全てを失ったようで、一石二鳥だった
3章 全てを失ったようで、一石二鳥だった
「はーい。あーんしてねー?」
「いててて」
白衣を身に纏う、知らぬおじさんに、外れた顎をおもっ切り強引にも、殴られている。
「こうすりゃ治るんだよ」
「……」
「ありゃ、全然治る気配ないねー。これ、外れてるんじゃないねー?」
顎の治療をしているせいで、何も言えないが、殴り返していいのだろうか。殴られすぎて痣ができたではないか。キスマつけられたと言えば格好がつくだろうか?
ちなみにだが、俺が生きていた頃に、いた彼女に、ゲームで多くコインを稼げた方がキスマをつけられるという奇天烈なゲームをして、彼女の首から顎の間に、痣のような、キスマをつけた覚えがある。
、キスマを見て、AIDSと言われていたらしい。申し訳ない限りだ。
「はーい。治ったよー」
「いや、先生これ、治ってないです。辛うじて喋れますが、口開きっぱですよ?」
「何を言っているんだい?君の口元々、そんな口だったよ?」
「そうですか。ならいいです。ありがとうございました」
今ので納得したわけじゃ無いが、あのヤブ医者と話していても、埒が開かんとの事で、先生のキュアーで一瞬で完治さして貰った。
正直、女神が医者をすればいいと思ってしまうほどの、この世界の医者はヤブ医者だ。存在意義を説きたいほどに、無意味な気がしてならない。
「ただいまー」
静まり返るばかりで返事がない。それはそうだ。家に似た雰囲気の家に入っただけであって、実際は別世界な訳だから家では無い。そういえば寝床ないな。
「ちょっとー!今日遅いじゃ無い、の!」
変なところで詰まってしまったのか、句読点が変なとこに入った、一番聞き覚えのある声が静まり返った部屋から聞こえる。その声が聞こえた瞬間どれほど救われただろうか。
「かあちゃーんって、え」
「お、か、え、り、な、さ、い、優」
「これはー」
「紹介するわね!あんたのお世話をする、お世話ロボのママちゃんよ!」
俺の母に似てるのが、名前の由来だろうか。
「俺は、お前にお世話をー」
「私はダメよ!愛するdarlingがいるんだからっ!」
うん。分かってた。だから、言うの途中で辞めたんだから、言わないでくれる?メンタル傷つくわ!
反吐が出そうだが、そのdarlingってやらのせいで、俺のお世話係は、母ちゃんに、似たロボットという、精神を心の底から安定させるママちゃんになってしまった。客人におもてなしの一つもできない世界はどうなのだろうか。
可愛い美少女がお世話係で夜の営みをするのが相場で決まっているのだが、ぶち壊された結果がママちゃんらしい。
「んじゃあ、私darlingのご飯とか色々あるから、ごめんね!」
「え?同棲してるの?」
「してないわよ?」
「んじゃあご飯って?」
素朴な疑問をぶち当てると、何言ってんのこいつと言わんばかりの顔つきで睨まれ、表情が切り替わったと思ったら当たり前のようにこいつったら言うんだもん。
「持っていくに決まってんじゃない」
「頼まれてないのに?」
「そうよ、?」
「いや、重いは!」
「何言ってんの!カロリーもだけどdarlingが食べれる量も考えて、作るわよ!その辺はぬかりないわよ!」
重量が重いってわけじゃないんだけどなー。
「そっちじゃなくて、だな」
「恋愛が重いってこと?」
「そうだよ」
なにかを思い詰めるような顔をしながら語り始める。正直聞きたくないが、拒否しようと手を振ろうとすると、嫌悪の目を向けられたので、仕方なく話を聞く羽目になる。
「私ね、昔から恋愛が重いって、男の子に振られるのよ」
「そりゃあ別れる理由として至極真っ当な意見だと思われるが、なにが問題が?」
「恋愛が重いのね?意味が分からないの!」
衝撃の発言で、偉人のオーラを全く感じさせない。
実は、凡人の中の凡人なのかもしれない。
「意味教えたら、一発してくれるか?」
まあこれでやってくれる女なんていねえよな
「いいわよ?別に!一発すれば……いいのよね、?」
「いいのか!?」
「な、なによ!あんたが言ってきたんじゃない!それに、女神として下々の願いを聞くのなんて当然の事よ、?」
なーに、恥ずかしそうにしてんだよ。こんな事で童貞卒業は不本意もいいとこだが、こんなチャンスまたとない機会だ。遠慮なく入れさして頂こう。
なので、下々という失礼ワードは、ここは水に流そう。
「恋愛は重いってのはなー」
「なるほど!そういうことね!って私は重くないわよ!失礼ね!」
もろもろ説明してやるとすぐこれだ。自分の恋愛の重さを指摘されると逆上する。重いやつの鏡だな。
まあそんなことよりだ!相手が怒っていようが関係ない!約束は約束だ!
「一発やらせてもらうぜ?」
「良いわよ?別に。来なさいよ?」
「それじゃあ、さっそく!」
「ブホッ!」
童貞の俺でも分かる。入れたのは俺じゃなく俺は入れられた側だ。かと言って騎乗的なやつではない。顔面に、フルスイングパンチが命中したではないか。
「なんのつもりだよ!」
「何って、決まってるじゃん。一発やったんじゃない」
「そっちの一発じゃねえ!」
何馬鹿なの?男心まるで分かってないね?これも悪くはないけど、思っていた報酬が豪華すぎて、ドMの俺でも、冷めてしまう。
今日焼肉と言われて、焼き豚を食わされるようなもんだ。
「さっさと脱げ!」
「いいけど、何する気よ?」
「何って挿れるんだよ!」
「分かったわよ。はい!これでいいんでしょ!」
「……上げていいよ」
静かに闘志は、冷め、俺の童貞卒業の夢は儚く散ってしまった。
俺が見たのは、見覚えのある物が生えた股だ。萎えるよね。うん。
後々聞いた話では、上位女神の一族は、穴が空いているのは、隙だ!というよくわからない理屈で、埋め込まれるらしい。
萎えに萎えた俺は、童貞卒業の夢を捨て、ついでに女神を落とすと言うことすらどうでもよくなっている。
「んで、一発するって、何をすればいいの、?」
「ギャグでもしてくれ。てか、何もしないでくれ」
「で、でも、脱いだんだから、あなたも脱ぎなさいよ」
厄介なことに、立派なもん生やしながら、そういうことはわかってんだよなぁ。
エロい女神でいいこったぁ。興奮のこ、の文字も起こらないけどな。
「恥ずかしいじゃない……わたしだけ脱いで」
「大丈夫だ。俺が脱いでも、同じ一本が出るだけだ」
「どういう意味よ!」
意味を分かっていないらしいが、分かってもらわなくて結構って話だ。
俺は同じ物を股にぶら下げてるやつを恋に落とさにゃならんらしい。
※
ー次に日の学校にてー
「ねえ、聞いたー?」
「聞いたわよ!」
何やら、女神どもが騒がしいようだが、これ如何に?
「来たわね!優ちゃん!あなた見直したわ!」
「へ?」
「アテナ様の棒を卒業させてあげるなんて!すごいわよ!」
言いたい事は分かったが、やっていない。
「俺、してねえよ?あ、いや、わたし何もしてなくてよ?」
「上位女神はね?棒を特定の一人に脱がされて見られる事こそ、棒を卒業できる条件なのよ」
なるほどそう来たか。つまり俺は、超優秀な上位女神の童貞を奪い、みんなからの人気が熱くなり、自分の童貞を守れて一石二鳥って訳だ。
自分だけ卒業しやがって……。