俺、ネリアの町長さんとお話しするよ!2
町長さんが落ち着くまで、俺達は静かに待っていると顔を伏せたまま手で目元を拭い
「お見苦しい所を見せてしまって申し訳ありません。そして、重ねて我々の町と人々を救って下さりありがとうございます」
「気にしないで~俺が勝手にやっただけだから」
「そうはいきません、町を代表して感謝を申し上げます」
俺が好きでやったことだからそこまで感謝しなくても良いんだけどな~でも、感謝されるのは悪い気分にはならないよね。
「クーアがあの奇跡を起こしたと理解してくれたようなので、これからの事を話したい。普通にして貰えるだろうか?」
「龍様の前でそのような態度を取る訳には・・・・」
「じゃあ、俺からのお願いだったら?」
「・・・・承りました」
こういう頑なな人には、俺のお願いがよく効く。なんか強制してるみたいで、あんまりしたくないんだけどこのままの態勢で話し続けるのも違和感が凄いから仕方ないよね。町長はしぶしぶ床から立ち上がり椅子に座ってくれた。
「クーアの願いを聞いてくれて感謝する」
「いえ、龍様の望みを叶えるのは神官だけでは無く国民の務めです」
「さて、まずはクーアに対する誤解を解いていこうかと思う」
「誤解ですか?」
「あぁ、クーアは町長殿が話していたようなヴィラス様の使徒ではない。星から生まれ、ヴィラス様やエルディラン様とは何の関係も無いんだ」
「そうだったのですね・・・・私はてっきりヴィラス様が遣わせてくださったのかと」
ウォルの言う通り、俺は守護竜の二人とはなんも関係ない。この国を救って欲しいと頼まれた訳でもないし、昔からの知り合いって訳でもない。ただ俺がしたいからって言う理由で、ウォル達に力を貸してるんだよね。
「期待させてごめんね~何の関わりも無いんだ」
「それでは、何故この国に?」
「ん~?殺されそうになって逃げてきたら偶々ウォル達に遇ったんだよね~」
「クーア・・・・?その話聞いてないんだが?」
「どういう事かなクーア?」
「その話詳しく聞こうか」
「私達もその話初耳なんだけど?」
「あれ?」
「・・・・どこの輩でしょうか?すぐさま殲滅してきます」
この国まで飛んできた理由を話したら、ウォル達は驚きの表情を浮かべ町長は能面のように表情をなくし殺意のこもった眼差しで聞いてくる。あれ~ここに来た理由って話したこと無かったっけ?思い返してみれば聞かれたこと無かった気がする。
「あはは~まぁ今はそのお話しする場面じゃないでしょ?」
「しかし、それは重要な事だ。話したくないなら、話さなくて大丈夫だが出来れば聞きたい」
「話したくない訳じゃ無いけど~後でね!」
「約束だからな」
「は~い」
村でされたことを別に話したくない訳じゃ無いけど、俺にとってはもう過去の事だしどうでも良い事だから話そうと思わないんだよね~過去の事を言っても仕方ないしね!でも、そんなに聞きたいなら話しても良いかな。
「ふ~・・・・町長まずはこれからの事を話すとしよう」
「・・・・分かりました。ですが、後ほど情報共有をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「勿論だ」
あれ~なんか大事になってない?
「取りあえず、先程町長の演説を聞いたがあれは良い判断だったと思う。あれで町の混乱は収まるだろし、住民達の反応を見るからに意思の統一も出来ていると思う。なので、先程行った演説の修正は要らない」
「私達神官の中でも誰一人あの奇跡を理解できた者は居ませんでしたし、短い時間の中で演説を行わなければなりませんでしたから明言は避けたのですが・・・・よろしいのですか?先程の演説では皆様の功績を町民たちに伝えられていないのですが」
「あぁ構わない。クーアの正体については暫くの間国民には伏せ公表せずに精霊だという事になっている。だがあそこまでの偉業をしてしまったらクーアが精霊だという事に疑問を持つ者も現れてくるだろう。なので、今回起こった奇跡については、大地に残っていたヴィラス様の意思が具現化したという事にしておきたいのだ」
「なるほど・・・・確かに精霊に詳しいものであれば疑いを持つ者も出てくるでしょうね」
「なので、事実を公表しないという方針にしたいのだが良いだろうか?」
「クーア様がよろしいのであれば」
「俺は良いよ~」
「畏まりました」
町長さんは事実を隠すことに同意してくれたみたい。嘘をつかせちゃってごめんね~
「事実を隠すとしても、町を運営するには色々と事情を知っておく必要があると思い今回町長に事実を話した訳だ。この秘密守りきれるか?」
「我が命に代えてでも」
ウォルは鋭い眼差しを町長に向けるが、動じる事無く答える町長。
「では、植物の取り扱いについて話そう。昨日の奇跡によって育った植物は、絶滅するような取り扱いをしなければ基本自由にして大丈夫だ。これはクーアに許可を貰っている。だから、町の景観の為に植物達の移し替えを行っても構わないし邪魔な部分を切り取っても構わない」
「なるほど、神官の中にも奇跡で育った植物を収穫しても良いのかと言う声がありましたから明言していただけ助かります。移し替えに関しては住民達の意見を聞きながら、景観を整えた方が良さそうですね。植物を育てる上で何か気を付けることはありますか?」
「特に無いよ~ネリアの大地はどんな植物でも育ちやすいようになってるし、ここに生えてる植物は環境の変化に強くなってるからよっぽどの事が無ければ枯れる事も無いよ~もし、そんなことになったとしてもガイアが助言してくれると思うし」
「畏まりました。それでガイア様と言うのは・・・・」
「友達の精霊だよ~」
「精霊様がこの大地に・・・・」
精霊がこの大地に居る事に驚いたみたいだけど、さっき俺で目が落っこちる程驚いた後だからそこまでの衝撃は無かったみたい。
「植物に関しては大丈夫だろうか?」
「あと一つだけ質問を、水やりに関しては定期的に行った方が良いでしょうか?」
「大地の下を豊富な水が流れてるから、こまめな水やりは必要ないよ~だけど、綺麗に育てたいなら水やりをした方が良いかも」
「なるほど、それでは住民達に水やりをするように話をしておきましょう。水やり専門の人を雇っても良いかもしれませんね」
「それでは、次は水についてだ。水は中央に存在した井戸を復活させたので自由に使用して構わないそうだ。井戸が枯れる事は無いためどれだけ使っても良いが、水を汚すようなことは無いように。もし水を汚した者が居れば厳罰を下すようにしていただきたい」
「勿論です、クーア様に頂いた水を汚すような真似をした者には私自らが厳罰を下しましょう」
「あぁそれで構わない。この大きな町だ、恐らくだが大きな井戸一つでは不便だろう。なので、町に井戸を増やしても大丈夫だ」
「それは、どんな場所にでもと言う事でしょうか?」
「うん、リオに頼んで井戸が作られたらその井戸を満たすようにって頼んだから、ネリアの町の中なら何処に井戸を作っても大丈夫だよ~」
「リオ様と言うのは」
「精霊だよ~」
「そうですか・・・・ありがとうございます」
もう精霊では驚かなくなった町長さん、この後も奇跡で起こったことの説明と、どう使ったらいいのかと言う説明を二人でしているとあっと今に時間は過ぎて行き取りあえず話すべき事は話し終わったので、俺達は宿に帰り体を休める事にした。
したかったんだけどね~・・・・・
「それでは、クーア先程の発言の説明をしようか」
「あは~」
さっきの話をウォル達は忘れてなかったみたい。説明しなきゃだめだよね~
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