聖女と六竜
いきなり年齢は5歳になります。子供の成長は早いですね()序章はとりあえず主人公目線で。序章終了後は三人称で進めようと考えてます。こういう話書くの初めてなのでなんか辻褄が合わない点が多々あるかもです。ところでアリスの上の名前と親の名前とか他の登場人物の名前とか全く考えてないです。
月日は流れ約3年たった。
僕は5歳になり、自分の性別が女性だということを知った。
体に多少の違和感はあったから何となくで察してたけど。
でも性別が変わったと言うだけで別に何も支障もなく特別何かが変わったという訳ではなかった。
「アリスは勉強熱心ね。」
「もっと知りたいから。この世界のこと。色々知りたいから。」
「ふふ。偉いわね。その上優しいし可愛いからまるで【聖女様】みたいね。」
「聖女様?」
「そうよ。この世界を作った六竜様と1人の聖女様の話。」
その話はこの世界の【創造神話】についての話だった。
「むかしむかし。それはとても昔の話。まだ、国や文明がなかった時の話。この世界には六竜と呼ばれる創造神がいました。」
「六竜?」
「そう。六竜にはそれぞれ、大地を司る竜、海を司る竜、空を司る竜、生命を司る竜、死を司る竜、元素を司る竜といった重要な役割がありました。それぞれの六竜はお互いに力を合わせて世界を作り始めました。」
「争いはダメ。平和が1番。」
「そうね。でも、そんな平和な毎日はずっと続くことがありませんでした。六竜の関係は次第にどんどん悪くなってきました。お互いに啀み合うようになってきました。すると六竜の1人が『自分こそがこの世界の中心だ』と言いました。」
「世界の中心……。」
「その一言で六竜の関係に亀裂が入りました。すると世界はあっという間に暗く暗くまるで闇の世界のように真っ黒なりました。大地は揺れ、海は大きく波を立て、地上では何万もの生物が死んでいきました。」
まるで、戦争だ。
いや、まるでじゃなくて戦争そのものだ。
それも、人間同士じゃなくて神々同士の戦争。
その話はとても壮大だった。でも、自分が元いた世界と重なるような話で他人事のように思えなかった。
「すると、生命を司る竜が言いました。『このままじゃ世界が本当に崩れてしまう』と。」
「生命を司る竜様はこの争いを止めようとしたの?」
「そうよ。よく分かったわね。」
僕の頭をぽふぽふと撫でながら目をつぶって続きを話し始めた。
「そして生命を司る竜はとある1つの考えを思いつきました。それは自分の分身の人間を作り争いを止める事です。」
「それが、聖女様?」
「そうよ。生命を司る竜は自分に残された力を全て使って1人の女性をこの世界に誕生させました。」
そう言ってお母さんは1枚の絵を見せてくれた。
青みがかった銀髪に赤い目の女性。
これが、この物語に出てくる聖女様の姿らしい。
「……綺麗。」
本当に綺麗だった。
まるでその目は宝石のようにキラキラと輝いていているように見えた。
「まるで、アリスみたいね。」
「……僕みたい?」
「えぇ。本当にそっくり。それじゃあ続き読むわね。」
「うん。」
「そしてその女性はその竜にこう言いました。『私はなぜ生まれたのですか?』と。そして竜は『あなたは私の分身です。私にはこの争いを止めることは出来ません。ですが、あなたにならその力がある。私はそう信じてあなたを作りました。あなたが私。いや、私たちの最後の希望なのです。』と答えました。するとその女性は数秒黙って『分かりました。その思い、決して無駄には致しません。』と答えました。そして、その女性は六竜が争っている所へ歩いていきました。そして『すみません。あなた達がこの世界に尽くして頂いた事は十分承知しております。ですが。大変心苦しいのですが。どうか安らかに眠って下さい。』とその女性は呟きました。すると、その女性を中心に淡い光が世界中を照らすように広がっていき、六竜もその光に魅了されるようになりました。すると六竜の周りに光が集まって、次第に六竜はスーッとまるで魔法のように消えていきました。」
「聖女様は魔法使いなの?」
「そうよ。聖女様はこの世界で初めて魔法を使った方なのよ。」
「六竜様は本当に消えたの?」
「違うわ。六竜様はみんな、元あるべき場所に戻ったのよ。」
「そうなんだ。」
「その後、その女性は神の遣い【聖女様】と呼ばれるようになって世界で1番初めの国を作ったのでした。めでたしめでたし。」
「パチパチパチ。」
聖女様……。
戦いを終わらせた一人の女性。
生命を司る竜の分身……。
「生命を司る竜様はどうなったの?」
「そうね。聖女様が生まれた後、この世界から消え去ったらしいわよ。私もそこまであまり詳しくないの。ごめんね?」
「ううん。ありがとう。お母さん。とっても楽しかったよ。」
「本当にいい子ね。アリスは。偉いわー!!」
わしゃわしゃと撫でられると恥ずかしいけどすごく嬉しかった。
聖女様……か。
僕もそんな人になれるのかな。
「こんな偉大な人になれるのかな。聖女様みたいにみんなを救えるような人に。僕もなれるのかな。」
「アリスならきっと慣れるわ。だって私たちの自慢の娘だもの!」
ーー自慢の娘。
その言葉を聞けて僕はとても嬉しかった。
僕の前の世界ではそんなこと1度も言われたこと無かったから。
僕の心の中は何にも変えられない充実感で満ちていた。
最近寝るときが熱いです。序章は早ければ後2話3話で終わると思います。