俺、皇都とネリアを繋げるよ!3
「なるほど、そんな事になっていたのか・・・・すまない、これは完全に私の失策だ。そんな状況になっているのにも関わらず気付けないとは・・・・本当に私は無能だな」
ウォルからネリアに辿り着くまでの出来事やネリアの町が陥っていた危機について聴いた王様は悲痛な表情を浮かべ片手で目を覆ってしまった。しかし、息を大きく吐くと
「そちらの状況は理解した、そちら側の砂漠の町への支援をすぐに増やそう。そして、各町に連絡が取れるか確認した方が良さそうだな。バルバゼル直ぐに部隊を動かせるか?」
「既に各町へと派遣しているため、これ以上皇都に居る部隊を動かしてしまうと、治安維持に問題が起きてしまう可能性が・・・・」
「鎧人に協力を願おう、そうすればすぐに動けるな?」
「了解しました、魔法師団にもすぐ動けるようにと伝えておきます」
「エルメシア、物資の調達は出来ているな?」
「はい、皇子達が旅発った後皇都中の物資を集めておきましたから」
「有難い事だが父上、皇都は大丈夫なのでしょうか?」
「あぁクーア様がリオ様に頼んで下さったおかげで皇都の水不足は解消され、周囲の大地も蘇り作物などの収穫量が桁違いになっている。今の皇都には他の町を支援する余裕は十分にある」
水が通ればあっという間に植物があっという間に育つようにしてあるから、皇都にも余裕が生まれたようで良かったよ。ウォルは安心したようで
「それは良かったです。サイドとボロスには水路を通し植物達をクーアに復活させてもらいましたが、他の町には水路を通していないのでそこの支援を集中していただけると助かります」
「分かったそうしよう。だが、話を聞いた限りではネリアには増援を送れない。すまないが、そちらはウォル達に運んで貰った物資で耐えてもらうしかない」
「えぇ分かっています。こちらは、クーアに大々的に力を使って頂いたので恐らく持ち直すことは出来ると思います。他にこのような町が無いよう気を付けて頂ければ大丈夫です」
「クーア殿、本当にありがとうございました」
「いえいえ~」
王様と団長さんエルメシアは水鏡に向かって、頭を下げてくれたけど気にしなくて大丈夫だよ~それより、同じような町が生まれないように気を付けてくれた方が嬉しいな。
「今回は俺が居たから大丈夫だったけど、少しでも遅れてたら間に合わなかったかもしれないからもうこんな町が生まれないよう気を付けてね。もし、見つけたらすぐに俺を呼んでね~」
「私の不手際で本当に申し訳ありません。二度と同じような町が生まれないよう気を付けます」
王様は覚悟を決めた顔で強く言ってくれたので、これなら安心かな。
「ネリアにも色々支援を行いたいのだが、魔境がそのような事になってるとは・・・・話を聞いた限りだと、団長達を派遣しても突破は難しそうだな。アルベルドはどう思う?」
「団長の実力を疑う訳ではありませんが、経験した身から言わせて頂くと団長達でも突破は不可能ですね。我々はクーアが色々と助けてもらったため突破することが出来ましたが、クーア無しではどんな者でも無理でしょう」
「はっきりと言い切るか」
「アルベルドの言う通りだろうな。魔法が使えないのでは、いくら精鋭を集めても無理だな。それに、俺達では汚染された魔力を浄化する手段を持たない俺達では道半ばで倒れてしまうだろう」
「ふむ・・・・ウォルよこれからセレルに向かうのだな?」
「はい、明後日にはここを離れるつもりです」
「我々は、サイドより先に行くことが出来ない。つまりこの先何か遭ったとしても、我々は支援することが出来ない事を肝に銘じ慎重に動くように。何か有っても助けに行くことは出来ないのだ、もし危険だと感じた場合素直に引き返すように」
「大丈夫です父上。アルベルドにレイラン、シャールクが付いているのですから、そうそう大事にはなりません」
「いざとなったら、俺が何とかするから大丈夫だよ~」
「クーア様・・・・うちの息子と大切な民達をお願いします。ウォルはあまりクーア様を頼り過ぎないように」
「分かっています父上」
「体には気を付け、怪我も治るからといって油断するんじゃないぞ。暑さにはしっかり気を付けるように。水分補給を忘れないようにな。お前は何か大きな問題にぶつかると真っ直ぐぶつかる事が多いからな、しっかりと策を巡らせ」
「分かりました、分かりましたから父上!クーアもういいぞ!」
「は~い、王様たち元気でね~」
「ウォルまだ話は!」
水鏡を消すとウォルは大きく溜息を付き、その様子を見ていたシャールク、レイラン、アルベルドはニヤニヤとウォルを見ている。それに気づいたウォルは三人を睨むと
「その顔を止めろ」
「陛下はご心配なんですよ、可愛い息子が旅に出ていることが」
「もう可愛い息子といえるような歳では無いだろ」
「まだ成人していないくせに何を言ってるんだ」
「陛下は厳格な人ですが、最後までウォルが旅に出る事を反対してましたからね」
「陛下、ウォルが無事で安心したみたいだったな」
「はぁ・・・・もう良い。取りあえず、父上に報告をしたからには支援が行われるだろう。俺達はやるべき事をやるだけだ」
「そうですね、陛下に任せておけば大丈夫でしょう」
みんなは王様の事を信頼してるみたいだね~俺も砂漠の町に何かしてあげたいけど、水路が通って無い場所には干渉できないからな~水路を広げるためにエリク皇子に協力して貰っているように、誰かに砂漠の水路を広げる手伝いをして貰おうかな?そんな事を考えながら、暫く話をしている部隊の人達を見ていると、部屋の奥から
「は~い!ご飯出来たよ~!」
と女将さんの声が食堂へ響き渡る。それを聞いた第三部隊の人達は食事の時間だからと話を切り、みんな話し終えたのを確認すると水鏡を消し仕舞った机と椅子を元に戻すと第三部隊の人達は俺の元に駆け付け
「うお~チビッ子すげぇな!!!」
「うお~ありがとよ!!!」
「俺の顔忘れられてなかった~!!良かった~」
「父ちゃん元気だったぜ!逆に俺が叱られちまったよ!」
「怪我したこと母ちゃんバレたんだけど~なんであんなに鋭いんだろうな」
「話せて本当に良かったぜっありがとよ」
「いっぱい魔力使っただろ?沢山食べろよ!」
みんなは少し涙目だけど、満面の笑みを浮かべて俺の頭を撫でたり抱っこしたりと凄く喜んでくれたみたい。
「喜んでくれたみたいで良かったよ~」
「大丈夫だって分かってても、心配なものは心配だったんだよな~」
「俺も俺も」
「チビッ子はすげぇな!」
俺はそのまま第三部隊の人達に運ばれて、椅子に座らせてもらうと食事まで大盛りで持ってきてくれた。ウォル達もその勢いに笑いながら一緒の席に座るとみんなでわいわい騒ぎながら夕食を食べていくのだった。
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