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獣心核醒!! ビーストコマンダー  作者: 小鳥遊 想
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Ep.4 「決着!! 裏切らぬプラクティス」

つまり…気合いか!?

「悪ぅ思わんちくれや! トドメぞ!」


ドゴォ…!


会場に鈍い音が響きわたる。

もはやこれまでか、と顔を手で覆ったガバチョがゆっくりと目を開き次の瞬間見たものは───


ジューゾーのギア、グッドラック・ストレンジジャーニーの攻撃を受け止めるレッドジェット・マイティタイガーの姿だった。


「おっとろっしゃ…!おまん、なぁし動けるがぞ……!?」


カドゥケウスの能力ツインスネークバインドとジューゾーの必殺技『ホロウ・スティング』になす術なく攻撃を浴びていたレッド。

ひとつ大きく呼吸をして、額にかけていたゴーグルを装着した。その瞳に、反撃開始の炎が灯る。



○会場 VIP室


「Good! あの状況下でなおも動けるとは! 彼を相手に勝利することができれば間違いなく95%の壁を超えられる! また一歩、悲願に近づくぞ。君もそう思うだろう、アフロディーテ?」


アフロディーテと呼ばれた人物が答えた。


「そうね。ま、これで95%の壁を超えてくれたならあの子は用…お役御免。望みどおりにGRCから解放されるってわけね。めでたしめでたし」


「その為にもこの試合に勝って、私の期待通りの結果を見せてくれるといいんだがね…」




自身の得意戦法を破られたジューゾーは明らかに焦っていた。


「ワシのホロウ・スティングが効かんやと…!? もういっぺんじゃ! グッドラック・ストレンジジャーニー!」


「無駄だ! オレはこの一ヶ月、コウに勝つためただひたすらに基本を鍛え直した。これだけお前の攻撃を受け続けていれば、例え意識の外からの攻撃であろうと無意識に反応できる!!」


ジューゾーの攻撃を捌き反撃をくらわせるレッド。


「クソッ! ほんなら…これぜよ! カドゥケウス!!」


双蛇が首をもたげ大きく口を開き─


再びレッドジェット・マイティタイガーの動きが停止──


「──しないっ!?」


「その手は! 食わねえーーーーー!!」


ギュアアーーーン!


レッドジェット・マイティタイガーのコアが激しく唸り、グッドラック・ストレンジジャーニーを大きく吹き飛ばした。



ソファに深くもたれ、ウイスキーグラスを手に眺めていた時任は驚きのあまり立ち上がった。


「Excellent! 驚いたね…。カドゥケウスのツインスネークバインドはテイムコマンダーの3つの指示系統のうちの2つ、すなわち音声操作とHTP操作による命令をリセットし一時的に遮断する。いわばゲームシステムに介入する能力だ。残る指示系統はインパルスシステムだが、本来補助的な役割であるインパルスシステムだけではギアを動かすことなどできないはず。それをあの少年はインパルスシステムオンリーでヘルメスのギアを吹き飛ばすほどの出力を発揮してみせた! コレはまさにシンギュラリティ!! 今の彼を倒せば95%どころじゃない! 97…いや、98%だって到達できるぞ!?」


「社長、うるさいわよ。興奮してるところ悪いけど、それも勝てればの話でしょ。 正直『アレ』…アタシでも厳しいかもよ?」


「さぁ、ヘルメス。私の期待に応えてみせろ…!」


○再び試合会場


「終わりにしようぜ! 犬飼ジューゾー!行くぞ! オレのレッドジェット・マイティタイガー!!」


レッドの気迫に呼応するかのように、レッドジェット・マイティタイガーが激しく唸る。


「コウを倒す為に特訓したとっておきの技! 見せてやるぜ! くらえ!! ハイパーレッドジェットマイティ・アサルトタイガースペシャル!!」


「な、なげえ〜〜!」


あまりの必殺技名の長さに思わずツッコミを入れるガバチョ。


«来た! 来た!! キタキタキタキタキターーーッ!! サク小が誇る無敵のレッドタイガー!!! ついに本領を発揮! これまでの鬱憤を晴らすかのごとく! 必殺技の連打! ラッシュ!! オンパレードォ!!! あまりの激しさに胸焼けを起こしちまいそうだぜぇーーー!!»


「まだまだァ! うおおおおおおおおおおおおおお!!」


「ぐあああああああッ!! た、耐えきれん…ぜよッ……!」


「おおおおおお! 終わりだ! 終撃(レッド・エンド)ォ!!!」


レッドジェット・マイティタイガーの渾身の力を込めた一撃がグッドラック・ストレンジジャーニーとジューゾーを場外へと弾き飛ばす。


「うああああああああああッ!!」


ガシャン、と音を立てて地面に落ちたグッドラック・ストレンジジャーニーのコアが静かに回転を止め、バトルモードが解除された。


«決まったああああ!! 第四回全国大会 関東地区予選は! 無敵のレッドタイガー! 大河レッドが制しましたーーーー!! »


高らかに天へと突き上げられた拳、劇的な決着に会場が湧く。


○VIP室


「93%…。いやはや惜しかったね、ヘルメス。まあ、この調子ならば全国大会が終わる頃には目標に到達するだろう。では、行ってくるよアフロディーテ。表彰式だ」


○会場


«これより、GRC代表取締役社長 時任玲司様より表彰が行われます。入賞者は名前を呼ばれたら壇上へお願いします。優勝、大河レッドくん!»


わあああああ!と歓声が上がりレッドが壇上へ登る。


«二位、犬飼ジューゾーくん。三位、神谷ナナミさん。全国大会出場は上位三名。なお今大会では天満コウ選手が棄権となったため、三位決定戦は行われず自動的に神谷ナナミ選手が三位入賞となります»


「Congratulation!! 大河レッドくん。決勝戦、素晴らしい戦いだったよ! 全国大会でも頑張ってくれよ?」


「あ、あのレイジさん! オレ、5年前にレイジさんからもらったこのリングとコアで優勝しました! あの時レイジさんがオレにビーストコマンダーを与えてくれたから…」


「ん? んん〜?? 君はもしかして、あの発売イベントに来ていた少年かい? そうかそうか! 大きくなったねぇ。それに、強くなった! これからも頑張ってくれよ!」


「は、はいっ!!」


憧れの時任玲司を目の前にガチガチに緊張しているレッド。


「犬飼ジューゾーくん。二位おめでとう、最後は惜しかったね。今後の君に期待しているよ。……わかってるね?」


「チッ! 言われんくても分かっちょる」


耳元で低く囁く時任に舌打ちをするジューゾー。


「神谷ナナミくん。三位おめでとう! いやーいいバトルだったよ」



〇桜木市立病院


院内では看護師含むスタッフたちが真っ青な顔で走り回っていた。


「ダメです! コウ君、どこにもいません!!」


意識を失い、重体だったはずのコウの姿がどこにもないのだ。



〇空港 タクシー降り場


「ぼくぅ、ダメだよ。お釣りはいらないって言われたっておじさんこまっちゃうよ」


「ええから取っといてぇな。釣りもろとる時間がもったいないねん」


そう言いながら空港入口へと向かう少年は、小さく呟いた。


「見とれ…。ボクは近畿で全国への切符を勝ち取ってみせる…! 全国の舞台でリベンジと…決着をつけたろやないかい!」



To Be Continued→



全国大会へ続く

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