俺のポケットの中には町を補うことが出来るほどの量の食糧はあるし、アルベルド達が砂漠で魔物達を狩っているのは食糧確保のためだからすぐに町に戻るのかと思ったけどまだ町に戻るつもりは無いみたい。聞いてみるとアルベルド達は真面目な顔をしながら


「暫くの間町周辺の魔物達を倒すことが無かったからな、少し間引いておかないと危険なんだ」

「魔物は際限なく湧いてくるからな~」

「大量発生して町が襲われたら大変だぜ」

「ネリアは岩壁に守られているから、ある程度攻められても大丈夫だが一応な」

「前に大量バッファローに襲われただろ?あれも暫くの間間引くことが出来なかった影響だろう」

「なるほど~」

「だから、もう少し魔物や魔獣達を減らしてから町に戻ることにする。クーアはどうするんだ?」

「俺は用事が済んだら町に戻るつもりだよ~」

「そうか、ウォルは町長の元へシャールクは町の様子を見に、レイランは岩壁の調査に行ったぞ」

「はーい、それじゃあみんな行くよ~」

「大丈夫だと思うが、気を付けてな」

「うん!」


 俺はアルベルドに伝える用事が済んだので、お手伝いさんたちを連れてまた空を飛び、俺達が苦労して抜けてきた魔境の手前で地面に着地した。


「よ~し、みんなお仕事だよ!」 


読んで頂きありがとうございます!

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