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俺、生まれた!

 此処はエルロー帝国の北にある魔の森、ここには大いなる龍が住むという伝説があり誰も近づかず森の中に入っていくのは荒くれ者ぐらい。そんな魔の森の深くでとある新たな命が目覚めようとしていた。

 その命は、森に巣くっていた荒くれ者もとい山賊が拠点とした場所でポツンと一つ転がっていた。見た目はまるで水の塊のような、綺麗な卵型をしており中身は見えないが向こう側は見えるという不思議な物体。時折気泡が卵の中で動き神秘的で、生命の鼓動を感じる。多くの魔物が居るこの世界でも、特に珍しく奇妙な卵が今・・・・羽化する


ゴポッゴポポポポ


 少し揺れたかと思うと、突然卵の中の気泡が沸騰したかのように激しくなる。そして水風船に穴が空いたかのように外殻が割れると、小さな卵の中に入ってるとは思えないほどの大量の水が溢れ出る。あふれ出た水によって山賊の拠点に残っていた、寝床にしていた藁や、奪った樽などは流されてしまい辺り一面が水場へと変わってしまった。

 あふれ出た水はただの水では無くキラキラと輝き清浄な気配を溌溂と発する。そして、水場となった中央に今にも生まれそうなほど動き出す卵。グルグルと回転し始めピカっと光ると


「ピギャーーーー!!!」


 大きな産声を上げながら大量の水の津波によって生まれたのは、ひょろ長く姿は蛇のように見えるが、どの生物とも違う神秘的な見た目をしていた。

 白い鹿のような角に、水色の半透明の体に小さな足と腕。体の中では時折気泡が消えては現れ揺れている。背びれは、揺らめく波のように波打ち体が動くたび形を変える。瞳は深い青色に輝き周りのものを興味津々に見ている。口にほんの少しひげがありよく見ないと分からないくらいには小さい。そして、首元には水生生物特有のエラが付いており、動くたびにゆらゆらと。そして、首元の周りには星空を詰め込んだようなキラキラと星が光る8つの球が、クルクルと回っている。

 神秘的で美しく、この世の生物とは思えない見た目をしているが幼さを残して愛嬌がある。そんな生物はきょろきょろと周りを見渡しながら


「ピギュ?(あれ?母ちゃんと父ちゃん何処?)」


 え?パパンとママンどこいったの~~~~~!!!何も無いし、誰もいないんだけど!!!

 どうして?俺生まれたよ?なんで誰もいないの?そこは、初めまして坊やってくるんじゃないの?俺1人なんだけど!


 ピギュピギュ言いながら周りを飛び回り、周りを見渡す俺。


うん、5周したけど誰もいない!なんで!?もしかして俺独りぼっちってこと?迷子?それとも捨てられた?


 生まれた場所に戻って丸くなって考え込む俺。俺が龍ってことはなんか生まれたときにから分かるでも龍ってなんだ?


 龍は生まれながらにして高い知性を持ち、自我を持って生まれてくるが知能があるだけで感性は子供であり知識を持っているわけではない。だからこそ生まれたての龍は余計に混乱した。誰かから生まれたのは分かる、でもなんでその生んだ者が居ないのかは分からない。


どうしよ、う~ん。此処にいた方がいいのかな?それとも探しに行くべき?・・・・居心地良いから此処にいればいっかっ


 何時までたっても答えが出ないことを迷うより、生まれたことを楽しめばいいやと考えた幼き龍。生まれてきた喜びを表現するかのように自由自在に飛び回り、水の中を泳ぎはしゃぐ。


いえ~い、飛ぶのたのしい~でも、あっちの方はなんか気持ち悪いからヤダ。あの何かがいっぱいある所は、ジメジメ、ギトギト、ムワムワここから動きたくないな~


 ここは魔の森、多くの魔獣がひしめき合う魔境。瘴気を発生させる魔物も居れば、毒をまき散らす魔物も居る。魔物が発生させる汚染された魔力によって森は、魔界と化し生き物にとっては毒となる場所になっている。幼き龍が生まれた時に発生した水によって、水がある場所は浄化され清浄な魔力が満ちているが、森には汚染された魔力が残っている。龍は魔力の操作に長け魔力を感じ取りその目で見ることが出来る。本能的に汚染された魔力を感じ取り、嫌がってるのだ。

 幼いが、あくまで龍。生物の頂点に立ち、世界を覆すほどの力を持っているのだ


あ、これ俺の卵のかけらだ~美味そう!食べちゃお~うまうま


 じゃあ~此処に居るのは良いんだけど・・・・だれも居ないのはちょっと寂しいかも。そうだ!お水でいっぱい遊んでれば楽しそうって誰かが来てくれるかも!じゃあ~お水を空に浮かべて~バーーーン!!


お~綺麗!もっとやろ~と


次は動かしてみる?良いかも!グルグルも楽しいよね!


幼き龍の数十倍ほどの大きさの水球が爆発したり、簡単に人を飲み込んでしまう程の津波や渦など大魔導士でしかできないような、繊細かつ壮大な魔法が子供の遊びかのように次々と水辺で起こるが、その事について教えてくる人はいない。

 常識や世界の事について誰にも教えられることがなかった龍が自由気ままに、持ち前の理不尽な程の力によって現世を楽しんでゆくそんなお話の始まりである。


疲れた!おやすみ~

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