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S・O・S2 ※

一年過ぎて再び「メイドの日」のSSでした。


 前世で僕がまだ柔道に出会っていない幼少の頃、弟が特撮にハマっていたので、家族四人でよく遊園地でやっている特撮のイベントを観に行っていた。

 子供向けだからこその勧善懲悪。けれども、敵は客を人質に取るのだ。


 ――今の僕と全く同じで。


「黙って大人しくしていれば、悪いようにはしないから!」

 ただ、人質であるはずの妹の方が、積極的に僕を説得してくるんですけどね。

「いや、あのさ、アル」

「動かないで!私がどうなっても良いの、イオは!?」

 むしろ、どうなんるんだろうと逆に気になるんだけど……じゃなくて。アルを人質にしたノアの微妙に楽しげな顔が許せない。いや、これも違うか。

「観念しろ、クソガキ!」

 いや、だから観念するとかしないとかいう問題じゃなくて、あーもう!

「……あのさ、この茶番劇、一体いつまで続けるつもりなの」

 っていうかさ。

「これ、何」

 朝、目が覚めて。微睡みの中、アルの声がしたかと思えば、サラによって突然身ぐるみを剥がされて。あれ?これって、前にも同じような事が――――なんて思ってたら。

「侍女服、括弧、パートツー、だよ!」

 

 またもや、メイド服を着せられてるのは一体どういう事なんだろうね?

 

 しかも、パートツー。パートツーって何なの、一体。

 はあ、と重たいため息が口から出るのは仕方ない。ベッドの縁に座って脱力していると、アルには通じたのかああ!と相づちを打ってくれた。

「立ってみてよ、ほら」

 ほらほら、と促され、仕方なく立つ。


「ねっ!今回は、スカートの丈が長いでしょ!」


「……長いね」

 確かに長い。

 今回は踝までの長さだけどさ。

 残念ながら、僕が聞きたいのはそこじゃない。

「今回はちゃんとイオの要望に応えたんだよ!」

 えっへんとアルが胸をはって言ってるけど、扉の入り口に立ってるサラから微妙に自慢げなオーラが見えるからきっとサラが縫ったんだよね?えっ、僕は褒めた方が良いの、これ?

「私的には前の方が好きだったんだけど、そういう大人しい感じも似合うよね」

「……」

 お礼なんて言わないからね。察してよね。

 まあ、けど。確かに、前の膝丈よりかはマシだと思う。鏡を見た訳じゃないから全体図が分からないけど、レトロなメイドって感じで清純そう。服。服だけ見てだよ!別にこの服を着た誰かを想像したわけじゃないからね?

「それで?」

 どうせまた母上やエルたちが来るんでしょ?という思いでアルを見れば。

「それがさ、この前ついうっかりコルネリオ様に話しちゃって」

「えっ」

 いやいや、ちょっと待って。

 それはない。それはないって。

「……もしかして、だからあんな茶番をしてたの?」

 アルの命が惜しければ黙ってついてこい、とでも?

「可愛い侍女にお給仕してもらいたいって言ってたから」

「かっ!……いや、アル……っ、くっ、う……っ!」

 この、僕の葛藤がご理解できるだろうか。

 可愛い侍女が欲しいなら女装した僕を見なくてもコルネリオ様なら選びたい放題でしょうに、の後に、それならアルがやってあげたら良いじゃない、という言葉が出そうになったんだけど言えなかった。言えなかったよ!だって、僕はお兄ちゃんなんだから!

 だって、アルのメイド服姿を僕だってまだ見てない!見てないのに、コルネリオ様に見せるのは如何なものかなって思ったんだからしょうがないじゃないか!うわーん!妹の晴れ姿を真っ先に見たいと思うのは当たり前でしょ!?

「えっ、イオ、どうしたの?急に頭抱えてのたうち回って」

「ごめん、取り乱して。ちょっと、これには深い事情があってね」

 だけど、絶対言わないけどね、という思いでアルを見れば、その後ろに立っていたノアが理解を示すが如くゆっくりと大きく頷いた。

 やっぱり!ノアは分かってくれている。さすがはアルに忠誠心を持っているだけある。まさか、君と同じ意見になる時が来るとは思わなかったけど、やっぱり君も人の子なんだね。

 同じアル好きとして共に戦おうじゃないか!と僕も同じように頷き返す、――と。


「お前が犠牲になれば丸く収まる」


「…………は?」

 今、なんて言った?

「行くぞ!さっさと済ませれば問題ないだろう!」

「大ありだよ!ばか!ちょっ、放して!」

せ、せめて、上に何か羽織らせてーーーーーーという僕の絶叫で、それを聞きつけてやってきたセラフィナとエルにばっちり見られたのは……一生秘密にしたい。


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