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俺、ネリアの町長さんとお話しするよ!

 俺達は騒ぎが収まるのを見計らって、神殿の入り口に立って住民達を整理している神官の人に事情を話し、中に入れて貰って応接室で町長が来るまで待つことにした。この神殿の中は飾りは殆ど無いけれど、洗練されたデザインで気品が溢れている。


「神殿の中って結構デザインが違うんだね~」

「神殿は守護竜様を祀っているのは同じだが、神殿がある町の特色が現れるんだ。例えば、この町ネリアは岩を掘ってその中に作られた町だ。だから、神殿も石を削り作られた神殿になっているんだ」

「ほへ~そういうのって統一しないんだね」


 村に居た時確か神殿の様相は統一して、神殿の威厳を示すことを重要としているみたいなことを言ってた気がするけど・・・・


「自由を尊重しているからな、神殿の見た目に文句を言う輩なんて居ないのさ」

「だな~神殿としての機能を持っていれば様相はほぼ自由に決めても良いって知り合いに聞いたぜ」

「町の特色を示すことによって町の宣伝にもなるしね」


 神殿ってそんな役割もあったんだ。俺も何処も同じような見た目よりは一つ一つ違っていた方が見るのが楽しいからこの方式の方が好きだよ。今の所見て周った神殿の中だと二番目にこのネリアの神殿は好きだな~一番は皇都の神殿!他にはどんな神殿があるのかをウォル達に教えてもらっていると、ドアがノックされ入ってきたのは、さっきみんなの前で演説をしていた町長さんだった。町長さんは入ってくると、深く俺達にお辞儀をし


「ウォル皇子、そしてご同行者の皆さま、この度はようこそいらっしゃいました。私は神殿長と町長を兼任しておりますエリーゼ・ラムスです。あまりおもてなしは出来ないのですが、この町を楽しんで頂けたらと思います。それで、遠路はるばるいらっしゃった理由を伺っても?」


 町長さんは丁寧な挨拶をするとウォル達も丁寧に返す。


「忙しい中わざわざ時間を作って下さり感謝する。今回我々が参ったのは、昨日ネリアに起こった奇跡についてお話ししたいと思ったからだ」

「と言う事は皇子達も昨日の奇跡を目撃なされたのですか?」

「あぁ」

「それはとても幸運でしたね。ですが、申し訳ありません。私も昨日起こった奇跡について把握しておらず神殿内の誰一人としてあの奇跡について全く情報が無い状態でして皇子のご質問には答えられないのです」

「いや、我々は奇跡がなぜ起きたかについて質問しに来たわけではない」

「どういうことでしょうか?」

「シャールク、防音を」

「はいよ」


 ウォルの話がよく分からず頭を傾げる町長さん。アルベルドは本題に入ろうと、シャールクに指示を出すと風による防音魔法が部屋に張られ、ウォルは町長さんに座るように促す。


 魔法が張られたことによって重要な話だと察したみたいだけど、昨日来たばかりだと思われる俺達が何故奇跡について質問をしないのかは分からないみたい。そりゃそうだよね~まさか俺達が奇跡を起こした張本人だとは思わないよね。


「それで、皇子質問しに来たわけではないとはどういうことなのでしょうか?」

「まず、自己紹介としよう」


 ウォルはそう言って俺の頭を撫でてきたので、俺は手を上げながら元気よく


「初めまして町長さん!俺はクーア、これからよろしくね!」

「これはこれは、丁寧にありがとうございます。・・・・クーア?とても素晴らしいお名前をお持ちなのですね、昨日ヴィラス様が遣わせてくださった方もクーア様というお名前だったのですよ」


 俺の名前を聞いて、少し驚いたようだけどとても優しい笑みに変わり名前を褒めてくれた。名前が一緒だからと言ってまさか昨日の奇跡を起こしたのが俺だとは思いつかないよね~町長さんの話からだと、俺はヴィラスの使徒みたいな扱いになってるみたいだね。


「うん、俺だからね昨日魔法使ったの」

「え?いや、そんなわけ・・・・いくら名前が同じだからと言って他人の偉業を騙るのはいけませんよ。勿論憧れるのは理解できますけどね」

「まぁ信じられないよな」

「この姿だとクーアは可愛らしい子供ですものね」


 町長さんは俺は優しく諭すように言うが、その様子にシャールクとレイランは苦笑いを浮かべながらこうなるよねと温かい目で見守ってくれている。その様子にどういうことかとウォルに顔を向ける町長


「皇子、これは一体どういう事なんでしょうか?もし、昨日起きた奇跡を何かしらに利用しようとお考えでしたら私は貴方と敵対してでも止めます。あれは、人の理から離れた奇跡。それを、利用しようなど天罰が下りますよ」


 顔を少し険しくしながら威圧を放つ町長。俺達が昨日起きた奇跡を起こした者だと騙り何かをしようとしているのではと警戒されちゃったみたいだけど、ウォルは動じる事無く淡々と


「我々にそんな思惑は無い。ただ事実を話しているだけだ。だが、クーアの話だけで信じろと言うのは無理がある。クーア姿を見せてくれ」

「は~い」


 ウォルの隣に座っていた俺は空中へ浮かび上がる。そうすると、町長さんは大きく目を開き驚いたが、水のように体が崩れていき現れた俺の本当の姿に口まで大きく開き折角の美人さんが面白い顔になってしまった。


「え・・・うそ・・・龍・・・・!?はっ、申し訳ありません!!!!」


 少しの間呆然としてしまっていたが、はっと椅子から降りると頭を深く下げながら跪く町長。もうこの光景見慣れちゃったな~


「龍たる貴方様を疑うなど何たる不敬を、大変申し訳ございません!」

「気にしないで良いよ~」

「この通り、クーアは龍なんだ。そして、昨日起きた奇跡はこのクーアが起こしたことなんだ」

「クーア様のお名前そしてお姿しかと覚えております。クーア様のお姿は、昨日拝見し我々を救ってくださったあの水龍とよく似ておられます。そして、竜種である龍様がどのような存在かはよく理解しております。ですので、もうクーア様のお言葉に疑いなど持っておりません。恐れながら申し上げますが、クーア様と皇子達はどのような関係なのでしょうか?」

「友達だよ~」

「俺達はクーアより加護を貰っている。そして、昨日起きた奇跡の始終を見ている。それを説明しようと、今日はエリーゼ殿を訪ねたのだ」

「だから、そう畏まらなくて良いよ~普通にして!」


 そう言ってもエリーゼは頑なに動こうとしなしないので、俺達はそのまま話し続ける事にした。ウォルが言うには、町を救ってくれた恩人かつ信仰する守護竜の仲間であるクーアに頭が上がらないのは仕方が無い事だという。しかも、神殿長までなった者なら尚更だって。


「ふぅ仕方が無いこのまま話すとしよう。まずは、この町に来た目的から話すとしよう」


 ウォルはこの町に支援物資を届けに来たこと、そして辿り着いた時この町の状況を知りどうにか出来ないかと考えていると俺が奇跡を起こしたことを説明した。説明している間、町長は一切動く事無く静かに話を聞いていた。そして、話が終わると深く下げていた頭が地面に付くほどより下げると


「ご慈悲を下さり本当にありがとうございました」


 床には水滴が染みを作っていた。

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