俺、色々考えるよ
楽しい夕食を終えた後、俺達は明日に備えて早く寝て次の日の朝俺が一番早く目を覚ました。みんなはすやすやと寝ているから、起こさないようにベットから起き上がり龍の姿になりベットの上に座ると、意識を集中させネリアの町に巡らせている水を使ってネリアの隅々まで魔力の探知をかけていく。
う~ん、やっぱりここにはディオの魔力は感じられないから記録も無いみたいだね。
ディオの記録は俺達の旅に役に立つから、ネリアの町を復活させる時に町の隅々まで調べておいたんだけどあの時は色々な事を同時にしていたから何か見逃しがあるかもと思って調べなおしてみたんだけどこの町にはディオの記録は無いみたい。
残念だけどそう簡単に見つかるようなものじゃないよね。そうだ、ついでだからしっかり水がこの町に巡らせられているか確認しておこっと。
俺かリオが巡らせた水は意識しなくても、何処をどう巡っているかを把握しているのだけど万が一ということがあるから念の為確認しておいた方が良いよね。水路を一本一本確認していき、何処か欠けている場所が無いか水のつまりは無いかなどの確認作業をしているとある事に気付いた。地面には満遍なく水が巡っているんだけどネリアを守るように聳え立つ岩壁には水路を通していないのだ。普通なら岩壁に水路なんて必要ないんだけど、植物を至る場所で芽吹かせて影響によって岩壁にも植物が育っている。枯らさない為には水が必要だよね。
だけどこれ、水を通しても大丈夫かな・・・・?
ネリアの岩壁はネリアを砂嵐と魔物や魔獣、そして暑さから守る重要な物だ。そんな壁に勝手に何かしたら怒られちゃうかもしれないよね。あの厚さだから植物達が根を張った程度じゃ崩れたりはしないだろうけど、水路を通したことによって岩壁が脆くはなってしまうかもしれない。もし崩れて町に落ちてきたら大変な事になっちゃうよね。だから、強度が大丈夫かどうかだけでも確認しておいた方が良いかな。俺は岩壁全体に意識を向け隅々まで調べてみると予想もしてないことが・・・・
なにこれ・・・・この岩ただの岩じゃない。
俺が芽吹かせた植物はまるで岩壁と融合するかのように根を張り、岩壁から魔力を貰い水が無くても育つように変化しており岩壁は脆くなるどころか強度を増している。こんなの普通の岩では起き得ない現象だ。詳しく調べるまで気付かなかったけれどこの岩は一種の魔法生物みたいな物なのだ。魔法生物と言っても、体全てが魔力で出来ている物や表面だけ肉体を持っている者など様々な種類があるがこの岩は、殆どが岩としての肉体だけど魔力を岩全体に巡らせ意識を持っている魔法生物だ。生きている魔法生物だから、植物と融合し欠けること無く岩壁を長く保っていられたみたいだね。
魔力の密度が小さいから全然気づかなかったよ・・・・
一目で気付けなかった自分が情けなく思いながら、この岩をどうしようかと考える。
対話が出来れば良いんだけど、この岩は俺が生み出した魔法スナネコちゃんやリオやガイアのように強い自我を持っている訳じゃなくただ生命活動と僅かな自我で行動しているだけだから、無理なんだよね~俺が魔力を注ぎ込めば確かな自我に目覚めると思うけどそれはなんか違うよね。
この岩はヴィラスが作った岩なんだから俺が何かをするのは良くないと思う。だから、特に何かすることなく大地からこの岩が魔力を吸い取りやすくするだけで、何か特別な事はしないでおこっと。
そんな事をしていると、みんなが次々と目を覚ましベットの上で龍の姿になっている俺を見つけると疑問の表情を浮かべながら話し掛けてきた。
「龍の姿になっているなんて珍しいな、一体どうしたんだ?」
「ちょっと調べものと確認してたの~」
「確認?なんのだ?」
「水路と植物!あと、念の為にディオの記録が無いかをだよ~」
「なるほどな、それでどうだったんだ?」
「水路も植物も問題無し!記録は見つからなかったけど、面白い事を発見したんだよ!」
俺はネリアの色々な事を調べている内に見つかった岩の真実をみんなに教えると、アルベルドでさえ初耳だったのか目を丸くしながら驚いてくれた。
「嘘、こんなに大きな魔法生物なんて聞いた事無いわよ!これは世紀の大発見だわ!」
「そんな話住民達から一切聞かなかったな・・・・もしかして住民達も気付いてないんじゃないか?」
「うむ、恐らくだが知っている者は居なんじゃないか?俺でも聞いたことが無い」
「まさか、この大きな岩が魔法生物だとは・・・・信じられないがクーアが言うならその通りなんだろうな」
「岩全体に本当に薄い魔力が巡ってるから、気付ける人は少ないと思うよ~俺でも、詳しく調べてみるまで分からなかったもん」
「とりあえず、町長に報告だな」
俺達はここを明日には旅立ってしまうから、岩の事に関しては町長に任せる事にして俺達は食堂へ向かい朝食を起きている騎士達と一緒に摂ると
「それじゃあ、明日の準備をするか」
「あ、今日みんなに付いていかないで宿で待ってるね~」
「そうなのか?珍しいものもあると思うんだが・・・・」
「珍しいわね、どうしたの?」
「今日はね、水関連で色々やりたいことがあるんだ~だからいっしょに行けないの」
「そうなのか、クーアにもやることがあるからな。残念だが俺達だけで行くとしよう」
「お土産買ってくるからな~」
「うん!期待してる!」
そういって、みんな明日の準備の為に町に出駆けて行った。本当は面白い物が沢山ありそうだから一緒について行きたかったのだけど、水に関しては俺がやらなきゃいけない事だから我慢しないとね。俺は早速自分の部屋に戻り、やるべき事の準備を始めた。
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