俺、ネリアの町を見て周るよ!2
「おお~凄い人だかりだね」
「町の井戸は此処ぐらいしか無いからな、外縁部にも水路は有るけどあれは作物用の水だから使う訳にもいかない。だから、ここに集まってくるんだ」
「うわ~不便そう」
「確かに少し不便ではあるけど、砂漠の中では恵まれてる町なんだぜネリアは」
「そうなの?」
こんな大きな町の中に井戸が一つしか無いなんて、不便だと思うんだけど・・・・首を傾げていると、アルベルドが説明をしてくれた。
「コーネスの言う通り、町の中に井戸が有る町と言うのは全体でみると珍しい部類なんだ。俺達が通ってきたサイド、ボロスは井戸を持っていたが、殆どの砂漠の町は井戸を持っていない。それか、持ってはいても既に枯れてしまっているかだ」
「サイドの井戸も俺が生まれた時には既に枯れてたからな~」
「ネリアは悲惨な状況になる前までは井戸が枯れていなかったらしいから、長続きした方だな」
「そうなのか~」
人の生活には水が必須なのに、町に井戸が有るのが珍しいだなんて砂漠で生活するのはとても大変なんだね。俺がもうちょっと力を付ければ砂漠全体に水路を巡らせれられるようになると思うから、もう少し頑張って!ネリアで生まれてくる風の精霊さんが生まれれば、たぶん出来るようになると思うんだよね。
「此処の井戸は人々の憩いの場でもあるんだぜ、周りに色々な出店が出てるだろ?」
「あぁ沢山あるな、凝った料理ではないみたいだがどれも美味そうだ」
「あら、果物もあるのね」
「今は水を汲みに人が集まってきてるけど、ここで催し物をやったりと、ここは何時でも賑やかなんだぜ。」
「なるほど・・・・では少しの間自由時間にするか。少ししたら、ここに戻ってくるように」
「は~い、俺はコーネスと居るね!」
「おう、何でもおごってやるよ!」
みんなは各々調べたいことがあるみたいで、バラバラになって広場に散って行ってしまった。俺は別に調べたい事も無いから、コーネスと一緒に出店を周る事にしたよ。色々聞きたい事もあったしね!
「コーネスってさ~」
「ん?なんだ?」
「何歳なの?」
「28だぜ!」
「ありゃアルベルドと近いんだね~」
「おう!と言っても副団長の方が騎士団歴は長いんだけどな」
「コーネスはなんで騎士団になったの?」
「戦うこと以外得意な事が無かったからだな!俺達サイ獣人は、この体を活かして荷物を運んだり大地を耕したり人を運んだりと色々な事をしてるんだが、俺はどうもそれが性に合わなくてな!」
「獣人ってそういうお仕事してるの?」
「そうだぜ!屈強かつ力のある獣人なら力仕事、俊敏性に優れているなら運送業みたいに、基本は獣人の特性に合わせた仕事に就くことが多いな。あとは戦士も多いぞ!」
「確か獣人って身体能力に優れ魔力が少ないんだよね?」
「基本はだな」
獣人の事を大体は知っているけど、詳しく聞いたことが無かったからこの機会に色々聞いてみたかったんだよね~シャールクも獣人だけど今は忙しそうだし、コーネスも色々知ってみるたいだからね。
「獣人が減ってきてるってさっき言ってたけど、何でなの~?」
「ん~俺は説明が下手だけどそれでも良いか?」
「良いよ~教えて~!」
「じゃあ、何か食いながら説明するか」
コーネスはのしのしと人だかりを歩き、出店を一つ一つ周り全ての店で一個づつ食べ物を買い人が少ない場所に腰を下ろすと、俺はコーネスに食べ物を一つ一つ渡しながら説明をしてくれた。
「お、ありがとな。んで、獣人が減ってきている理由だけど、獣人がどんな種族で生まれるかっては聞いたことあるか?」
「うん!確か両親のどちらかの種族が生まれるんだよね?」
「そうそう、どっちの種族が生まれるかは神のみぞ知るってな。だから、二つの異なる獣人が子供を産んだと子供の種族って言うのは偏っちまうんだ。でも今までは獣人は沢山の子供を産むことが出来るから、偏りはほぼ無かったんだが。今は生活が厳しいから子供の数が減ってきてるんだ。だから、少し偏りと現象が起きてるってことよ」
「そういう理由だったんだ・・・・」
「まぁこれは獣人だけに限らないけどな。人間やほかの種族だって数を減らしてる。減ってると言っても、すぐどうにかなっちまうって言う程でも無いけどな」
「むぅ~でも数が減っちゃうのは悲しいね」
「でも、チビッ子のおかげで数は持ち直していくと思うぜ」
「?何もしてないよ?」
いくら俺でも、種族の数を増やすような命を作り出す魔法は流石に使えない。魔法生物ならかなりの数作り出せるけど、肉を持った生き物は星の権能で生み出されたものだからいくら成長しても無理!肉体を補うために、人の体を作り出すことは出来るけどね。体の再生がその最もな例だ。あれは、魂のある物を補強するためもしくは回復するために肉体を作り出しているから、肉体を作っても魂が定着するけど、何も無い所で肉体を作っても魂の無いただの肉塊だね。
「してくれただろ?水を、大地を、風を全てを浄化し作ってくれた。おかげで人々は安定して暮らせるだろうよ。安定さえすれば自然と人の数は増える。だから、もう殆どこの問題は解決してるみたいなもんなんだぜ」
「おぉ~じゃあ、心配しなくても獣人は居なくならない?」
「おう!」
良かった~絶滅してしまった種族は蘇らせることは出来ないから心配してしたんだよね。今までやって来たことで、十分ならこれからも続ければもっと良いってことだよね!この世界には俺があった事も無い種族が沢山いる。会う前に居なくなっちゃうのは悲しいからね。
「良かった良かった~」
「クーア様の奇跡は俺達に未来をくれたんだ。我々を救って下さりありがとうございます」
絶滅の心配は無いと安心をしていると、コーネスは食べるのを止め俺に顔を下げると目を瞑り真剣な雰囲気で言う。いつも明るく元気なコーネスがいきなり真剣な表情になるから、それがなんだが面白くて俺は笑いながら
「真面目なコーネスなんか変なの~」
「変ってなんだよ~確かにこういうのは得意じゃ無いけどさ!」
「俺はね~みんなの為とかウォル達の為とか色々考えてるけど、殆どは自分が楽しいから自分が嫌だからって勝手にやってるの。だから、そんな感謝されるようなことはして無いんだよ~」
「だけど、俺達はそれによって助かったんだ。礼ぐらいは言わせてくれ」
「は~い」
感謝は受け取るけど、そんなに気にしなくて良いのにな~俺はまたコーネスと一緒に出店で買ってきた物を食べながら、みんなが帰ってくるまで色々な話をしてみんなが帰ってくるのを待つことにした。
読んで頂きありがとうございます!
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