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高校生のようで、亡霊だった

一章「高校生のようで、亡霊生だった」


春は、恋の季節とは言うが、実際どうだろうか。ただの出会いの季節のような気もする。いや、そんな気しかしない。考える事は個々の自由なので、ここは自由に言わして頂こう。春じゃなくても、恋できるわッ!てか出会ってすぐに恋って一目惚れじゃねえか!中身を見ろ!とまあ、愚痴はそれくらいにして、まずは何故俺が、荒れに荒れているかは、遡る事3週間前だ。


「新入生の皆さん、入学おめでとう。僕は、非常に嬉しいよ。君達との出会いも何かの縁だ。是非この生徒会長の生田守に何かあれば相談してほしい。恋の悩み、将来の悩み、家庭の悩みなんでもこいだ。待ってるよ?」


永き生徒会長、校長の演説を後にした俺たち新入生は、ガラの悪そうな、先生の後ろを、歩く。

にしても、まぢでガラ悪いからな!?サングラスに竹刀持ってオールバックだぜ!?クローズに憧れてこうなったらしいが、本人は認めないらしい。

教室に着き鍵を開けたクローズ先生が、恐ろしい形相を浮かべ、程よく喉を痛めつける。簡単に言えば怒鳴ったのだ。


「おいてめえら!この学校に来たのはなんかの縁だ!よろしく頼むわ!……返事わぁっ!?」


「「「は、はい!」」」


と、まあこんな風に最悪の入学初日を迎えている俺、

夜神月優は、何せ、小心者なもんで、誰よりも先にピンと、爪先立ちで敬礼をしながら、返事をしていた。

もちろんここは、自衛隊の勉強をする場所ではない為、敬礼をしていたのは、俺含んで……居たわ。他居たわ。

運命を感じた俺達敬礼組は、視線を逸らすことなく、見つめ合いいつしか輪になって居た。

んな事してるから、いじめられんだよな。これは中学時代の経験だ。でも、この運命をなかったことには出来ないし、いじめられるのはわかっていてこいつらも、輪になったんだろう。そんな奴らを見捨てて、俺だけ逃げるなんて……そんな奴らにいつの間にか見捨てられてる俺、居たわ。


「おいコラ!テメエ!調子乗ってんじゃねえぞ!ごらー!」


恐怖のあまり、両目を閉じて謝罪を一つ。


「ヒ、ヒィ!す、すいません!」


「さっさと席に着いて自己紹介せんかい!」

お前かーい。クローズかーい。


「お、お言葉ですが、俺の名前の頭文字は、夜神月のやなので、最後の方かと」


「いいか?出席番号なんて、関係ねえんだよ?ダチを作るのに、頭文字がそんな大事か?あ?違うだろ!そいつが信用に足る人間か!そいつと合うかだろ!違うか!」


話の筋は見えないが、なかなかいい事を言う先生だ。実はこの人いい人だったりしてな。

番号関係ないらしいし、俺から自己紹介でも。

「夜神月ゆー」

「おいこらてめえ!いいか?新入生の自己紹介は出席番号最初の奴からって相場が決まってんだよ!マニュアルにもそう書いてんだよ!次勝手な真似するとタダじゃおかねえぞ!ゴラ!」


言ってる事は無茶苦茶だが、そんな事は気にならないくらいに首が絞まっている。それに足も浮いている。胸ぐらを掴み上げられているんだ。それも脅迫を受けながらだ。教師とは思えん行動だが、熱血教師と思うえば、なんとか……。


「あの〜先生〜?もう俺帰っていいすか?」


「なに言ってんだ?この野郎?」


「てめえが話進めねえから時間押してんじゃねえんかよ?あ?」


「す、すいません!ごめんなさい!怒鳴らないで下さい。許して下さい」


「「「クローズ先生、弱ぇぇ……」」」


不良生徒の萎縮したクローズ先生だが、不良生徒が、教室を後にすると、今の下りをなかったことにしたらしい。クローズスイッチを入れて、怒鳴り散らして喚いている。


「いいか!?テメエはなんでここに入学させられたか!まずはそこから話そう!恐らくだが、ここに居る奴の全員がその事実を知らないし、気がつけば、演説って状態だったはずだ!それはお前らが、頭がおかしくなったわけじゃねえ。安心しろ!ただ、死んだだけだ」


「……は?」


「そうだ。死んだんだ。だがしかし!だがしかしだ!そう落ち込むことはない!前向きに生きていけ!」


死んだ奴に、生きていけって、焼肉食べて、お腹いっぱいの中先輩からラーメンに誘われて断りきれずに奢って貰うくらいには、有難迷惑な言い方だな。


「俺ら死んだんだろ?なのに生きるってどう言う事ですか?」


「お前らは死んだ!だが、終わりじゃねえ!ここに居る奴の命の終わりは、間違いなんだ!死ななくていい奴らで、こっちの手違いで死んでしまったから、ここに召喚されたんだ!」


「んじゃあ、俺達は生き返るのか!よかったぁー!」


「何甘えた事抜かしてやがる!いいかー?テメエらはよー?生き返りはしねえ。新たな人生を送るんだよ。たった一人だけな」


意味わからんがとりあえず、ここに居る誰かが新たな命を授けられるらしい。


「そしてその人物の名は!夜神月優おまえだぁ!」

知ってた。主人公舐めんな。


「どうして俺なんですか?生きてた頃の行いですか?」

自分で言うのはなんだが、行いは良かった方だ。


「いや。出席番号最後だし、こいつで良いんじゃね?ってノリだな」

「……」

「そう落ち込むなや!世の中ノリと勢いだろーがよー?」

生き返るのは喜ばしい事だが、腑に落ちないのは何故だろうか。

「んでだ。お前にはミッション的なんがあるんだよ」

「なんですか?」

「お前はこれから神界に行ってもらう。女神彼女にして、戻ってこい」

出席番号で決められて生き返れないこいつらの不満そうな顔もわかる。だが、一番不満なのは、おれって事に気付けよ。こう見えて、生まれてこのかた女の子の手を握った事もないし、童貞だ。そんな俺が女神様を彼女にするなんて、蝉が1ヶ月生き延びるより無理な話だ。

「い、あ、お、俺?」

「お前が選ばれし女神とイチャイチャできる男だ!」

「女神と、イチャイチャ……お、俺!やってみます!」

「そうこなくっちゃ。じゃあな」

は、早!説明何も聞いてねえ!ってもう遅いらしい。目の前のオールバックがいつのまにか、太陽に変わっている。お日様なんてどうでも良い。なんちゅうとこに転送したんだ。ここ、上空じゃんか。

喉を痛めつけながら、急降下している。まあ要するに、悲鳴をあげながら落ちているわけだ。

「うわぁぁぁぁぁ。どへぇ!」

強く叩きつけられるような感覚に襲われたが、大袈裟に上空から落とされ、地面に叩きつけられたが、それに反比例する程に、痛みを全く感じない。

身体を見渡せど、傷一つない。あるのは、赤く染まった視界だけだ。

「……」

声を出そうとしたが、どうやら、悲鳴をあげすぎて喉がいかれてしまったらしい。声一つ出ない。

気がつけば、声だけではなく、体も動かない。視界も赤色に染まっていく。どうやら俺は、死ぬらしいな。残り僅かな余命を楽しもう。

「大丈夫……?」

甘く優しい声で包み込まれるのを、経験した事はないが、分かる。

「辛いのね。楽になりたいのね」

何怖い事軽々く言ってんの?馬鹿だの?

とりあえず俺は、首をブンブンと大きく振る

「違うの!?じゃあ……えっと、、死にたいのね!?」

「さっきと変わってねえわ!」

「なんだ。喋れるじゃない〜。私てっきりあなたが喋れないと思ってたわよー」

あれ。そういえば声が出ている。それどころか、赤く染まっていた視界もいつの間にか元どおりだ。何者かは分からんが、感謝してもしきれぬくらいの恩がある。

「喋れな、かったんだ。けど君のおかげで、声がでる。目が見える。当たり前のようだが、決して当たり前じゃない。この現実が嬉しいよ」

「それは、何よりね。けど、あんなところで寝てるなんてどうしたの?」

「それがだなー」

今までの経緯を説明すると、信じられないことに大爆笑だ。全く人の命をこの女はなんだと思っているのか。それにしても美しい人だ。

サラサラとしたみかんのような淡いオレンジ色の長い髪に、凛々しいという言葉を贈りたくなるほどの、凛々しさを持つ目、シュッとした鼻に整いに整った美形。これを女神と言わずなんと言うのか。

「自己紹介がまだだったわね!私は大天使ミカエル様に元で修行している、女神見習いです!」

ほんとに、これを女神と言わずなんと言うのやら……。

「め、女神様!?」

「そうよ!まあ、まだに習いだけどね?」

「いや、にしても凄えよ!俺なんか、女神目指そうだなんて思わねえし、つーかなりてぇとも思わんからなー、だから、なんつーか!凄えよ!」

「褒められてるのか貶されてるのか、分からない言い回しはやめてほしいものね」

我ながら、初対面の女神様と話せるなんて、あっぱれだ。こう見えても極度の人見知りの俺、夜神月優である。


とある宿にて。

「あっ。ダメ。そんな……いきなり、」

「いいじゃねえか。減るもんじゃねえんだから。それに、最初にふっかけて来たのは、あんただろ?」

「で、でも……そんな、こんなの、あっあっあっ」

優しくさっと撫でるように触ると、とてつもなくいやらしい声が口から溢れる。無我夢中に触ってると、ザラザラしたところに辿り着く。

「あっ。そこそこだめー!」

「ちょっと待たんかい!え?何?女神にとって羽って性感帯なの?やめてくれる?俺主人公らしからぬ事してる見たいじゃん?やめて?」

ラッキースケベならともかく、ガッツリスケべは何かとまずい。如何発情期の子が見たら、ガンダムを発信さしてしまう恐れがある。それだけは避けなければいけない道である。

「女神にとっての、羽は、人間で例えると、おへそみたいなものなのよ?」

「え。お前へそが性感帯って事?そういうやつなの?」

「みたいなものよ!別に私にもへそくらいついてるわよ!」

へそを触るだけでいやらしくなるなら、二度とそんなことができぬように、へその緒を埋めてやりたいくらいだ。

「その羽によー?人間界にある、祝福の差物を埋めてやろうか?」

「祝福の差物?なんて、女神にふさわしいアイテムなの!是非とも埋めてほしいわ!」

バカが一人居たわ。無知って怖いとつくづく思わされる、俺である。

「あぁ。いつかあんたと俺の子のへその緒埋めてやるよ!」

「そうね!私とあなたの子のへその緒をってええええ!?あんた私と結婚するの!?いつよ!」

さり気ないプロポーズできゅんきゅん大作戦だったが失敗したらしい。このアホ女神には、なんでいきなりプロポーズしたのかより、いつ結婚するのかの方が気になるらしい。

「日程は二人で考えて行けばいいんじゃないか?二人の事なんだしよ!」

こいつ案外ちょろいな。このまま女神の股にゴールインできたりしたりしてな。

「何言ってんの?身分をわきまえなさい。一介の人間如きが、女神と結婚ですって?笑わせないでくれる?私とあなたでは、身分以上に致命的な違いがあるのよ?何か分かる?」

「顔面偏差値!」

「それも圧倒的に私が勝っているけど、違うわ。認知度よ。女神は古くから、男を支える存在として伝えられて来たのよ。つまり男は自分よりも、認知度が高くなくてはならない。女神ってだけでネームバリューがすごいのに、それに加えて私よ?あんたが、神レベルの男じゃないとね〜」

どうやらこの女自分が、女神になれれば、神を脅かす存在になると本気で思い込んでる頭の痛い女神らしい。

けどまあ、言い返せないところもあるな。ネームバリュー。たしかにそれは圧倒的な差だ。こいつの計算では、神レベルの男じゃないと釣り合わないらしいが、実際のところは、女神の同等の職についた、それなりの男が望ましいだろう。神レベルなどこいつには贅沢極まりない。おこがましすぎるわ!

「分かったよ?お前に釣り合う男になった時、その時こそ本当にー」

「おこがましいわ。たかが一介の人間が、神レベルになるなどおこがましいと認知しなさい!あなたはせいぜい、1クラスに一人はいる隅っこ暮らし程度よ!わきまえなさい!」

どうでもいいがこいつ、品の良い女神から、毒舌吐く魔女になってね?

てか一介の人間とか言うの辞めてくれない?心に刺さるわ!人間で良かったと思ってた俺が馬鹿みたいに思えてくるわ!一介の虫なんて、虫にすら言ったことないからな!?ほんっとに、その言い方辞めて!

「ならどうすればー」

「答えは簡単よ!」

返事速!絶対待ってたわ。その証拠にこれでもかっ!ってくらいに待ってました!って顔してるし、してやった感を出すな!惨めになるわ!お前が。

「貴方も、私立女神学園に入学しなさい!」

「え……ええええ!?」

「何よ、その反応。文句あるの?」

「いや、俺男だぜ?なのに女神学園なんて入れるのか?」

「私立女神学園には女神コースと男神コースというのが存在するのよ。貴方は、男神コースで序列1位を取りなさい。そうすれば、結婚してあげてもいいわ」

どうでもいいが、私立らしい。

女神と男神って、もう女優、男優にしか見えん。

けど、光が見えてきた。どうやら、その学内で序列1位を取れれば、俺は転生できるって事だよな?来世はイケメンになって、経験人数3桁行きたいもんだなぁ。童貞だしなぁ。

「なあ?序列1位を取るのは良いんだけどよ?どうすれば、序列が上がるんだ?」

「人気投票ね」

「基準は?」

「顔と人気ね」

結局顔じゃねえか。

正直前世では、モテなさすぎて、たった一人自分の事を思ってくれる人がいればいい!と思っていたが、今回はそうはいかん。沢山の人からの支持を集めて、人気になってイケメンを超えなければならない。

ポテンシャルはイケメンには負けてないよ?負けてるの顔だけだから!ほんと、顔で決められるとまぢで嫌だわ!

ー春風香る朝ー

俗に言う出会いの季節を感じさせる、香りだが、実際のところ、コンクリートが雨に濡れて、独特の好き嫌い別れるあの匂いだ。

「全く。感謝しなさいよ?私が貴方を推薦してようやく入れるんだから!」

返す言葉もない。編入試験では、欠点を取り、面接では居眠りと印象最悪の、俺を推薦入学をさしてくれたのは感謝だが、何を間違ったのだろうか。

胸元はネクタイ……ではなく、可愛いリボンがつけられており、足元はスースーと通気性抜群の、というか足元は、風から身を守れていない。

丈何センチ以上と書かれた紙が、ポストに入っているのは、どうしてだろうか。

「感謝しなさいよ?じゃあねえよ!なんで、女神コースに入れちゃったの!?絶対浮くよ!?新鮮な女神様の中に、ただのコスプレしてるだけの男くるんだよ!?」

「だ、大丈夫よ?違和感……な、ない、わよ?」

「違和感しかねえわ!てか違和感以外ないわ!」

「ほ、ほら!制服も可愛いし。ね?ここ以外とスカートの丈短めも許されてるのよ?」

「それで喜ぶんはギャルと男子教員だけだわ!」

これで違和感無かったら、転生したら、女装して、女風呂行こ。

「ほ、ほら!早くいかないと遅刻するよー!」

「……。不登校なりテェ」

と、まあ俺の女装コスプレ学園生活が始まったわけだが、以外にもウケてハーレムを満喫したりしている。

「ちょっと!優!!あんたまた、シルフの弁当食べたでしょ!」

精霊なのに、女神だったりするシルフである。

「だってよー?こんな唐揚げ見た事ねえんだぜ?」

「そ、それは、モグラの肉を、10種類以上のスパイスを使って臭み抜きした、極上の肉を使った、モグラの唐揚げです」

魅力的でしかない。後でうがいしてこよ。

「精霊族はね?そうやってどこに魅力があるのかよく分からない肉を食べるのよねー」

「み!魅力はありますよ!ひどいですよ……ペルセポネさん……。あんまりです」

本人的には、魅力あるらしいから、もう魅力的って事でいいのではないかとは思うが、ハッキリどこに魅力があるか分からないと言ってしまった。

傷ついたんだろうな。声が震えているどころか、身体まで震えてんじゃねえか。可哀想に。

「そ、そんな事あ、あー」

「あーもういいわ!生まれて初めて、こんな美味い、モグラ食べたよ」

嘘はついていないのに、どうしてだろうか。罪悪感と虚無感に蝕まれている気しかしない。

「「「きゃー!アテナ様よ!」」」

別の生徒とはえらい違いの人気だ。女装生徒より人気とは何事かと思うが、それも納得してしまう。何しろ、俺の命の恩人アテナは、学内に四人だけ存在する四女神の内の一人だ。そりゃ人気だわな。

そして俺は、少し遅れた、編入式を迎えている。



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