はじまり
「アリスが!!アリスが立ったわ!!」
自分の名前が呼ばれる気がした。
というか頭がとてもグラグラする。
確か僕は子供を助けてえっとそれから。そうだ。僕は死んだんだ。いやでも。
詳しい事が思い浮かば無い。
所々の記憶が曖昧だ。
「やったな!!ついに立ったんだな!!」
……立った?いやまて。嫌な予感がした僕は、自分の体をもう一度確認してみた。
確か、僕は18歳ぐらいだったよね。
そうだ。僕はどこにでもいる18歳の高校卒業したての少年だ。
こんな、推定2歳ぐらいの子供じゃない。
思い出せ。思い出すんだ。死んだあの日を思い出すんだ。
子供を助けてそれから僕は……あの子供はちゃんと生きてるのかな……ってそんなこと考えてる場合じゃない!
そういえば神様みたいな人と会ったっけ?異世界転生物ならよくある話だけども。
いや僕はあいにく、そんな神々しい人とは死後1度も話した記憶が無い。
目を覚ましたらこの姿だった。
僕の記憶は今の現状と死亡前の記憶しかない。
でも、夢でも無さそうだし。夢という感覚もないし、あの瞬間確実に僕は死んだし。
……これは確実に異世界転生ってやつだ。
もっとこう。目覚めるタイミングとかなかったのかな。
どうせなら12歳ぐらいがありがたかったけど、今更文句言っても遅いし目覚めてしまったから仕方ない。
とりあえず気を取り直そう。
つまり今僕の目の前にいるのが僕の親ってことでいいんだよね。
それ以外の候補が見つからないし。
それより今、僕は話せるのかな。
とりあえずものは試しだ。試しに1回話してみよう。
「パパ?ママ?」
「ねぇねぇ!!さっき聞こえた!?私たちを読呼んだのよ!!」
「そうだぞ、アリス!父さんと母さんだぞ!」
なんだろこの温かさ。
そういや、前に親の愛情に触れたことあったっけか。
親と真面目に話したことってあったっけ。
……いや。今はそんなことどうでもいいや。
なんか今思えば色々とバカバカしくなってきた。
神様みたいな人と会ってなくても、僕は知らない世界で新たな生命として生まれたことは確かだし。
それならこの世界を十分に楽しんでしまって良いんじゃないか。
「パパ!ママ!」
幼児退行しているかもしれないけど今はこの言葉しか喋れないわけだし、僕はこの世界ではまだ赤ん坊に毛が生えたぐらいだ。
急に話し始めたらそれはそれでかえって気味が悪いと思うし。
それならいっそ今の状況を楽しんでみることにしよう。
人生誰しも楽しんだ者勝ちだっておじいちゃんも言ってたし。
……今思ったけど、僕の性別ってどっちなんだろう。というか、種族は?見た目は?
色々とこの世界もそうだけど、今の自分も分からないことだらけだ。
でも、それだからこの異世界を思いっきり楽しめると僕は思う。
だって、知らないことを知ることって、とても心がワクワクするじゃない?
どうも!初めまして、白雪泊というものです。今回から初めて一次創作というものに手をつけてみました。更新頻度は不安定です。
不束者ですがよろしくお願い致します!!