プロローグ
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ドクンッ
鼓動が高鳴る。遠くからでも確かに感じられる黄金の輝き。気づけば台座の目の前に立っていた。
導かれるように手を伸ばす。金色の柄に指先が触れた。ドクンッと再び鼓動が大きく高鳴る。それはまるでずっと前からの恋人の様に、惹かれ合うかの様に手に馴染んだ。そのまま勢い良く台座から引き抜く。抵抗はなかった。
そうして現れたのは傷一つない金色の刀身。十字に横切る鍔の中央には青い宝石の様なものが埋め込まれている。華美な装飾こそ無いが、それは「美しい」の一言に尽きた。
剣に見惚れていると、突然剣から視界全てを白く塗り潰す程の眩い光が放たれた。あまりの光量に咄嗟に腕で目を庇う。
少しして光は次第に収まっていく。回復してきた視界を確認しながら、ゆっくりと目を開いていく。
美しい金色の髪を腰まで垂らし、その蒼い瞳はまっすぐにこちらを見つめていた。言葉で表現するとどうしてもその美しさを損ねてしまうと、そう感じさせる程整った目鼻立ち。絶世の美女とはきっとこういう人を言うのだろう。そんな女の子が目の前にはいた。
しなやかな腕を持ち上げ、女の子がこちらを指差す。
「一つ初めに言っておくわ」
その声音に注目せずにはいられない。ゴクリッと無意識に唾を飲み込む。
「私、貴方のこと認めたわけじゃないから。そこの所、勘違いしないでよね」
…………。
「ふぅ………色々言いたい事はあるがまずは、」
俺はビシッと右手で女の子を指差し、左手で目を覆いながら、
「頼むから服を着ろォッ!」
異なる世界、時間、決して交わることのなかったはずの二つの線が、交わった瞬間だった。