俺、ネリアに案内してもらうよ!
「クーアどういうことだ?」
「この人汚染された魔力が体に染みついちゃってる。動くのでさえ辛いはずなのになんで動けるのかな~って」
俺の言葉を聞きアルベルドはコーネスに厳しい目を向けると、目を泳がせ動揺しながら
「ななな何言ってるんですかチビッ子は~俺は超元気っすよ!」
「あの魔境を通ったら絶対汚染されるはずだもん、大丈夫な訳が無い」
「え?そうだったのか?俺達は大丈夫だけど・・・・」
「俺が常に浄化してたからね」
「そうだったのか・・・・ありがとうクーア」
「コーネス、クーアは嘘をつかない。お前無理してるな?普段のお前なら狩りの失敗なんてしないはずだ」
アルベルドに詰められているコーネスは目を合わせるようとせず、手を振りながら
「いや~偶々失敗しちまっただけっすよ!」
「・・・・」
「・・・・うぐっ」
「本当の事を言え、これは隊員の命に関わる事だ。まだ言わないのであれば副団長命令とする」
「うっす・・・・」
誤魔化すことは出来ないと分かったのか、コーラスはさっきまで陽だまりのような笑顔を浮かべていた顔を暗くしながら事実を教えてくれた。
「俺達が来た時には、今ほど魔境の状況は酷くなかったんです。だから、順調に進んでいたんですが、途中から汚染の症状が出てくる奴が出てきまして急いで魔境を抜けたんですが、それでも部隊全員が中度の汚染に掛かってしまいました。ネリアで休憩を取ろうと思って痛みを我慢しながら、ネリアに着いたんですが思ってるより酷い状況だったんです」
「どう酷いんだ?」
「ネリアの住民達は水不足によって定期的に魔境を越えなければならないんです。つまり・・・・」
「ネリアの住民も汚染されたのか」
「そうです、分かってからは人を変えたようなので重度の人は居ませんが多くの人が汚染と戦っています。この状況を伝えようと、戻ろうとしたら魔境が今の様になってしまい報告も出来ず・・・・水も食料も不足しているんです」
「不味いな」
「幸いまだ死者は出てませんが、時間の問題だと思います。少しでも食料をと思い狩りをしたんですが・・・・」
「本調子では無いから失敗したと」
「はい、恥ずかしながら。俺は体が丈夫なのが唯一の取り柄なんで、これぐらいの痛み耐えてやるって思ったんすけどね~・・・・」
コーネスは大きくため息を吐くと、悲しそうに
「このままだと、ネリアは壊滅しちまいます。戦士達は水を取りに行く役目で汚染されちまってるから食料を確保しようにも狩りが出来る人が居ない。ネリアの中で育てていた植物も枯れちまったし・・・・副団長どうしたら良いんすかね?というより副団長達はどうやってあの魔境を?」
ここまで話して、俺達が無事に魔境を抜けて来たことに気付いたらしい。ウォルは真剣な表情になると、
「コーネス、俺は第三皇子ウォルだ。俺達はネリアの現状を解決する手段がある急ぎネリアに向かいたいんだが、案内を頼めるか?」
「うぇ!?皇子だったんすか!いや、それより解決する手段って?汚染なんて治せるわけが」
「お前・・・・」
「クーア、頼めるか?」
「はいは~い」
俺はコーネスの前に立つと水を作り出しコーネスの体を包み込むと、体に染みついてしまった汚染した魔力を体から浮かし浄化さする。汚染された魔力は白い光となって消えていきあっという間にコーネスの汚染は消え去った。水から出て来たコーネスは、汚染が消えてしまった事に気付いたみたいで
「嘘だろ・・・・痛くない」
「こういう事だ。すまないクーア暫く力を借りる事が多くなるかもしれない」
「大丈夫、大丈夫~浄化の魔法は俺しか使えないしね~」
「チビッ子・・・・!お前凄いんだな!!!」
陽だまりのような笑顔に戻ったコーネスは俺を持ち上げ一回転すると、パッと真剣な表情になると
「身勝手な願いだという事は分かっている、だけどどうか住民達と隊員を救って頂けないだろう?対価が必要ならば俺に出来る全てを差し出す。だから、どうか・・・・」
今にでも泣きそうなコーネスの頭を撫でながら、俺は笑うと
「じゃあ、対価としてサイを見せてね。約束だよ」
「そんなことで・・・・」
「破っちゃやだからね」
「あぁ勿論だ、クーア殿感謝する」
うんうん、会ったばかりだけどコーネスに泣きそうな顔は似合わないね。似合うのは陽だまりの様に明るい笑顔だ。元々俺達はネリアを助けに来たんだし、久々に俺の全力を見せてあげるよ!俺は必ず約束を守るから、コーネスも約束を守ってね。
さて、ネリアを助ける事が決まったんだしコーネスの話を聞いた限り急いで向かわないと駄目そうだね。ネリアまでまだ距離はあるし、このまま歩いてたら日が暮れちゃうよ。
「じゃあ、急いでネリアに行こ~!」
「うむ」
「そうね」
「あぁすぐに案内する」
「あ、大丈夫だよ~歩いて行かないから」
「え?」
コーネスは早速案内しようと先頭を歩きだそうとしたが、急ぐんだったらもっと早い方法があるよ。
「?どういうことだクーア、また飛んでいくのか?」
「あれは疲れるし、同じことをするのは面白くないでしょ~」
ウォルが俺の顔を覗き込み顔を傾げる。俺はみんなを水に包むと
「それじゃあ、水路へご案な~い」
「え?」
俺達を包んだ水球は、枯れた大地に落ちた水滴の様に地面の中に吸い込まれていき俺達は地面の中に潜った。
「ここは!?」
「地面の中だよ~」
「地面の中!?一体どうやって・・・・」
「後ろを見て~水路があるでしょ。あれが俺達が引いてきた水路だよ」
みんなはその言葉を受け後ろを振り返る。そこにはキラキラと流れる水があり、空気を含んだ気泡が俺達の元へ届く。
「あれが・・・・」
「いやいや、可笑しくないっすか?俺達ぐらい大きな水路なんてあり得ないっすよ!」
コーネルはいやいやと手を振りながら否定するが、事実なんだよね~。まぁ仕掛けは有るけど
「地面の中に入る時にみんなの体を縮めたんだよ~」
「えぇええ」
「それも魔法?」
「うん!真似出来ないだろうけどね」
「そうか、それでこれからどうするんだ?」
レイランは魔法の仕組みが知りたくて、頭を唸らせているがウォルは自分では理解できない領域だと割り切ったのかこれからどうするのかを聞いてきた。
「リオがどうやって移動してるか知ってる?」
「確か水路を辿ってだよな?」
「そうそう、水と化せば水が通ってる場所には瞬時に移動できるの。それをやろうかなと思ったんだよね~」
「だが、ネリアまでは水路は引けていないぞ」
ウォルの言う通りまだネリアまで水路は引けてないけど、水路を引くなんて簡単簡単。進むたびに俺達の先に水路を引けばいいんだから、引いてないのは関係ないんだよね。
「それは、大丈夫~それじゃあ、しゅっぱ~つ」
俺は俺達が向かう先に水路を引いていきその中を俺達が入った水球が高速で移動していく、水球の周りは水で満たされ、時折水の中に現れる気泡にみんなは目を奪われ
「綺麗だ・・・・」
「幻想的ね」
「水の中はこうなっていたのか」
「こんなにも水が」
みんなはそれぞれ感想を言ってるけどコーネスはぽかんと大口を開けて、唖然としている。そんな事も気にせず俺はどんどん進んで行き、あっという間にネリアの町の前に到着すると俺達は地面の中から浮上しみんなの大きさを元に戻してあげた。
「あっという間に、着いたな」
「マジか」
「もうちょっとあの光景をみていたかったわね。まぁネリアを助けるのが最優先だけどね」
「本当に着いちまった・・・・」
よ~し、じゃあ中に入ろうか!
読んで頂きありがとうございます!
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