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俺、謎の人と会うよ!

 蠍達に遭った後、特に他の魔獣や魔物達に遭うことなく順調に砂漠を進んでいると、


「誰か来る」

「誰か?人間なのか?」

「あぁ、人間だが・・・・凄い速さだな」


 シャールクが見た方向を見ていると、熱によって靄が掛かっている先から突然凄い速さで砂漠を走っている人が見えた。


「砂漠をあの速さで走るってどうなってるんだ?」

「・・・・」

「なんか、どこかで見た覚えがあるような・・・・」

「ネリアの住民だろうか?」


 砂まみれの地面を歩くだけでも大変なのに、こっちに向かってくる人は凄い速さで砂漠を走っている。足場が崩れたり、砂が足の上に乗ったりして走れる訳が無いのに一体どうやって走ってるんだろう?シャールクも同じように思ったのか、弓を構えながらも首を傾げている。レイランは見覚えがあるらしいけど・・・・


「シャールク構えを解け」

「ん?知り合いなのか?」

「あれは、コーネスだ」

「コーネスって確か第三部隊の隊長の名前よね・・・・あれが?」

「騎士っぽい格好して無いけどな」


 砂漠を全力疾走で駆ける人に疑わしい目を向ける二人だが、アルベルドは頭が痛そうにしながら


「この砂漠をあの速さで走れるのはあの人ぐらいだ」


 アルベルドが言い切ったので、シャールクは武器を下ろし俺達も向かって来ている人の元へ歩き出すと、遠くから


「ふ~~~~く~~~~~だ~~~~~ん~~~~~ちょ~~~~~」

「はぁ・・・・」

「アルベルドの言った通りみたいね」

「あの人よくあの距離でアルベルドって気付いたな」

「・・・・おい、なんかあの人の後ろ大変なことになってないか!?」


 遠くから響いてきた声にアルベルドは頭が痛そうに手をこめかみに当て、その様子に三人は呆れたように笑う。笑いながら眺めていたシャールクだが、走る人の後ろに多くの砂煙が見えたことによって、そう叫ぶと急いで弓を抜き構える。他の三人も嫌な顔をしながら武器を構える。


「ちょっと!さっきより少ないけど、どうするのよ。あの人が居たんじゃさっきの魔法は使えないわよ」

「はぁ乱戦覚悟だな」

「さっきよりは少ない何とかなるだろう」

「あの馬鹿・・・・・」


 段々は知っている人の顔が見える程の距離になると、その人は満面の笑みで手を振りながらこっちに来ていることが分かった。


「お久しぶりです~~~!!お元気でしたか~~~~!」


 大変なことになっている後方を気にすることなく、走り続け笑顔を浮かべてる人に苦笑いを浮かべながら何時でも戦えるように構えるみんな。俺達の元まで来るのを待っていると、その人は地面をダンッという衝撃音を響き渡らせながら踏み込み大きく跳躍して俺達の隣に着地すると爽やかな笑顔を浮かべながら


「どうもお久しぶりです、副団長!」

「お~ま~え~!!!!」

「へ?どうして怒ってるんすか?」

「アルベルド、怒りたい気持ちは分かるけど後にしましょ」

「まずはあれを何とかするのが最優先だ」


 コーネスだと思われる人が俺達の所まで一気に跳躍して来たが、砂埃を起こしている集団は見失う事無く俺達の元まで走って来ている。そして、近づいて来たことによってその正体があらわになった。


「バッファローか・・・・」

「うわ・・・・」

「めんどくさいのを引いたわね」

「あれ相手に乱戦はしたくないんだが」


 黒い肌に太く鋭い角、そして逞しい身体を持った四本足の獣バッファローが正体だと気付いたみんなは凄く嫌そうに顔を顰める。あの勢いのままあの巨体にぶつかったらいくら何でも死んじゃうよね~俺が何とかしてあげますか。


「あちゃ~連れてき過ぎか」

「・・・・後で覚えておけ」

「すんません!」


 コーネスだと思う人はやらかした~と後頭部に手を置きながら笑っていたので、アルベルドが睨む。俺は向かってくる奴らをよく見てみると、このバッファローは魔獣じゃなくて普通の動物みたいだね~だったら全滅させるのは不味いよね。三分の一くらいは倒して他は流しちゃおうか。


 俺はみんなの前に立つと、


「あれ?チビッ子?危ないから俺の肩に乗った方が良いぞ」


 コーネスは前に出た俺に驚き隣にしゃがみ、肩に乗るよう言うが


「大丈夫だよ~ちょっと間引くだけだから」


 俺はそう言うと体の周りに複数の水の球体を作り、そこから水を一直線に放出しこっちに突撃してくるバッファローを間引くよ。


「うえぇえ 水ってそんな使い方あるんすか!?てか、チビッ子つよ!?」


 これで怯んで逃げてくれたら嬉しかったんだけど、仲間がやられたにもかかわらず止まる様子を見せない。


むぅ~駄目か。じゃあ、倒した奴はポケットに回収しておいて、他の生き残ってる奴らはぜ~んぶ水に流しちゃおう!


「クーアどうするつもりなんだ?」

「全滅させるのは良くないでしょ?だから、水で流しちゃおうかなって」


 俺は体の周囲に浮かせていた水球から、大量の水を発生させると、水は津波となり一瞬で砂漠を覆うと水は意志を持ったようにバッファロー達を絡みとり押し戻し、あっという間にバッファロー達が見えなくなっていく。


「おお~運ばれてく~」

「流石はクーア、凄い魔法だな」

「はぁ、クーアのおかげで助かったわ」

「おぉチビッ子すげぇな!」


 コーネスは興奮した顔で俺の事を持ち上げグルグル回り、面白かったけどその様子を見たアルベルドが眉間に皺を寄せながら拳骨をコーネスの頭に落とす。


「何をやってるんだ馬鹿野郎!」

「いってぇ!!酷いっすよ副団長」

「何が酷いだ!酷いのはお前だ!一体何を考えてあの数のバッファローを引き連れていたんだ!それも、俺達の所まで連れてくるとはどういうつもりだ!」

「いや~食料確保に数体狩ろうかなと思ったら、群れを刺激しちまったみたいで!どうしようかな~と思って走ってたら大きな魔法が見えたんでもしかしたら副団長かと思いまして」

「大きな魔法だけで、俺達の事が分かったのか?」


 シャールクは不思議そうな顔をしながら傾げると、コーネスだと思う人は輝くような笑顔で


「はい!だって、副団長は魔法が下手ですからね!」

「え?」

「あ、これだと正確じゃないっすよね。副団長は放出する系統の魔法の制御が下手なんすよ!だから、いつも大きな魔法を使うと大地が大変なことになるし荒々しい魔法になるんすよね!」

「・・・・・」

「痛っ!!何で殴るんすか!」


 レイランとウォルはアルベルドが魔法の制御が苦手な事を知らなかったみたいで目を丸くして驚いてるが、今までの旅を振り返って怪しいなと思ってたシャールクは納得したみたいで、


「あぁ~だから、あの時クーアに制御を任せたのか。その後も魔法を使うたび地面が大変なことになってたしな~」

「何と言うか・・・・意外だな。アルベルドにも苦手なものがあるとは」

「・・・・知らなかったわ」

「俺にだって苦手なものはある」

「あれ?秘密だったんすか?すみませんっ隊長格はみんな知ってるからつい」

「うるさいぞ、コーネス」

「その人はやっぱりコーネスさんで合ってたんだな」

「あれ?そういえば俺自己紹介してなかったっけ?」


 キョトンとした顔をすると、元気いっぱいにコーネスは自己紹介してくれた!


「どうも!第三部隊隊長コーネス、24歳です!種族は見ての通り、サイの獣人だぜっ」


 そう言ってキリッと手を顔に付けたコーネス。コーネスは、額に一本の大きくて太い角を持った身長の高い男性で髪の色は鼠色。輝くような白い歯を見せながら太陽のように笑うコーネスは、どちらかと言うと犬のように見える。


「サイの獣人か、珍しいな」

「お、そういう君は豹の獣人かい?」

「あぁそうだぜ」

「猫系統も良いよな~自分の種族を気に入ってるけど、偶に違う種族になれたらと思うと猫系統がまず思い付くんだよな。しなやかな動きに柔軟な体、ちょっとうらやましいぜ!」

「お、おう。そうか・・・・だけどサイの獣人と言ったら獣人の中でも最強格だろ。サイもすげぇよ」

「お、ありがとな!」

「サイの獣人ね・・・・砂漠をあんな速さで走れたのが納得だわ」

「サイ~?」


 サイってどんな動物なんだろう?みんなが納得してるって事は、相当力が強い動物さんなのかな?


「おっチビッ子はサイを知らないのか?よ~し今見せてやろう!」

「今はそういう場合じゃないだろ!」

「いてっ!」

「仕方ない、チビッ子には後でサイを見せてやるからな~」


 ニコニコと話すコーネスは、本当に優しそうで周りも明るくしてしまう程元気だけど、会った時から凄く気になってることが有るんだよね。


「コーネス」

「なんだいチビッ子」

「それ痛くないの?」

「え?」


 コーネスは吃驚したけど、すぐに笑顔になったけど。俺の目は誤魔化せない、ずっと笑ってるコーネスだけど体の至る所に汚染された魔力が染みついている。この量はサイドで治療をした戦士達より多い、どうしてそんな動き回れるんだろう?

読んで頂きありがとうございます!

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