俺、ネリアで少し休憩するよ!2
「あ、思い出した。人間達に知らせることがあったんだ」
「俺達にですか?」
エルディランの居場所についてウォル達と話していると、リオが突然思い出したのかウォル達の前に飛んで行った。精霊であるリオから、自分達に知らせがあるとは思っていなかったのかウォル達は首を傾げる。
「おう、俺が付いている人間からお前達に伝えて欲しいって言われてたんだよ」
「リオ様が付いている人間・・・・エリク兄上か!」
「そうそう、そんな名前~」
「リオ~大事なお知らせかもしれないんだから忘れないでよ~」
「いや~悪い悪い」
叱ると頭を掻きながら反省するリオ。ガイアはそれを見て笑っているけど、恐らくだけどガイアも多分人間からの頼み事を簡単に忘れちゃうと思う。まだ少ししか二人と一緒に居ないけど、どうも精霊と言うのは人間には興味がないみたい。いや、興味が無いは表現が違うな。人間全てを同一視して、個体の差と言うのをあまり気にしないんだと思う。リオが王城に来た時に、自己紹介をしたけどウォル達の名前を覚えてないし、最近ずっと傍にいるはずのエリクの事も覚えてない。精霊にとって人間は人間でしかないんだと思う。だからと言って、人間を助けない訳じゃなく自分達の領域に居る者達は庇護するしちょっとよく分からないや。
「それでリオ様エリク兄上は何と?」
「え~とな、「リオ様の協力のおかげで、予定よりかなり早く計画が進んでいる。既に皇都内は全て水路を引き終わった。これで、皇都の水不足は解消されるだろう。これも全てウォル達がクーア様を見つけてくれたおかげだ。ウォルの手柄を奪う様で申し訳ないが、計画は順調に進んでいる。ウォル、アルベルド、レイラン、シャールク体には気を付けるように」だってよ」
「順調に進んでいる様で良かった・・・・」
「兄上は元気そうだな」
「流石はエリク様だ」
リオから伝えられた言葉にみんなは安心したようで、喜びの笑顔が見られた。俺は水路が広がっていくのを感じられるから、皇都にも水路が広がっていったのは知ってるけど、人間達がどんな風になってるのかは知らないから俺も安心したよ~
「あの人間は優秀だな~計画に隙が無いし、なにより人を使うのが上手い。一人で何でもしないで適材適所の人間を割り振って進めてるぜ」
「リオがそんなこと言うなんて・・・・珍しいね」
「まぁ、俺達にとって人間は人間だからな。それでも優秀だってことは分かるぜ」
「私も大地から情報を獲ていますが、あの人間は中々ですね」
二人が人間の事を褒めるなんて珍しい事もあるんだな~
「リオ様、計画がどれくらい進んでいるか教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「おう、良いぜ~皇都には水路を引き終わったから、まずは町と町を繋ぐ水路を引いてる所だぜ!今は誓いの湖って言う場所に滞在して、周囲にある町に水路を通したらサスヴァンに向かう予定だぜ」
「もう、そこまで進んでいるんですね。ディーン殿達は元気でしょうか?」
「ディーン?・・・・」
「大柄の騎士のような姿をした方です」
「あぁ、あそこの住んでる人間達の事だな。見た感じ元気だったぜ~病気も無いみたいだ」
「それは良かったです」
リオは名前では誰か分からなかったみたいだけど、特徴を聞いて分かったらしい。あそこには三人が生活をしていたけど元気そうで良かったよ。そうだ、
「スナネコちゃんも元気だった?」
「主が作った魔法生物か、元気だったぜ~一緒に遊んだりするんだが、女の騎士の頭の上がお気に入りみたいだな。必要ないのに果物も貰って楽しそうにしてるぜ」
「良かった~」
ルルーは魔法スナネコちゃんを可愛がってくれてるみたいだね。あの子はあそこの守り手として生み出したんだけど、楽しんで生活してくれてるようで良かったよ。水路も順調に伸びてるみたいだし、国境側に水路が巡り散らされるまでそんなに時間は掛からなさそう。
「俺、初めて会った時吃驚しちまったよ。主の魔力を感じるから主によって生み出された者ってことは分かったけど、あいつ強すぎないか?」
「そりゃ防衛の為に作ったんだもん、強いよ」
「あいつ一体であそこら辺の魔獣達一掃できるだろ・・・・」
「確かにあの魔法生物は強力ですわよね。私達と同じくらいの強さはありますわ」
「まぁね~あの場所は重要な場所だからしっかりとした守り手じゃないと!」
「・・・・あの猫そんなに強かったのか」
「気付かなかったわ・・・・」
「うむ、ただの愛玩動物かと思っていた」
「クーアが生み出すものは何でも規格外だな・・・・」
ウォル達は魔法スナネコちゃんの強さを知らなかったみたいで衝撃を受けてるけど、俺と魔法スナネコちゃんは繋がっているから俺の魔力を自由に使うことが出来る。弱い訳ないよね。
「俺はそろそろ戻って、あの人間に協力しないと駄目そうだ」
「は~い、お疲れ様。そうだ、ガイアもリオのお手伝いしてくれない?」
「畏まりましたわ」
「お、楽になるぜ~」
「水のことは出来ませんからね」
二人はそう言って、俺達の前から一瞬で消えてしまった。みんは、暫くの間魔法スナネコちゃんの衝撃に頭を抱えていたけど、大きくため息をつき切り替えると
「エリク兄上は順調に計画を進めてるようだ、俺達も急がないとな」
「そうね、取りあえずもう少しネリアの様子を見たら出発しましょう」
「クーアのおかげで殆ど問題は解決したが、また新たな問題が発生するかもしれないからな」
「問題と言えば、クーアに聞きたいことがある」
「な~に?」
「植物達は、自由にしても大丈夫か?」
「うん、好きに植えなおしても良いし収穫しても良いし自由にしちゃって~」
「了解した」
まず、植物達を増やすことが目的だったから種類構わずそこら中に植物を生やしちゃったからね~ちょっと町の景観を崩しちゃったかも。景観を整えるために植物を植えなおすのは全然大丈夫!
「それじゃあ、クーアも起きたことだし町長の所に行きましょうか。色々と事情を話さないといけないし」
「だな~伝えておかなきゃいけない事や聞きたい事もあるし」
「うむ、町長には話しておいた方が良いだろう」
「あれ?町に出ても大丈夫なの?」
町長の所に行くって事は、ここは町長さんのお家ではないみたいだね。町はお祭り騒ぎみたいだし、俺達が外に出て行っても大丈夫なのだろうか。
「幸いクーアが作った水龍の方に注目が行ってるから、私他の事はバレてないわ。私達が来た時には住民達は衰弱していて、話し掛けた事すら覚えてないみたい」
「お~なるほどね」
「だから、俺達は奇跡が起こった時に偶々来たって事になってる。これからもその方針で行くつもりだ」
「は~い」
「だけど、町長には真相を話した方が良いだろう」
よくよく考えてみたら、魔法を使ってる時は龍の姿に戻ってたしこの姿をみて俺が龍だと気付く人は居ないよね。そう言うと、ウォルは俺を抱き上げ肩に乗せ部屋を出た。この町の町長さんはどんな人なんだろうな~
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