俺、皇都とネリアを繋げるよ!
「ん~次は何処を見に行きたいですか?商業区の他の所も案内出来ますし、それともまだ見てない住宅区に行きますか?」
「おすすめはどっちだ?」
「そうっすね~今は昼ぐらいなんで住宅区は人が居なくて、落ち着いて見られると思いますよ」
「ふむ・・・・」
「といっても、この町って家の様式を統一してますから住宅区に珍しい物は無いんすよね」
「どのように過ごしているかは少し気になる所だな・・・・」
「じゃあ、住宅区に行きましょうか」
コーネスは慣れた足つきで、前を進んで行く。町はどこもかしこも活気づいていて、昨日まで死んでいるような町だった気配は微塵も無い。静かで荘厳なネリアの町並みもカッコ良かったけれど、俺は植物に溢れ人々の笑い声に包まれているような町の方が好きだな~
「みんな、元気になった様で本当に良かったよ」
「後遺症も無いようだな」
「集中して治した甲斐があったよ~」
「そういえば、どんな魔法を使ったのか詳しくは聞いてなかったな」
「聞いても俺達には無理じゃないか?」
「完全には無理だとしても、そこから新たな魔法を閃くかもしれないでしょ!是非聞きたいわ」
「チビッ子の魔法綺麗だったぜ!」
「えっとね~あれは治療と浄化、水を作り出すのと大地に栄養を与える魔法。それと、生命力を与える魔法に心を安定させるために闇の魔法、体を元に戻すために星の魔法にお腹を満たすため大地と水の魔法を使ったんだよ~最後には風の魔法も使ったね」
「・・・・前も聞いたけど多すぎね。一人で発動できる種類じゃないわ」
「俺も九つが限界だったよ~」
しかも俺だけでやっただけじゃなく、ガイアとリオに協力して貰ってギリギリだったからね~
「そんなに難しい事なのか?俺はあんまり魔法に詳しくないからあれだけど、うちのヘルは火の魔法を一度に複数発動させるけど」
コーネスは大きな首を傾げながら聞く。
「一つの属性の魔法を複数使える人は結構いるわね。でも、クーアがやったことは多数の属性と魔法だから難易度が桁違いなのよ。魔法って、明確な想像力が必要でしょ?」
「あぁ、身体強化する時強くなれ!って想像するな」
「凄く簡単に説明すると、同時に火の矢や火の剣を想像するのは簡単だけど火・水・風の三種類を明確に想像するのは難しいのよ」
「一つ一つに集中しないと、同時に発動するのは無理だからな」
「そ、だから高度な処理能力がある人しか複数の属性の魔法を同時に発動することは出来ないのよ」
「なるほどな~」
「まぁ他にも属性の相性だったり、色々な事が関係するんだけどその話をすると長くなるからね」
レイランの言う通り、同じ属性の魔法を複数発動することは結構簡単で魔力が大量に有れば無理やり複数の魔法を発動することも出来るんだよね。俺の魔力は昨日と比べてかなり増えたけど、処理能力が増えた訳じゃ無いから一度に使える魔法の属性の数は昨日と変わらないんだよね。だけど、風の精霊が生まれてくれば魔法の制御を肩代わりして貰えるから同時に使える魔法が増えるかもね。
「魔法は奥が深いんだな~」
「コーネスは魔法をあんまり使わないの?」
コーネスは、シャールク以上の魔力を持っているから魔法を十分使えると思うんだけど・・・・
「俺の属性は大地の属性なんだが、どうも体の外に魔力を出すことが苦手なんだよな。だから、身体強化の魔法ぐらいしか使わないぜ!」
「そうなんだ~」
「コーネスの身体強化は騎士団の中でも一二を争う程の練度だ。コーネスが本気になれば、どんな攻撃をも通さず全てを破壊する化身になるぞ」
「褒めて下さりあざます!」
「暴れるのは良いんだが、地形を破壊するのが玉に瑕なんだがな」
「いや~照れるっす!」
「褒めてない」
コーネスは顔を赤くしながら上機嫌に体を揺らすけど、アルベルドは苦い顔をしている。
「サイ獣人ってだけで力は他の種族より圧倒的に上なのに、大地の属性による強化とその大量の魔力を全て身体強化に回した攻撃ね・・・・絶対に相手したくないわね」
「俺もお断りだな、矢が通りそうにない」
「少し手合わせしたいな」
「ウォル止めといた方が良い、コーネスは手加減がそんなに上手では無い」
「酷いな~副団長の魔法よりかは上手ですよ!」
「・・・・同じようなものだろ」
「ふふ」
暗に魔法が苦手だと言う事を認めたアルベルドにレイランが笑う。魔法の発動はしっかり出来てるのになんであんなに規模が大きくなっちゃうんだろうね。俺達は、この旅で起きたことや、この町に来てからどんなことがあったことなどを話しながら町中を周り日が落ちて暗くなってきたので宿に戻って来た。
「取りあえず殆どの場所見ましたけど、まだ見たい場所があるなら明日も案内しますよ!」
「ふむ、今日だけで大体の場所は見れたな」
「住民達の反応も見れたし、十分ね」
「明日は旅の準備に時間を掛けようぜ、武器の手入れも必要だし」
「その方が良いだろうな」
「じゃあ明日はそっち方面を中心に案内しますよ!だけど、品揃えは期待しない方が良いっすね」
「奇跡が起きてからまだ一日だからな、仕方が無い事だろう」
「まぁ今すぐ必要な物は無いから大丈夫だろう」
今日はネリアの色々な場所を見て周ったから明日は出発の準備をしなくちゃね。十四日も砂漠を歩かないといけないんだから!
「あ、隊長おかえりなさ~い」
「お疲れ様です~!」
宿の食堂で話していると、次々と巡回を終えた第三部隊の人達が帰ってきた。みんなそこまで疲れて無いようだけど、お腹が空いているみたい。
「はぁ~お腹空いたぁ~」
「あ、そういえばお前達は皇都に家族が居るよな」
「居るっすよ~!可愛い可愛いうちのお姫様が居ますからね!」
「俺も嫁さん残して来てるからな~金は嫁さんの所に行くようにしてあるから大丈夫だとは思うけど、少し心配だな」
「父ちゃんたち元気してるかな」
「いつ帰れるか分からないからな~少し皇都が恋しいぜ」
コーネスが帰ってきた第三部隊の人達に声を掛けると、みんな少し寂しそうな顔をしながら答えてくれた。
「仕事だから仕方が無いけどな」
「だな~まずはネリアを安定させないと」
「まっいつかは帰れるだろ!」
「だな!それに俺が居ないくらいでどうにかなるほど、俺の家族は弱くないし大丈夫だろ」
わっはっはっと豪快に笑う第三部隊の人達、仕事だと割り切ってるみたいだけど寂しいものは寂しいよね。もしウォル達と離れ離れになっちゃったら、すっごく悲しいし俺の力なら合わせてあげることが出来るから力を貸してあげよう!
「みんなは、家族に会いたい?」
「そりゃ勿論」
「じゃあ、会わせてあげるね」
「へ?」
そうだ、何かする前に許可を取った方が良いよね。俺は、食堂の奥でご飯を作っている女将さんの所に飛んでいくと。
「こんばんわ~少しの間食堂を使っても大丈夫かな?」
「あら、こんばんは。夕飯を作り終えるまで時間が有るし、どうせここに泊まっているのは騎士さんだけだから自由に使って構わないよ」
「ありがと~」
許可を貰ったし、やるとしますか。この大きな食堂だったら、魔法を使っても十分なスペースがあるよね。俺は、食堂の真ん中に並んでいるテーブル達を一旦ポケットの中に仕舞うと食堂の床を水で満たす。
「クーア!?」
「流石にそれは駄目でしょ!」
「大丈夫、大丈夫この水は濡れたりしないし沁みこむことも事も無いから」
いきなり床に水が広がったことに驚いたシャールクとレイラン。普通の水だったら大変なことになるけど、これは俺が作り出した魔法の水だから大丈夫!俺は水を床に満たされた水を鏡のような形に作り上げ第三部隊の人達の前に置くと
「会いたい人を思い浮かべて触ってみて」
「・・・・分かった」
よし、それじゃあ頑張りますか!
水に触ってくれたことによって、俺はみんなの記憶と思考を読み取り大地の下を流れ町と町を繋げている水路を伝い皇都まで意識を飛ばし思い浮かべている人達の元へとたどり着く。突然目の前に現れた水球に殆どの人が驚いたけど、
「こんにちは!俺はクーア、貴方の家族が会いたいと願ってるんだ。協力してくれないかな?」
そう伝えると驚きはしたけれど、どうやれば良いのかと協力的になってくれた。俺は水に触れて欲しいと言うとみんな疑うことなく水球に触れてくれ、触った水球はネリアにある水の鏡と対になるかのようにか鏡に姿を変えるとその姿を映し出した。
「母ちゃん!?」
「フィリー!!!」
「嘘だろ!?」
「あんた!」
「生きててくれたんだね」
「ググツ、しっかりやってるのかい?」
水鏡に映し出された相手に、驚きはしたけれど次の瞬間満面の笑みに変わりかぶりつくように水鏡へ顔を近づけるとみんな。声も伝わるようにしてあるから、後はみんなに任せて俺は端に寄りお話を見守る事にした。
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