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【本編完結済】殺戮の皇女  作者: イチノセ
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94  慟哭のカンタータ - 30

「…………顕現」




玲華が小さく、そう呟くと、玲華と暁人が腰掛けるソファの後ろに、浮遊する影が現れた。




【強欲の悪魔・アルグレム】


【色欲の悪魔・メイリア】


【憤怒の悪魔・ガイネルン】


【悪食の悪魔・アンリオーネ】




禍々しい雰囲気を持つ彼らの顕現に、秀夜は息を詰めた。思わず呼吸が止まる。




「彼、らは……?」


「……【悪魔】。7つの大罪を司る、【悪魔】」


「そんな彼らが、どうして君に……」


「……まぁ、成り行き……で?」




【悪魔】を殺す。


死ぬことができない【悪魔】を、【悪魔】という立場から解放するために。


そう言ったのに。それなのに、私は──




────何を、やっているんだろう。




悪魔じゃなく、人を殺すなんて。


無差別な殺戮は、九龍院でだって禁じられていたのに。




「九龍院の人間、失格……ですよね。無差別な殺戮なんて、規律違反なのに」


「【悪魔】のせいだ。気にしなくていい」


「でも、でもね暁人。わたし……」


「……同じだ」


「えっ?」




秀夜が目を見開きながら、【悪魔】たちを凝視する。




「玲華ちゃんの魂を侵食していた気配と、同じだ。そこの、2番目の【悪魔】」


「【ガイネルン】……」


「彼が原因でしょ?玲華ちゃんの殺戮衝動」




ゾクリと、背筋に悪寒が走る。

玲華の顔が青褪めていく。


嗚呼、やはり隠し事はできない。




「侵食の深度が1番深かった気配が、彼の纏う気配と同じだ。他の3体はそこまで深くないけど、えっと……【ガイネルン】、だっけ?その人が1番、深い」


「深度が深いとどうなる?」


「精神がまず侵される。意識が乗っ取られたりすることもあるし、身体が負荷に耐えられない人もいるし……様々です」


「意識を乗っ取られることは、あります」


「だろうね。……そっか、殺戮を犯していたのは君なようで、君ではないんだね」


「…………はい」




ふー、と息を吐き出して、秀夜は背凭れに背を預ける。自分の中でピースが嵌まった感覚があった。




「昨日、エイルワードを襲ったのは、君であって君ではなく、君の身体を乗っ取った【ガイネルン】だったわけだ」


「ご理解いただけて何よりです」




とうの【ガイネルン】は、何を語るわけでもなく、窓の外を見つめながらふんぞりかえっている。【メイリア】は恋する乙女のように暁人を見つめ、【アルグレム】は呆れた表情で【悪魔】たちを見つめている。




────理知的な【悪魔】もいるんだな。




秀夜は【アルグレム】を見つめながらそう思っていた。




「原因もわかったことだし、この先は助力できるところは助力するよ。なんでもじゃなくていい、力が必要になったらいつでも言ってくれ」


「助かります、秀夜様」




玲華が目を閉じた途端、空気に溶けるように【悪魔】たちが姿を消す。




「侵食していた割に、【ガイネルン】は随分と落ち着いていたね。“欲の発散”が効率よく効いたのかな?」


「っ」




────玲華ちゃんが、なんか、『ぴゃ』ってした!『ぴゃ』って!!(語彙力)




一気に真っ赤になった玲華と、とても素晴らしい笑顔で秀夜を見つめる暁人。主に後者を視界の端に捉えて、秀夜は笑顔を引っ込め、さてと、と前置きして玲華を見た。




「普段仕事が少なく割り振られている君にも、年に一度の忙しい時期がやってくるよ。」


「薔薇祭ですね」


「皇族全員の強制参加がお決まりのパレードもある。予行練習も幾度となく行うし、陛下のスピーチだってある。2日間に殺戮衝動が出ないように、きちんと調整するんだよ?」


「承知しております」




薔薇祭までそう日数はない。




「もっと前からやっておけ、と思うのは私だけですかね……?」


「毎年恒例で同じことをやっているんだ。皇族のやることに変更はなくとも、騎士や兵士は入れ替わったり、街の建物が変化したりする。それに適宜対応しなければいけないからね」


「まぁ、祭に関する書類には全て目を通しましたし、進行も頭に入れますけど」


「ドレスも新調したんだろう?楽しみにしているよ。僕として見るのは初めてだしね」


「今年は私と暁人の意見を取り入れたので、針子の方達からは驚かれました。『普段のレイエンフィリア様が選ばなそうだ』って」


「……言われたな」


「どんなドレスを?」




今までのレイエンフィリアは、双子の姉のように頻繁にドレスを作らせたり買ったりはしなかった。


学校で言う、いわゆる衣替えの時期にドレスや宝飾品を購入する以外、城に行商人を呼んでの買い物を好まなかった。


そんなレイエンフィリアが、城の針子に自らドレスの新調を頼むのが薔薇祭の時期だった。


例年、薔薇をイメージした暖色系のドレスを作らせていたが、今年は。




「レイエンフィリアには、暖色系のドレスは似合わない」


「って、暁人が言うから。私の好みとか、暁人の意見を入れて、寒色系のドレスにしたんです」


「ほう、それはいい」




楽しげに、秀夜は笑った。




「楽しみにしているよ」

私の語彙力がないせいで、秀夜さんが語彙力ないみたいになってしまいました。ごめん、秀夜。


漫画とかで見かけませんか?

ヒロインがこう……ぴゃっ!ってなるやつ……

ぴゃって……ぴゃってなるアレ……

後ろから驚かされたーとか、急に心臓に悪いセリフ(恋愛的な意味で)を言われたーとか。


ありませんか?ないですか……そうですか……

私だけか……そうか……


なんの漫画で見たのか忘れたので書けないのがもどかしい……


さて、次回更新は2週間後、6月5日の12:00です。

薔薇祭編に突入します。

どうぞよろしくお願いします。

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