俺、ネリアの民達と一緒にネリアを救うよ!
俺の言葉に答えてくれた住民達は、お願いが何かと次の言葉を今か今かと待っている。うんうん、みんなやる気に溢れているね。
「今から俺達はこの大地を再生したいんだけど、再生するには植物が絶対必要なんだ。だけど、この大地には植物があまりに少なすぎるから、みんなに増やすお手伝いをして欲しいんだ。具体的には、みんなに風の魔法を使って風を俺に送って欲しいんだ」
みんなは静かに、そして真剣に俺の話を聞いてくれ俺が言ったことをすぐに実行してくれた。魔法が使える人から、次々に魔法を発動し俺達に風を送ってくれた。バラバラに発動しているから纏まりは無いけれど、俺が全部制御するから問題なし!
「ありがとう!風の魔法を使えない人は、出来るなら魔法を使ってる人に魔力を分けてあげて欲しい。魔法が使えない人たちはこれからやる種蒔きを手伝って欲しいんだ
」
ウォル達やコーネスは当たり前のように魔力を分け与えることが出来るけど本来魔力を他人に分け与えるのってとても難しい技術なんだよね。魔力を渡すには、魔力を渡す人に合わせた魔力に変えて送らないといけないのだ。人と一括りにしたとしても、ウォルとアルベルドが違うように個体によって魂や魔力全く異なってしまう。だから、普通は出来ない人が多いと聞いたけどこの国の人達は守護竜の加護と言う共通点があるから出来る人は他の国と比べると多いみたい。
それに魔法って言うのは誰にでも使える訳じゃない。魔法を使うには、魔力を持っていることとその魔力を操ることが出来る事そして、誰かから教えて貰わなければ使うことが出来ない。だから、魔法を使えない人の方が断然多いのだ。
自分達に出来ることは無いのかと、悲しそうな顔をしていた住民達は俺の言葉を聞き自分達にも仕事があると輝きを取り戻した。さて、魔法を使えない人たちの為にもお仕事をしましょうか!
(リオ~少し龍の維持任せたよ~)
(えぇ~いくら俺でも辛いって!)
(元はと言えばリオがこの龍を作ったからこうなったんでしょ!ほら、頑張って!)
(うげぇええ)
(ふふ、頑張ってくださいねリオ)
嫌な顔をするリオだけど、水の扱いに関しては俺の次に上手いから水龍の維持は大変だけど出来る事は知っている。だから、安心して俺は水龍の維持をリオに任せてみんなが発動してくれた風の魔法に集中することにした。発動した人がバラバラだから、集まってきている風は様々だ。柔らかく包み込むような風や地から天へと巻き上げるように吹く風、荒々しく砂を飛ばす風、外敵を近づかせない風の塊など人それぞれだ。俺はそんな個性豊かな風たちを俺の魔力で包み込み一つの生命を育む風と化していく。
(ぬお~体重い!!)
(うふふ)
(ガイアも笑ってないで手伝ってくれよ!)
(私は大地の精霊ですもの、水の魔法は使えませんわ)
(うぐぐ・・・・)
リオが大変そうだし、早くやった方が良さそうだね。俺は作り出した命を運ぶ風を水龍に纏わせると
(リオ~ありがと)
(ふ~二人ならなんとかなるな!)
(俺は魔法が一つ増えたから、大変だけどね!早く済ませるよ!)
いや~疲れたぜと言いながら良い笑顔を浮かべるリオ。星の魔法を使うよりはだいぶ楽だけど、魔法が一つ増えた事には違いが無い。頭が熱を持ってきているのを感じながら、俺達は神殿の上から飛び立つと大地へと降りた。
(よ~し、やろうか!ガイアもお手伝いお願いね)
(分かりましたわ)
俺達は地面の中に潜り泳ぐように大地を巡って行く。巨大な龍が地面へと消えて行ったことに、住民達は声を出しながら驚いた。地面に水路を引くように泳ぐ俺達は地面に埋まっている種たちを芽吹かせ、大地に少しばかりの緑を取り戻していく。
(ガイアお願い~)
(はい、畏まりました)
育ってくれた植物達には申し訳ないけれど、植物を増やす糧となって貰うよ。ガイアは俺達が作り出した生命力と栄養を植物達に送り、急速に植物達の成長を促進させていく。芽が出たばかりだった植物達はあっという間に芽が伸び大地に深く根を張り、瑞々しい葉を生やし花を咲かせる。そして、俺達は纏った風を使い花粉を飛ばし交配させていく。
「花が!」
「凄いわ!まるで、昔に戻ったかのよう」
「俺達の町に花が咲いたぞ!!」
生命を運ぶ風は町中に吹き、その柔らかく優しい風を住民達は全身で感じながら成長していく植物達に笑みを浮かべる。その光景を奇跡だと言う人達やあり得ない光景に涙を流す人々も居た。
(植物達の受粉は終わりましたわ。異なる植物同士の交配も許して良かったのですよね?)
(うん!植物達が交わる事によって新しい植物が生まれてくれるからね)
(畏まりました、それでは種まで成長させますね)
ここにある植物の種類は限られているし、ポケットの中にある種を色々使っても良いんだけど自然に生まれた方が生態系を壊す心配が無い。俺は今まで大地を過去に在った環境を再現していただけど、環境は変化する。新たな命が生まれ新たな種族が生まれ、新たな土地が出来上がるのだ。昔のままと言うのは、素敵な事だけど未来を進むには発展が無いといけないよね。
「花達が枯れて・・・・」
「いや、よく見ろ種を付けてるぞ」
「こんな早さで成長するなんて」
「ママ、お花枯れちゃったの?」
「いいえ、よく見て。あれはね、次のお花を産もうとしてるのよ」
ガイアは植物達に負担を与える事無く種まで成長し終えた。俺は植物達が実らせた種を風で優しく空に巻き上げてあげると、半分を風の流れで町中に飛ばし半分を住民達の手に届かせた。そして、風を使い声を届かせる。
「この種をみんなの好きな所に植えて」
町中の種が無作為に配られたから植物に詳しい人以外は何の種か分からない。花が咲くかもしれないし、食べられる野菜が育つかもしれない。どんな植物が育つかは分からないけど、住民達は俺の言葉を聞き地面に好きなように種を蒔いてくれた。
種が蒔かれたことだし、また成長させ種を増やさないとね。植物によっては、種を作り出すことによって役目を終え枯れてしまう物もあるからそういった植物は大地に取り込み、次の植物達の糧となってもらった。これを四回程繰り返すと、あっという間にネリアの大地には植物達が咲き誇り、寂しい雰囲気だった町は植物が賑やかな町と変わっていった。
植物達は成長する時大地の栄養を使うからこんな短期間に植物達を成長させると普通は土地が瘦せてしまうんだけど、俺が常に大地に栄養を送っているから大丈夫!
(お~緑が沢山だな)
(これぐらい増えれば人々が生活するうえで十分でしょう。これ以上増やすと人が生活しづら場所になってしまいますわ)
(お~かなり変わったね!)
俺達は大地から飛び出て空からネリアの町を眺めると、神聖な雰囲気は変わっていないが乾いていた大地は潤い、道には植物達が咲き誇りごつごつと武骨な町を囲む岩には蔦や苔、花が咲き優しくネリアを守ってくれている。
(家の傍に野菜が生えたりしちまってるけど、これはこれで面白いから良いな)
(その内人間達が植物の整理はしてくれるでしょう)
(これで、お仕事の殆どは終わったね)
(だな!これでここの住民達が困ることは無いだろうな)
(そうですね、私達の力が強く大地に残ってますからこれから枯れるようなことは無いですわね)
ふ~魔力は殆ど使っちゃったけどやるべき事は殆どが終わったね。あとのお仕事は、町に水路を作る事と・・・・みんなの誤解を解くことだね!
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