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俺、ネリアの町を見て周るよ!

「それじゃあ、行くか!」

「わ~それがサイって言う動物なんだね!」


 第三部隊の人達と遊んでいると、扉を勢いよく開けて現れたのは四足歩行で灰色の巨体に立派な角を持った騎士団の紋章が付いたマントを着た動物。声からコーネスだと分かった俺は飛んで傍に行くとその大きさを改めて感じる。


「おう!どうだ~サイだぜ~カッコいいだろ!」

「大きな角だね~体も大きい!」

「大きな角は俺達サイの象徴かつ誇りだからな!この体でぶつかればどんな固い物でも粉砕できる自信があるぜ!」

「こんな動物始めて見たよ~」

「段々サイの獣人の数は減って来てるからな~仕方ないぜ」

「そうなの?」

「消えてなくなる事は無いと思うけど、獣人の数は減って来ては居るんだよな」


 コーネスと話していると、同じく準備を終えたウォル達が食堂に戻って来た。アルベルドはサイの姿になっているコーネスを見ると、苦笑いを浮かべながら


「コーネス、その姿で巡回するつもりか?」

「そうっす副団長!この姿なら、チビッ子との約束も果たせるし一石二鳥!」

「まぁ・・・・良いだろう」

「なんか駄目なの~?」


 微妙な反応をするアルベルド。何かおかしなことをしているのかと、同じ獣人であるシャールクに聞いてみる。


「ん~獣人にとって獣の姿は本性であり不便なものでもあるんだ。獣の姿になっちまうと、いくら多種族が過ごし易いように町が作られてるとしても町で生活はしづらい。そして、獣の姿は獣人の本当の姿でもある。種族によっては弱点を見せるようなものだから、あまり人前に見せる事が無いんだ」

「だからと言って、別に獣の姿で出歩いちゃ駄目な訳じゃないぜ!獣の姿をとるか人の姿をとるかは自由だぜ!」

「俺も偶にめんどくさい時は、獣の姿でうろついたりするしな。アルベルドが微妙な反応をしているのは、騎士たるもの武器を使い人々を守るのが役目だから武器を使えない姿に微妙な反応なんだ」

「ま、隊長って人の姿でも武器使わないけどな」


 ほへ~町で歩いている獣人達が人の姿をしているのってそういう理由が有ったんだ。確かに、獣の手ではスプーンを持ったり荷物を取り出したりするのはやり辛いだろうね。


「おう、我が肉体こそ最強の武器だぜ!」

「コーネスの場合はその姿でも十分強いからな、まぁ良いだろう」

「よし、副団長の許しも貰ったし俺の背中に乗ると良いぜチビッ子!」

「わ~い、お邪魔しま~す」


 俺は言葉に甘えコーネスの背中に乗る。コーネスの体はまるで鋼鉄の鎧を着ているかのように固く少しザラザラとした感覚だけど嫌じゃない。全身が筋肉の塊のように見えるけど、厚い皮膚のしたに逞しい体が隠れているみたい。


「お、乗ったな。じゃあ出発~!あ、お前達任務忘れるなよ~」

「ほ~い!行ってらっしゃい隊長!皇子達も!」

「お土産よろしく~」

「隊長こそサボらないでくださいよ!」


 第三部隊の人達に見送られ、宿を出た俺達は未だに続くお祭りのような宴を眺め


「それじゃあ、まずは何処を案内しましょうか?」

「コーネスはこの町に何で詳しいの~?早くここに着いてたから?」

「俺の故郷はサイドなんだ、だからネリアには何回も来たことがあるんだぜ」

「あれ?ネリアってあんまり交流が無い町なんじゃないの?」

「いや?ネリアから出てくる奴は少ないけど町に入る人は割といるぜ~」

「あ、そうなんだ」

「おう、ネリアは豊かな資源を持っている町だから色々買いに来る奴もまあまあ居るんだ。前までは魔境の抜け方さえ知っていれば、大体の戦士は通れたしな~」

「今では誰も近づけない孤立した町になってしまったがな」

「年々魔境の環境は悪化してるらしいっすからね~こっち側にある町は色々大変っすよ」

「幸いネリアは他の町の支援が無くとも、生活できる環境になったから暫くは大丈夫だろうな」

「あの魔境が落ち着けばな~」


 ネリアとサイドを分かつ魔境をどうにか出来れば良いんだけど、今の俺でもあそこを完全に浄化するのは無理だね~何処からか絶えず汚染された魔力と色々な属性を含んだ強い魔力が流れ込んできているから、元を断たないと落ち着かせることは無理だね。無理やり落ち着かせることは出来るけど、常に強い浄化を掛け続けなけゃいけないから他のことが出来なくなっちゃう。


「まぁ愚痴はここまでにして、何処から行きますか?」

「そうだな、普段ならまず市場に行くんだが・・・・」

「まだ市場は回復して無いけど、それでも良いなら」

「ふむ、それではこの町の中心地に案内してくれないか?」

「任されました~」


 そういうと、コーネスはのしのしとその大きな巨体を揺らしながら道を歩き始めた。すれ違う人達はコーネスに少し驚きはするけど受け入れているようで、どちらかと言うとサイ獣人の珍しさに驚いているみたい。


「この町は、神殿を中心に円形状の段を重ねるようになって出来てるんだ。一番外側から順番に、農業区、住宅区、商業区、神殿区という風になってるぜ!この町の中心地と言えば神殿区なんだけど、昨日行ったみたいなんで商業区からっすね!」

「ほへ~何でこんな変な形してるの?」

「岩の中と言う限られた敷地に、多くの建物を建てるために高くしていったって聞いたことがあるぜ」

「だから、神殿の方につれて高くなってるのか~」


 ネリアの町並みは綺麗な円形になっていて中心地に近付く程、大地が高くなっていき坂道にも家が建っていたりする。大地が高くなっていると言っても、急激に高くなっている訳では無く、緩やかに中心地に向かって高くなっているので高低差はそんなに激しくはない。家の様式は全て統一されていて、町としての統一感を感じられる。


「んで、今から案内する商業区は全ての店が集まっている場所だから、人々の娯楽の場にもなってたりするんだぜ~ちなみに今俺達が居る場所も商業区だぜ!ちょっと人気のある場所からは離れてるがな」

「そうなんだ!」

「今はお祭り騒ぎだから、何処も出店を出して色々な食べ物を作ったりしてるから楽しめると思うぜ」

「おお~美味しい物!」


 朝ごはんを食べたばかりだけど、美味しいものならいくらでも入るよ!食べ物があるという事は、多くの人達が集まってそうだし楽しみだな~


「それに、商業区には井戸が有るから人も集まるし中心地と言って差し支えないと思うぜ」

「ふむ、確かに井戸は見てみたいと思っていた」

「人が集まってれば色々情報も集まるだろうな」

「あ、副団長に言い忘れてたけど白風の一族が来てたぜ~」

「は?名前は何という?」

「イシュトさんって言う人と8人くらいで来てたぜっ」

「イシュトだと?今でも続いているなら狩人のはずだが・・・・」

「イシュトさんがこの町に色々な物を運んできてくれたんだよな。そのおかげでかなり助かったぜ」

「ふむ、思わぬところで一族の話を聞くとは・・・・イシュトはまた来ると言っていたか?」

「定期的に物資を持ってきてくれてたけど、また来るのはかなり先だろうな~」

「往復だけでかなりの日数が掛かるからな。そうか一族がこっちに・・・・珍しいな。何か気になる事は言って無かったか?」

「ん~いや特には。何かを探してる風だったけどな」

「ふむ・・・・」


 アルベルドはそれを聞くと黙り考え込んでしまった。片道十四日も掛かる距離を歩いてきて一体何を探しに来たんだろう?アルベルドが珍しいというんだから、何かしら大事な物を探しに来たんだろうけど・・・・


「お、着いたな!この先が井戸だぜ!」


 コーネスはそう言うと、顔を振って前を差し示した。その先には多くの人が集まりその中心にある大きな井戸から水をくみ上げている様子が見えた。

読んで頂きありがとうございます!

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