俺、ネリアを救うよ!2
ひとまず住民達の治療が終わり、町の中心に聳え立つ神殿に腰を下ろした俺達はまだまだネリアを救うために、準備をしていく。住民達は回復できたから次は豊かにした大地に植物達を芽吹かせよう。長期に渡る渇きと人々の飢えによって、ここの植物は全滅してしまっている。まだ、地中に残っている種は僅かに残っているけどそれを全て成長させたとしても、ここの住民達全員を支える程の量は無い。
(貰った種は有るけど、大地の記憶から作り出さないと足りなそうだね~)
(だな~水はどうにでもなるけど植物を増やすのは色々と必要だからな)
(ですが、主様にはもう植物を作り出すほどの魔力はございませんよね?)
(うっ・・・・)
ガイアの言う通り、この龍の魔法を発動し制御するためにもう大量の魔力を使ってしまっている。この魔法はまだまだ維持しないといけないし、これ以上魔法を発動しようとしたら流石の俺でも制御しきれないよ!それに、植物を無から作り出すのは大量の魔力を使うから今の状態だと絶対に足りないね!
(でも、他に方法ないでしょ~?)
(水のこと以外は俺は知らね~)
(私に良い考えがありますわ)
(どんなの~?)
(簡単なことですわ、今ある種を育て上げ種を増やせばいいのです。植物達は一回で大量の種を作りますから、それを大地に撒きこれを繰り返すことによってあっという間に植物の楽園となりますわ)
(あ~なるほどね!でも、それって植物達の負担にならない?)
(時間を早め強制的に成長させるのではなく、豊かな栄養と水によって成長させれば大丈夫です。受粉させるために風の魔法を少し使って頂きたいのですが)
(のええええ~水じゃ駄目?)
(花粉を水で運ぶのは流石の主様でも難しいのでは?)
(うう・・・・)
植物が花を咲かせ、身を作り種を作り出すには受粉が必須だ。自然界で受粉をするには、虫や風によって運んで貰うんだけど今回はそれを俺達がやらないといけない、花粉ぐらい小さなもの水で保護するのは大変だから風の魔法が一番良いんだと思うけど~・・・・無理!
(流石にこれ以上は無理だよ~)
(ですが、他に方法が・・・・)
うぅ~ガイアの言う通り他に方法が無いみたいだし、無理してでも風の魔法を発動させるしかないのかな~・・・今使っている魔法たちは、まだまだ必要だから消せないし、よ~しこうなったら!
もうどうにでもなれと、勢い良く風の魔法を発動させようとしたら、いい事思い付いたとリオが俺の前に来ると
(そうだ!人間達に手伝って貰おうぜ!)
(ウォル達にってこと?)
(あいつらもそうだけど、目覚めた住民達に手伝ってもらおうぜ。ここの人間は風の属性を持っている奴らが多いみたいだし、戦士も居るから魔法を使える奴はある程度いるだろ?そいつらに風を作って貰って、後は主がそれを少し弄れば十分だろ)
(あら、それは良い考えですわね。魔法を発動する魔力は要りませんし、維持する魔力も要りませんね。制御は主がやらなければなりませんが、新たに魔法を発動させるよりはとても楽にはなると思いますわ)
なるほどね~リオの言う通り住民達に風の魔法を使って貰うのは良い手だと思う!風を起こして貰えば良いだけなんだから、複雑な魔法の発動は必要ないし、風の魔法をが使えない人には種まきを手伝って貰えば良いよね!。
うんうん、とてもいい考えだと思う。風の細かな制御は必要だけど、何とかると思う!というか何とかするから大丈夫。じゃあ、まずは起きた住民達に手伝ってもらえるようお願いをしないとね。みんなに声を届かせるためにウォル達を連れてこないと!
俺達は神殿の上から飛び立つと、ウォル達が待っているネリアの入口へと向かう。向かっている間も常に大地には魔法を掛け大気を浄化し、乾いた大地を潤していく。飛んでいる間、住民たちは口を開け眺めているけど元気になった様で良かったよ。俺達は、ウォル達の傍に腰を下ろすとウォル達が駆け寄ってくる。
「クーア、無理はしてないか!?」
「凄まじい魔法だったけど、大丈夫かしら?」
「魔力をかなり持ってかれたが、それでは足りなかっただろう?少し回復したからもっと持っていても構わないぞ」
「クーア凄いな!あっという間にみんなを治しちまったよ。こっちに来たって事は俺達に何かして欲しいことが有るのか?何でも言ってくれ!」
みんなは住民達が元気になってとても喜んでいるけど、俺の事も心配なようで喜びと心配が半々だね。
「ガイアとリオに協力して貰ってるから、大丈夫だよ~。実は手伝って欲しいことが有るんだ」
「何でも言ってくれ」
手伝って欲しいと頼むと、みんな真剣な顔に変わり何でも言ってくれと頷く。そんなみんなを龍の体の中に入れると、ポカンとしていたコーネスが走ってくる。
「俺、魔法は苦手だけど魔力は馬鹿みたいにあります!俺も何か手伝わせて欲しいっす!」
「うん、じゃあ手伝って~」
コーネスも龍の中に入れてあげ、また神殿目掛けて飛び立つ俺達。
「凄いな、こんな巨体が飛べるなんて」
「この龍クーアに似ているわよね」
「なんか似ちゃったんだよね。形を作ったのはリオだよ」
「一体いくつの魔法を使ってるの?」
「今は八個だよ~」
「そんなに魔法を使って魔力は大丈夫なのか?」
「魔力はリオとガイアに助けて貰ってるか大丈夫だよ~。問題なのはこれ以上魔法を増やせないってことなの。神殿に着いたら説明するね」
俺は、また大地に祝福を降り注ぎながら神殿に腰を下ろすと困っている現状と住民達に声を届けて欲しい事を説明すると全員頷き。
「なるほど、状況は理解した」
「私とアルベルドで声を町全体に届けるわ。ウォルとシャールクは魔力を回して頂戴」
「俺も魔力が有り余ってるから使ってくれ!」
みんなは状況を速やかに理解すると、素早く魔法の準備をしてくれた。声を届かせるのはウォルにお願いしたかったけど、俺がここまでやったんだから最後まで俺がやった方が良いという事で、俺が話すことになったよ。レイランとアルベルドに魔法を発動して貰い、住民達に声を届かせる。
「みんな~初めまして、俺はクーア。この巨龍を作ったのは俺でみんなを害する気は無いから安心して!みんなに声を届けてるのは、理由があって実はこの土地を再生させるために、みんなの力が必要なんだ!協力してくれるかな?」
ネリアの町の隅々まで俺の声が響き渡り、元気になり立ち上がった人々は聞こえる声と現実離れしている光景に唖然としていたけれど、段々状況を理解できたのかちらほらと
「あんたは俺達を助けてくれたんだ、何でも言ってくれ!」
「龍様の望みを断る訳がありません」
「何でも言ってくれ!」
「この大地を救えるなら何でもするぞ!」
「私達はこの土地を守らないと!」
最初は数人しか声が聞こえなかったが、段々と声は広がっていきこの町に住む全ての住民が手を上げ頷き協力すると言ってくれた。よ~し、じゃあみんなでこの町を救おうね!!!
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