79 慟哭のカンタータ - 16
部下から提出された報告書に目を通して、ラ・ステッラことキースフェリド・ウェルナヴェイルはため息をついた。
────嗚呼、この世界は気持ちが悪い。
死という概念が無い分、死体に対する扱いが酷すぎる。
まるで獣の死体のように、遺体のことを骸と呼び、死を消失と呼ぶ。人間はそこで消えて、後に残ったのは獣でもあるかのように。
「……きっしょく悪ぃ」
「こらこら、修二さん。俺以外の人に聞かれたらどうするんですか」
「お前しかいないんだから良いだろ。……ほら、読んでみろよ、この報告書」
「んー?どれどれ……」
2枚の報告書に目を通し、目の前の男は顔を酷く顰めた。そりゃあそうだろう。普通の日本人の精神だったら気が狂う。
「これはまた……なんというか、気持ちが悪いですね?」
「長年こんな報告書読まされてるんだ、俺の身にもなってくれ」
「……うん。なんか、すみません」
「別に良いよ?お前って味方がいてくれるだけで、話してストレス発散できてるから」
「恐縮です」
苦笑いを浮かべて、向こうでは部下だった男を見やる。
本当に、良かったと思う。
この男の存在に救われている。
もしこの世界で1人きりだったら、きっと狂っていただろう。精神が壊れていた。
「まぁでも、可愛い義理の息子が居るんですから、シャキッとしてくださいよ」
「あいつ、今大怪我してるんだよなぁ」
「報告書曰く、殿下を守った栄誉の傷じゃないですか。これで処刑されることはないと思いますけど」
「そう、なんだけどなぁ」
隣国のウェリンターレに殿下と共に行ったと聞いた。ならばきっと、俺の犯した罪にも気づいただろう。
治ってすぐ、俺の元に来るに違いない。
「気まずいんだよなぁ」
「義理の息子に会うのが、ですか?」
「俺、既に1人殺してるんだよ。この世界で」
「あー、なら、教えないといけないのかもしれませんね。きっとまだ知らないんでしょう?キリル君」
────だとしてもどうやって言う?
「どう考えても、『俺は異世界から転生してきた転生者です』と言うしかないんだよ。説明するには。いきなりカミングアウトかまして言っちまうか?普通信じないだろ」
「まぁ、普通はそうですね」
「だろ?どう考えても、過去の殺しの話をしようとすると俺が転生者だって言わないといけないんだよ」
「うーん」
考える素振りを見せてすぐ、そういえば、と呟いて視線が再び合う。
「これは、俺の想像なんですけど」
「うん?」
「第3皇女の、レイエンフィリア。俺が思うに、彼女も転生者だと思いますよ」
「やっぱりか!!??お前もそう思うか!!??」
「ええ、多分と言うか、十中八九?」
「だよなぁ!俺もそうだと思ってたんだよ!だって──」
──あの人、目を失った事故の前と後で、性格変わりすぎだろ?
今回は2話連続投稿でございました。
ちょっと気持ち悪いですねw
と言うか、バレましたね、玲華ちゃん。
どうなるんだろ。続き読みたーい。
書け自分。
次回更新は2週間後、3/6の12:00です。
レミオロメンにはならなかった。
よろしくお願いいたします。




