12歳。旅立ち
序章終了です!!12歳になってます。次からやっと本編です。ちょっとハイスピードですね。すいません。多分登場人物が豊かになると思います。多分そう信じてる。初めは主人公に特殊能力をつけ加えないでおこうかなと思ってたんですが、さすがにそれじゃ呆気ないなと思ってちょこっとだけつけ加えます。希少な存在だけどただの村娘には変わりないです。戦闘力はほぼ皆無に等しいです。
ついに12歳になった。
僕がこの異世界に転生して12年が経ったということで本当なら29歳になる頃だけど、この世界ではまだ12歳だ。
初めはなんとなく違和感が無い体つきだったが、当然といえば当然なのだが、年齢を重ねていく事にこの体は女性なんだなと感じることがしばしばあった。
個人的にはこれ以上成長しなくていいと思うがそれに関しては止める術もない。
12歳になったということはこの世界では成人と見なされるわけで、教会で成人の儀式を行う為に今は協会の前でユズリハを待っているところだ。
「ごめんね。遅れた。」
「ううん。今来たとこ。……着物?」
「あ、知ってたの?アリスちゃんってほんとに博識だよね。私の故郷の伝統衣装なんだー。」
さすがは転生者が長の国。
本当に日本だ。
「アリスちゃんって凄いよね。着物とか桜とか。後、団子とか知ってたりして。なんで知ってるの?」
「昔本で読んだことあったから。結構興味あって。それで。」
前半のことはさすがに嘘だけど、後半は本音だ。
実際すごく気になってはいる。
僕と同じ転生者ということと、一体どういう国なのかという事も。色々。
「私、故郷にお姉ちゃんがいるんだよね。引越しした理由とかはよく分かってないんだけど、私全然後悔してないよ。初めは嫌だったけどすごく楽しかった。」
「そっか。それなら良かった。」
「うん!それじゃあ早く行こ!シスターさんと神父さんが待ってるよ!」
教会には神父さんとシスターさん、シスターの見習いと教会が引き取った親を亡くした子供たちが過ごしている。
僕達はよくこの協会で子供たちの遊び相手をしたりしているため、神父さんやシスターさんとは良い関係性を築けている。
「あ、聖女様だ!」
「聖女様!聖女様!」
「あーこらこら。いつもすいませんアリスさん。」
そして、僕は何故かこの協会の子供たちに聖女と勘違いされている様でいつからかは分からないが聖女様と呼ばれるようになっていた。
「アリスちゃんって見た目聖女様まんまだもんね。あと慈悲深いどころとか。」
「確かに。アリスさんは聖女様にそっくりですね。」
「シスターさんまで……。……えっと。今日は遊びに来たんじゃないんだ。ごめんね?」
「ユズリハお姉ちゃんも?」
「そうなんだ。」
「そうですよ。今日2人は成人の儀式を行うために教会に来てくださったんですよ。」
子供たちには申し訳ないけど。
うぐっ。ちょっと心が苦しい。
「ようこそ。お越しくださいました。」
「リチャードさんこんにちは。」
リチャード・アイソンさん。
この教会の神父さんでなんでも元々大きな国の神父さんだったらしい。
「アリス様とユズリハ様ですね。それではどちらから致しましょうか?」
「ユズリハからでいいよ。」
「分かった。私からお願いします。」
成人の儀式。
成人になると神から加護を受けることが出来ると言われており、その加護を受け取る儀式。それが成人の儀式。
【スキル】【魔力】【得意魔法】の3つがわかる。
真ん中には正方形の機械のような物があり、それに手をかざすと分かるらしい。
どういう原理かは分からないけど、やけにハイテクだよね。
一応、そういう機械を作れる技術力自体は確立してるらしい。
戦艦とかあるのかな。蒸気機関とか。あるなら見てみたいかも。
「終わりました。スキルは【完全調合】魔力は一般的、得意魔法は攻撃系魔法ですね。」
完全調合は名前の通り、薬草などの調合が成功しやすくなることらしい。
ユズリハって薬草のこととか詳しいし、素の戦闘力も高いから攻撃系魔法ってのも納得する。
「よし。これでアリスちゃん守れる!!」
「もっと力の使い方考えよ?」
「次はアリス様ですね。どうぞこちらに。」
正方形の機械のような物にそっと手を触れると下の方に魔法陣のようなものが現れた。
周りに光のようなものがふわふわと浮いていた。
「……綺麗。」
目を奪われるように美しい光景だった。
「終わりました。………これは。……神父様。これは。」
「スキル【精霊術士】魔力は普通より多い。そして……回復系魔法……。まさか。」
精霊術士は精霊を操る能力。そして、神父さんとシスターさんが最も驚いていたのが【回復系魔法】という点。
「アリスちゃん!!」
「ふぇ!?」
「回復系魔法だよ!?回復魔法だよ!?」
「回復系魔法は過去に2人しかその事例は存在しませんでした。1人は世界にたった1人の賢者。もう1人は伝説上の存在である聖女様です。」
「……ただの村娘ですよ?」
「回復魔法と高い魔力を除けば確かに普通の村娘ですね。」
「まさか。生きてる間に回復系魔法を持つ人に巡り会えるとは。なんとも光栄な事です。アリス様。どうか、大事にしてください。」
「以下の情報は公開するかしないかは御二方にお任せします。ですが、どうか慎重にお願いします。特にアリスさんは世界中から狙われるかもしれませんので。」
ユズリハがすごくメラメラ燃えてる。
うおっ。すごく熱意を感じる。
「確か。お2人は今日の夕方にもこの村を出るおつもりなのですね?」
「はい。」
「では。私から少しアドバイスをさせてもらっても構いせんか?」
「なんでしょうか?」
「旅をするにあたって絶対に接触しては行けない相手が存在しています。この世界を裏から支配していると言われている存在です。」
その名前は誰もが1度は聞いたことある存在だった。
小説でも漫画でも。なんなら日本の歴史上の人物でもそう呼ばれていた人がいるほどの人。
「【魔王】の存在には十分に気をつけてください。」
魔王。
やっぱりいるんだ。この世界にも。
でも、僕は魔王を倒す勇者でもないし。確かに会ったらあったで大変かも。
「はい。分かりました。」
「なるべく会わないように頑張ろうね。」
「うん。そうだね。」
教会から出ると村の人達が僕達を迎えていた。
今日、僕達はこの村を旅立つ。
「あ、お母さん!お父さん!」
「ユズリハ!元気にしとくんやで。」
「アリスさんに迷惑かけないようにな?」
「分かってるよ!」
やっぱりユズリハのお父さんとお母さんも日本人の顔つきに似てるね。
ここだけ本当に異世界なのかって思えてくる。
「アリス。頑張りなさい。」
「たくさんの人を救えるような立派な人になるんだぞ。」
「うん。もちろんそのつもり。」
村の入口に定期的にやってくる馬車が僕達を待っていた。
教会に行っている間に村の人達が僕達の荷物を馬車につぎ込んでくれていたそうだった。
僕達の旅はこれから始まる。
長い長い旅が始まろうとしていた。
「2人とも元気にしてるんだぞ!」
「うん!」
「行ってきます!」
運転手さんに合図を送り、馬車が動き始めた。
どんどん村が小さく見えていって、馬車もスピードを上げて行った。
「ユズリハ。寂しくない?」
「ちょっと寂しいかも。でも、これからアリスちゃんと一緒に旅できるって思ったら楽しみの方が大きいよ。」
とりあえず、現地に着いたらどうしよう。お金は沢山持ってきたけど、お金は結局稼がないとダメだし。宿とかも探さいとダメだし。
色々と課題は多そうだけど、それでも何とか楽しく過ごせていけそうだと僕は思った。
「……魔王……か。」
当時の僕達はまだ知らなかった。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない。」
何かとてつもなく大きな力が、僕達に迫っていたことに。
あと私事ですがブックマークが増えてきてる事に動揺を隠しきれない所存です。本当にありがとうございます。なんか意味深な終わり方してますけど、この話はほのぼの系の異世界モノですのでご安心を。