俺、ネリアで少し休憩するよ!
次目が覚めた時俺の目に飛び込んできたのは、椅子に胡坐をかき肘掛けに肘をつき頭を手に乗せて寝ているシャールクの姿だった。ここは知らない場所だな~、恐らくだけどウォルが運んでくれたのかな?俺は起こさないように気を付けながら、龍の姿から人の姿に変わり自分の状態を確かめてみる。
魔法を使った事によってほぼ全て使い切った魔力は回復しているね、体のだるさも感じないし大規模な魔法を使ったことによって魔力量は昨日よりかなり増えたけど、体が成長する様子は無しっと。もしかしたらこの体は成長しないのかもしれないね~まぁ不便は感じないから別にいいけど、ウォル達と同じ姿になれないって言うのは少し残念だな。
俺は少し残念に感じながら、俺を抱えているシャールクの状態も調べてみる。疲労は少しあるみたいだけど、魔力は回復しているし病気も無さそう。ただ疲れて眠っているだけだね。そうだ、昨日はかなり手伝ってもらったから大丈夫かどうか二人も確認しておこう。
(ガイア、リオ起きてる?)
(おう、俺は何時でも起きてるぜ~)
(精霊には睡眠が必要ありませんから、何時でも起きてますわ)
精霊って睡眠が必要ないんだ~俺達竜種は睡眠が絶対必要なものでは無いし、寝なくても何百年と活動できるけど疲れた時に眠ると回復が早くなるから眠ることが有る。俺はみんなと合わせて、みんなと同じように夜は眠る事にしてるよ。
(二人共昨日はありがとね~)
(いいってことよ!)
(主の望みでしたら何時でもお力になりますわ)
(二人は昨日かなり魔力使っちゃったけど大丈夫?)
(全然平気だぜ~なんなら魔力が増えて良い気分だぜ!)
(主様の魔力が上がったのと支配領域が増えましたらから私達の力がまた増しましたわ)
二人と元気な事が声からでも伝わってくる。二人は自然と俺に密接に繋がっているから、俺が力を増すと二人も力を増すみたいだね。
(二人共大量の魔力を使ったのに回復が早いね)
(私達は精霊ですから、自然や主様が浄化した大地や水の傍に居ればあっという間に回復してしまいますの)
(ガイアの言う通りだぜ!)
俺も自然から魔力を受け取ったりするけど、殆どは自己回復で魔力を回復している。今や俺が作ったり関わったりしている水路や大地がこの国には沢山ある。ということは二人はこの大地に居る限り魔力を常に回復してられるってことだよね。魔力の回復っていう点だと、俺より凄くない?
(ほえ~精霊って便利だね~)
(あ、精霊と言えばまた新たな精霊が生まれるぜ!)
(あっ、それは何となく予想してたよ。多分だけど風でしょ?)
(当たり~驚かせようと思ったんだがな~)
(主の予想通り風の精霊がこの大地に生まれようとしてますわ)
(だよね~)
昨日は大量で大規模の魔法を使ったから、このネリアには俺の魔力が満ち溢れ住民達の協力で風の魔法も使った。最後にはこのネリアを取り巻く風の全てを浄化したから精霊が生まれそうだな~って思ってたんだよね。風の精霊が生まれたことはとても良い事だから、卵から孵った時の名前を何にするか考えておこっと。
(他にも主にお知らせが有るんだぜ!)
(そうなの?聞かせて!)
(おう!実はな・・・・)
(あ、ちょっと待って)
リオは何やら俺に知らせたいことが有るようで、驚かせてやろうという弾んだ気持ちがにじみ出しながら話そうとしたけれど丁度そのタイミングで扉が開き
「あら、クーア目覚めたのね」
「シャールクは・・・・寝てるな」
「寝かせておいてやろう」
「んぁ?」
扉を開けて入ってきたのは、明るい表情をしたウォル、アルベルド、レイランの三人だった。その声を聴きシャールクも目を覚まし起きている俺を見て
「クーア起きたのか、おはよう」
「おはよ~」
「また数日間寝ちゃうのかと思ってたわ」
「体調はもう大丈夫なのか?」
「うん、凄く元気だよ!」
みんなはホッと息を付いたけど、もしかしてまた何日間も寝ちゃった?次の日の朝まで寝ようかなと思って、調整したつもりだったんだけど・・・・
「もしかして、また何日も寝ちゃった?」
「いや、そんなには寝てないぞ。昨日クーアが寝て今は次の日の昼だ」
「良かった~・・・・町の様子を見に行ってたの?」
「えぇ、シャールクにクーアの守りを任せて少し町を見て来たのよ」
「どうだった~?」
今度は大丈夫だったみたいだ。本当は朝に起きるつもりだったんだけど誤差だよね!三人の様子からして俺が起きるまで交代で見守るつもりだったみたいだけど、迷惑にならなくて良かった~
「もうお祭り騒ぎよ、昨日までは死人のようだった人達は元気いっぱいに走り周り作物を収穫し水の上で踊り朝から宴を開いているわ」
「元気になったみたいで良かった~」
「これも全てクーアのおかげだ」
「砂漠の民を救ってくれて感謝する」
「いえいえ~」
町のみんなが元気になった様で良かったよ。あ、でも気を付けて貰わないといけない事が一つあるんだった。
「言い忘れてた!町の人達を治しはしたけれど、水と栄養で腹を満たしているだけだから、しっかりと食べ物を食べないと段々弱っちゃうから注意してね!」
「そうだったのか・・・・町の皆に伝えておこう」
「そこら中で飲み食いしてるから、大丈夫だと思うけど念のため伝えておくわ」
宴をしているなら飲み食いもしてるだろうけど、一応ね。色々話すことがあって、話を続けようとしたら
(お~い、俺の事忘れてないか?)
(あ、ごめんごめん。二人ともこっちに来れるなら来てよ)
(おう!)
(参りますわ)
そう言うと一瞬で俺達の元に現れた二人。みんなはガイアとリオが一瞬で現れる事に慣れたみたいで、取り乱すことなくお辞儀をする。
「さっきまで二人と話してたから呼んだんだ~」
「そうだったのか」
「それでリオお話って~?」
「そうそう!実はな、主が探して欲しいって言ってた記録を見つけたんだよ」
「おおお!」
リオは誇らしげに胸を張りながら言う。二人にはエルディランの息子であるディオが残した記録を探してもらってたんだけどこんなに早く見つかるとは思ってなかったよ。
「内容を読むぜ」
[母上が飛び去って行ったのは鎮魂の地だという目撃情報が有ったが念のために国境付近も捜索することにした。まだ、この辺は復興が進んでおらず朽ちた家たちが痛々しい。母上がこの光景を見たら、心を痛めただろう。この辺には母上の魔力は感じられず隠れられる場所もない。やはり鎮魂の大地にいらっしゃるのだろうか。 記録12 ディオ・エルヴィラス]
「ふむ・・・・ディオ様は国境付近も探されていたのだな」
「今までの記録からするとやっぱりこちら側が怪しいわね」
「エルディラン様を探す者達でも、この砂漠は中々に過酷だからな。まだ探していない場所は多い」
「ネリアには居ない事は確実ですわね」
「だな~水が地下深くまで浸透してるけどそんな気配はないぜ」
ガイアとリオの言う通りネリアには守護竜が隠れていない。だけど、この記録によって国境付近には居ないことが分かったね。このままこちら側を探していけばきっと見つかるだろう。
「必ず見つけ出して見せます」
「うむ、エルヴィラス様を救い出そう」
「少しづつだけど、近づいている感じがするわ」
レイランの言う通り、こうやって記録とかを見て俺達は少しづつエルヴィラスの元に近付いている。今一番怪しい鎮魂の大地に早く行かないとね!
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