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俺、お手伝いさんを作り出すよ!

 さて、みんなとネリアの町を周るのを我慢してまでやらなきゃいけない事とは今この国に巡らせている水の事についてだ。水の事と言っても色々あるから、順番に整理していこう。

 まず、何故水が重要なのかという話だ。水は生き物が生きていくうえで絶対に必要なものであり水が無ければ簡単に死んでしまう。これは、動物、植物どちらにも言える事だ。植物の中には少ない水でも育つように自分を進化させたものがあるが、少ない水で生きていられるようにしただけで、全く水が無い場所で生きてられる訳では無い。水が無ければ生き物達が住みつくことも出来ず、大地は荒れ果ててしまうだろう。俺達はこの国を豊かな国へと戻す為に旅をしている。だから、水が重要なのだ。


 そして、俺達はその重要な水をこの国に巡らせるために水の通路を旅先につないできたが俺達の行動範囲だけではこの広大な国全てを網羅することは出来ないと考えたんだよね。今回ネリアを救えたのは偶々俺達の旅のルートに入っていたからだ。


もし、ネリアに寄るルートを通っていなかったら?


もし、ネリアに行って欲しいと頼まれていなかったら?


もし、俺達が気付かずにいたら?


 その場合このネリアの町の住人は全滅していただろう。今回はたまたま運が良かっただけ、もしかしたら俺達が寄らなかった町が同じような状況になっているかもしれない。そう考えると心がとてもモヤモヤしてしまう。だから、この状況をどうにかしないといけないと考えたのだ。サスヴァンの方面はリオとエリオ皇子が言ってくれてるから、そっちは任せられるけどこっちの砂漠方面は誰も水を広めてくれる人が居ない。


 俺は何時でも皇都と連絡することが出来るから、王様にお願いして砂漠側にも水を巡らせる人を貸してもらうという事も考えたけど、人が移動するにはこの砂漠は過酷だしスピードもかなり遅くなってしまうだろう。それだと間に合わない町が出てしまうかもしれないし、一人で全ての町を周るのは現実的じゃない。だから、俺はある事を考えたのだ。リオみたいに水を自由に使える存在が必要だと。


 とは言っても精霊を新たに生み出す訳では無い。リオと同じ属性の精霊を生み出すことは難しいって言ってたから、ここで大きな水魔法を使ったとしても水がリオの糧になりリオが強くなるだけだ。だけど、俺には精霊を生み出す以外にも同じような魔法生物を生み出す手段がある。そう、魔法スナネコちゃんを生み出した魔法だ。


よ~し、気合い入れて作るぞ~!!


 魔法生物を作り出すのは結構簡単だけど、俺の水を自由に操れ自我があり俺の言う事を聞いてくれ見つけた怪我人を癒せるような存在を大量に作り出すとなると流石に気合を入れないとね!これからこの子達が向かう先は、人が住む町だから人間が親しみやすくなるように人間の形にした方が良いかな~

 俺は水でウォルくらいの大きさの人型を作り出して、色々な方向から観察してみる。


 う~ん、水で作ったから体が透けていてちょっと親しみやすいかと言われると、人間が水の魔物になったみたいでどちらかというと怖がられそうだね。この子達には砂漠を走り周って貰うつもりだからこんなのが沢山居て走っているところを見られたら絶対攻撃されちゃうと思う。


 ならばと、人型を小さくし子供の大きさぐらいにしてみたけど・・・・


 これは、無しだね。大きな人型が大量に集まっている光景を見るより小さな子供が大量に集まっている光景の方が恐怖感を増長させるなんて不思議だね~・・・・


 見ているとなんだが底知れない恐怖を感じる水で出来た小さな人型をさっさと消すと、改めて今から作り出す魔法生物の姿を何にするか考えてみる。


 水路を広げるためには、機動力が必要となるから安定性を考えると二足歩行より四足歩行の方が良いよね。機動力だけを考えるなら、鳥とか空を飛べる生き物が一番良いと思うんだけど、水路を引くなら地面に接していた方が良いから鳥系は除外だね。四つ足で速くて人間に恐怖感を与えない生き物と言えば・・・・やっぱりネコちゃんかな?俺は試しでネコちゃんを水で作ってみたが


ちょっと小さいかな・・・・


 大きくても小さくても力は同じだから問題が無いと言えば問題が無いんだけど、この小ささは視認性が悪いし人間が気付きにくいのが少し問題だよね。小さいネコちゃんが駄目なら大きなネコちゃんを作ればいいじゃない!という事で大きさを人間の腰くらいの大きさなネコちゃんを作り出す。モデルはシャールクだよっ


おお~良い感じ!!!


 シャールクを模して作った水で出来た豹は、格好良さを残しながらも人間にとって親しみやすい姿になったと思う。獣人と同じ動物なら人間達も、そんなに怖がらないはず!豹だけを大量に作り出すのも面白み無いし、色々な動物を作ってみよう!まずは、狼でしょ~むむ、毛並みの再現少し難しいな・・・・これで良し。次は森で見たシカを再現してみよう。シカの特徴は何と言っても大きな角だよね!メスの個体は生えないらしいけど、鹿って分かりやすくするには生やした方が良いと思うんだよね。


 そうやって次々と色々な動物達を作り出しているとあっという間に、部屋の中は水で出来た動物だらけになってしまった。今は形の試作をしているだけでまだ自我を与えてないから一旦消えて貰って、俺はまた作り出すのに専念することにした。


 イノシシに馬、ラクダにクマにキツネにタヌキ色々な動物を作り出し満足した俺は、自我を与える段階に移る事にした。ここだと部屋に収まりきらないから、一旦外に出ようか。俺は体を魔法で見えなくして、宿の窓から外に出て岩壁の頂上にある穴から町の外に出てみる。


 うわ~外から見た時から分かってた事だけど、とてつもなく大きな岩だよね~これ


 岩の頂上は一面に平らな岩場が広がり、砂漠の地面は見えず青空が広がっていた。ここなら、大量に魔法生物を作り出しても大丈夫だね。俺は早速宿で試しに作った水の動物達を次々と作り出し三十体ほど作り出すと、俺はこの子達に自我を与える事にした。


 自我と言っても、リオやガイアのように確かな自我を作り出すというより水を広めるという役割を遂行し、所々で遭遇するだろう障害も対処できるような判断力を与える感じだ。まず、第一に人々を助ける事、第二に水を国全体に広める事、第三に人々の生活に寄り添い人々の生活を理解することを大原則としてこの子達の自我を作り出していく。いくら水不足だからと言って、水を好き放題作り出して良い訳じゃないから、環境に配慮し人々と対話できるように賢く作らないとね!


 俺は水で出来た動物達の自我を作り出すために、星の魔法を使い丁寧に魔法を発動させていく。星の魔法は命を作り出す魔法でもあるため、自我を作り出すのは結構簡単だけど、思考に問題があるといけないから慎重にね。そうして作り上げた水の動物達は魔法スナネコちゃんのように体の中に星の輝きが現れ完成した。魔法スナネコちゃんは夜の星空だけど、この子達は本来は見えない青空の星空だ。透き通っていた体は僅かに水色に変わり、綺麗な水面に浮かび上がる星のようでとても上手く出来たと思う。完成したこの子達は、俺が主たとしっかり分かっている様で甘えるように体を寄せてくる。


「よしよし、良い子だね~自分達の役割をしっかり理解できてるかな?」


 そう問いかけると、みんな心得たと頷いてくれた。その様子がなんだかとても可愛くて、完璧と思っていた水の動物さん達に少し力をあげる事にした。力を貰った水の動物達は眩い光を放ちそれが収まると、さっきよりも体の中の星々が輝いている姿がそこにはあった。


「あら~ちょっと力あげすぎちゃったかも・・・・ま、強くて損は無いから別にいっか!」


 力を貰えたことが嬉しかったようで、飛び回る水の動物達に癒されながら見守る俺だった。

読んで頂きありがとうございます!

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