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HBK
~響という女~
「わあ!会いたかったです、Aさん。」
華やかな衣装を身にまとい20歳以上は年上の男性に満面の笑みを向ける。これが私の仕事。
「もう!電話出てくれなくて寂しかったんですよ。」
会いたかった、寂しかった、そんな言葉は全部嘘。寂しい夜は同業の男の子かクラブで声をかけてきた適当な顔だけ男とセックスすれば、すぐ過ぎる。目の前のおじさんなんか、出来れば関わりたくない。それでも電話するのは、疑似恋愛をして私にお金を落とさせるため。
そう、私という女は嘘でできている。
「Aさんみたいな男性と出会えて幸せです。また、ご一緒させてくださいね?今日はごちそうさまでした。」
『響ちゃん…』
「大好きです、Aさんが一番。」
正直、好きでもない男にこんな言葉かけたくないんだけど。でも女の子ってお金がかかる生き物だからこれも全て、お金のため。
***
「会いたかったよ、Bさん。早く私たちの席行きましょ?」
私は今日も嘘をつく。