4 バー『T』
東京24区の北に位置する美菜崎区。北区と豊島区に挟まれ、美菜崎駅を中心に劇場や水族館、広い敷地を持つ公園などの施設からレストランやカフェ、バーなどの飲食店や洋服店靴屋着付け教室ネイルサロン服飾店本屋などなどが展開され、『なにか欲しいなら五万持って美菜崎へいけ』と言われるほどあらゆるものが豊富な都市。
そんな街の中心部──からはややずれたところに佇む静かなバー『T』。ここは夜はバーだが、昼間は明るく洒落た雰囲気のカフェとして経営されていた。午後1時30分のお昼時で込み合う時間、客は大抵二回のカフェ専用ルームに通され、一階は夜に向けて少しずつ用意を始めていた。
しかしどこか様子が可笑しい。円形のテーブルの一つには何故か冬の味方になってくれそうな分厚い花柄の布団と毛が潰れていないカーペットが積み重なっていて、磨かれたカウンターの足元には炬燵が置かれている。そのカウンターに座る二人の女の内一人は生気が抜けたように顔を突っ伏し、もう一人はその様子を笑いを堪えながらスマホの写真に納め──カウンターの向こうに立つバーテンダーと思わしき長身の男は爆笑していた。
「アッハッハッハッハッハッッ!!!」
ガタイのいい体に見合った腹筋を最大限に使ったその空気砲にも似た笑いは部屋に響き建物を揺らした。恐らくでなくとも二階の客まで聞こえている。店員の「大丈夫です、地震ではありません!」という声が聞こえた。
涙目のバーテンダーがひぃひぃと引きった声を上げながら腹を抱え「ふぐっ、ごめんね」と、突っ伏している女──クレイシに笑ったことに対しての謝罪する。
「いやでも、フフッ、炬燵を? 抱えて? ここまで歩いてきたの? 日曜日の都心のど真ん中を?」
「肩に炬燵、右脇に布団だったよ」
バーテンダーの問いに写真を撮っていた女──レイが画像を確認しつつ答える。
「ぶつからなかったの?」
「クレイシ背が高いから。あ、でも途中で炬燵が木に引っ掛かってた」
再びバーテンダーが笑い出す。背後に陳列されている色とりどりの酒のボトルが振動でカタカタと揺れていた。二階で店員が「うちの店主の笑い声なので安心してください! 地震ではありません!」と叫んでいる。
バーテンダーの笑いが治まる頃、クレイシが幽霊のような動作で顔を上げる。目が完全に据わっていた。
「鈴彦……なんかこう、一瞬で記憶が飛んでいくようなお酒ありませんか……ウォッカとか……」
「あるけど、記憶が消えても記録は消えないんだよクレイシちゃん……フフッ」
自分の仕出かしたことを忘れ去ろうとしているクレイシにバーテンダー──橘鈴彦が未だ声を震わせながらもっともらしい忠告をする。それは的を得ていて、恐らく既にどこぞの若者がクレイシの様子を撮って『なんか炬燵担いでる人いるww』という文と共にTwitteに投稿しているだろうことは想像に容易かった。そこまで察しのついたクレイシは見付けたら盗撮で訴えてやることを心に決めポケットから煙草を取り出す。
「安い安いとは思ってたけど配達出来ないからとはねー。家具屋なのにそんなことってある?」
「おうちじいさんてあの三角のコンビニ曲がったとこの路地にあるお店でしょ? 人嫌いで有名だし、あの路地じゃあトラックも入らないんじゃないかな」
「なんで家具屋やってんだろ……?」
「趣味……かな……?」
鈴彦とレイの声を聞きながらクレイシは煙草に火を付けた。オーソドックスな煙草の旨味、と言われる銘柄の煙を胸に吸い込むといくらか気分が落ち着く。ふとケースが軽いなと中身を確認すると残り二本になっていた。
──とんでもない買い物だった。
吐き出した煙が視界を濁すと数十分前の記憶が甦る。おじいさんから告げられる衝撃的な事実。「いいんじゃない?」という能天気なレイの発言。配達不可能でも魅力的な値段。そして決断。その結果好奇の目に晒された20分。晴れ渡る空。木の枝にひっかかる担いだ炬燵。気にしないレイ。そして気遣いもなにもなく笑い飛ばされた現在。
「それでご注文は?」
意見を求めるような鈴彦の声で我った。
ふと目の前には、この店のメニュー表が開かれている。どうやらレイが設置したらしく、その本人は「ラララオムライス~」といかにも今作ったような適当そうな歌を歌っている。それを見て、クレイシもオムライスを注文した。
「飲み物は?」
「カフェオレ!」
「コーヒーで」
それぞれレイとクレイシの言葉を鈴彦は笑顔で受け取る。すると入り口近くにある階段まで歩き、二階に向かって
「海老名君! ちょっと来てー!」
と、普通の大声の声量で誰かを呼んだ。
程無くして階段から誰か降りてくる音がして、一人の男が姿を現す。20代後半の、クレイシや鈴彦と大して年の変わらなそうな男だ。眼鏡をかけていて、真面目そうな面をしている。
鈴彦はその男と二三言言葉を交わすと、男を再び二階へ送り出した。
戻ってきた鈴彦にクレイシが首を傾げる。
「バイトですか?」
「いや、一応正社員みたいなものだよ」
「ああ道理で。年齢が合わないと思いました」
「まあ入ったのはつい最近だけどね」
はて、働き始めたばかりなのに正社員とは。
それにこのバーは基本的に鈴彦一人で切り盛りしていて、昼間だけアルバイトを雇っていると思っていたが違っただろうか──そこまで考えて、クレイシはまあいいかと疑問を持つことは止めた。面倒だったのと、特にそれ以上今の話題に興味が無かったからだ。
その後10分ほど、鈴彦が出したカフェオレとコーヒーをお供に最近駅前に新しいスターボックスが出来たのだの遊園地で観覧車が止まった事故があっただの禁煙&嫌煙ブームが凄いだのという話をしていると、二階から先程の男が降りてきた。両手に湯気の立ち上るオムライスを持っているのがわかると、レイがパッと花が咲くように笑顔になる。クレイシも吸っていた煙草を灰皿に押し付け火を消した。
「お待たせいたしました、タチバナオムライスです」
店主である鈴彦の名前が由来になっているオムライス──そのわりに作るのは鈴彦とは限らない──が二人の目の前に置かれる。綺麗な楕円形の卵がくるっとチキンライスを包んでいて、その上には皿に少し垂らされる形でかけられた赤々としたケチャップ。胃を刺激する温かなトマトケチャップとチキンの匂いが二人に直撃し、ではではと一緒に運ばれたスプーンをレイが手に取ったとき、それをじっと見詰める視線があった。
「……?」
気付いたのはレイ本人ではなくクレイシだった。
視線の主は、今しがたオムライスを運んできた例の男だ。最近入ったばかりだと言っていたし、自分の作ったものを食べてもらうことに緊張しているのだろうかと最初は思ったがどうやら違う。日本人らしい褐色の瞳はオムライスというよりレイの顔に照準が合わせられている。確かに彼女の顔は誰もが見入ってしまうような、目が離せなくなるようなつくりをしているがそれにしたって見過ぎだ。
レイは気付いているか──と男から目を離し彼女を一瞥すると上機嫌にケチャップをスプーンでオムライス全体に塗り伸ばしている最中だった。
「……あの、どうかしましたか?」
さすがに気になり声をかける。昔からの馴染みである鈴彦が目をかけているらしいため心配はないと思ったが、その美貌と普段の行いからなにかと男絡みのトラブルが多いレイのことを考えてのことだった。
男はハッとして「あ、いえ、すみません」と答える。レイが口にスプーンをくわえたまま不思議そうに顔を上げた。
「その、昨日の夜来てました……よね?」
──昨日の夜。
レイのアルバイト前の話だろうかと推察する。
「……ああ! うん! あっそっか! エビさんだ!」
男の言葉にレイが思い出したように声を上げるが、クレイシは突然出てきた海の仲間の名前に眉を寄せた。
「エビさん?」
「言ってたじゃん新しく入った人って! この人だよ!」
「あのカニとかエビとか言ってた……?」
「そーそー! エビさん!」
「え、本名ですか?」
「あ、あ、海老名です。海老名健成」
芸名かなにかかと疑ったところで本人──健成が焦ったように名乗る。
「はぁなるほど。海老名……歌舞伎役者みたいな名前ですね」
「よく言われます」
「そっかーいたねー昨日。昼も夜もバイトしてるの?」
「いや、昨日は昼用事があったんで夜に出たんです。その、二日連続で来てたんで常連さんみたいな感じなのかと」
「あー、私とクレイシはよくここ来るよ。でも昨日は呑みにきたっていうより相手を探しにきたというか……」
「あっそうだレイちゃん!」
グイグイと健成に質問を続けるレイに、それまで三人の会話を見守っていた鈴彦が声をかける。その、もうすぐ三十代の男が怒ってますと表そうとしているのか片頬を膨らませた。
「僕のお店でバイト相手誘わないでよ! 怖いことに巻き込まれたらどうするのさ!」
おっと、とレイの顔に気まずそうな苦笑いが浮かぶ。
『アルバイト』。通称してそう呼んでるが、「男をホテルに連れ込んでシャワー中などに金品を盗み去る」という立派な犯罪行為のことだ。当然バレたら警察に突き出されるだろうし、故に危険が伴う。それを馴染みの──週に一度は必ず行くような──店でやるのは店にとってもレイにとっても危険なことだった。
「別に、僕はどんな人がここに乗り込んできても、例え銃撃戦が始まっても大丈夫な自信があるけどね、レイちゃんはただの可愛いだけの子供なんだから。よくいく場所で恨みを買うようなことしたらいつか自滅するよ」
「いやなんというか、タイミングというか。他にお金持ってる人いなさそうだったし」
「……そもそも昨日は私が稼ぐ日でしたが」
クレイシが口を挟むと「あは」と苦笑いが深まる。
「ちょっと」
カタリ。レイがスプーンを置く。
「私」
ガタタ。次に席を立つ。
「お手洗いに」
ピュッ。そしてカウンターの後ろにあるトイレに足早に向かった。
「あっ逃げた」と鈴彦。
「レイ、食べ終わってからじゃないと行儀悪いですよ」
クレイシの口先だけの注意は届かず、レイはさっさとトイレに籠ってしまった。「まったく」と溜め息を吐くとスプーンを口に運ぶと、ケチャップが少し口からはみ出し、それを舌先で舐め取る。その自分の一連の行動とトイレに逃げた相方を交互に見る視線に、
「妹ではありませんよ」
と返すと、不意打ちを食らったように視線の主──健成──が「えっ」と声を上げた。それに鈴彦が苦笑する。
「二人は恋人だよ」
「え……恋人?」
「なにか問題が」
あっさりと関係をばらした鈴彦を睨みながら放った言葉尻がやや強くなり心の中で舌打つ。「直ぐに喧嘩腰になるのはクレイシの悪いところだよねぇ」と先日レイに言われたことを思い出したのだ。
しかし、苦く笑うか気まずげに黙るかだと予想した健成の言葉は「はぁ」から始まり、
「式はフランスですか? イギリスですか?」
「……はい?」
「いえ、日本だと結婚が……あ、渋谷だか新宿だかならいいんだっけか……? けどまだ世間の目がありますし、その顔ですとまたマスコミが騒ぐかもしれないんで、やっぱり海外がオススメですよ」
──しき。
しきとは。
死期……?
そこまで考えて、いや恐らく違うとクレイシは冷静になろうと頭を振った。
「……ええとあの、何が言いたいんですか?」
「……? ああすみません、もしかして早とちりでしたか? 家具を揃えてるみたいなので、結婚を考えているものだと……」
そう言う健成の視線の先には、例の炬燵がある。
ごけっこん。ようやくクレイシの思考が内容に追い付いた。
健成は、クレイシとレイがどこで結婚するのかという話題を振ってきているのだ。
「……いや……今のところ、そんな予定は……ないですね……」
しどろもどろに口から出した答えに、健成が「そうですか」と素っ気なく返した。
世間話のような、客への愛想として聞いたような態度だった。
「上を手伝ってきます」
健成は鈴彦にそう告げるとクレイシに一礼して二階へ上がった。
「…………」
──今のは一体。
答えを求めるように鈴彦に視線を向けると、そのバーテンダーは眉を寄せて悪戯っぽく笑った。
「変わってるでしょ?」
「……なんで貴方が気に入ってるのか理解しました」
クレイシはスプーンで半熟の卵とチキンライスを同じ比率になるように掬い、口に入れた。
そうしてもくもくとオムライスを消費してると、普段は食べている最中に度々声をかけない男である鈴彦に「ね、」と声をかけられた。
「いい加減教えてくれてもいいんじゃないかな」
返事はしない。口を動かし続け、視線だけで続きを促す。
「レイちゃんのこと」
やはりそれか、とクレイシはまた答えない。冷めてきた卵が舌を撫でた。
「夜は照明薄暗いから気付かなかったけど、随分と若くない?」
クレイシは答えない。
「『レイ』って本名? 君のことも『クレイシ』って呼んでいたけれど、本当に恋人なのかい?」
クレイシは答えない。
「そもそもどこで拾ってきたの、あんな子」
クレイシは答えない。
スプーンで掬ったオムライスの一角。卵だけが滑り落ちて、皿にぺちゃりと行儀の悪い音を立てる。
その態度にさらに鈴彦が口を開こうとしたとき、クレイシが「朝瀬ビルの側です」と呟いた。
「え?」
「中央公園を突っ切った先に昔火事のあった廃ビルあるでしょう。そこのすぐ側で、会いました」
美菜崎区中央公園を抜けて真っ直ぐいったところに、無人のビルがある。
何年か前に大火事になり全焼し、放置されたものらしい。最近になってようやく建て替えの話が出たらしく灰色のシートと鈍色の鉄筋に包まれていて、そこそこ高い建物だったこともあり開けた場所から見れば「あれが火事のあったビルか」と誰でもすぐにわかる。
それがあるのはこの美菜崎区の端も端、そのビルから数歩進めば隣の豊島区に着く。
「──、」
それがどういう意味を持つのか、
鈴彦は即座に理解した。
「街を、出ようと思ったの?」
信じられないと訴える声色で問われる。クレイシはまた答えず、舌で卵とケチャップと米が混ざったそれを転がした。我慢がならないというように鈴彦がカウンターに身を乗り出したとき、
「恋人では、ないのかもしれません」
クレイシが空にそっと置くように言った。
弱々しいとか自信がなさそうというわけではなく──本当にありのままを伝えるような口調だった。
「ただ、あの子の明日が欲しいんです」
「……明日?」
そのとき、トイレに続く扉が開いて、レイがひょっこりと出てきた。
途端、オムライスを見詰めるように顔を伏せていたクレイシがパッと顔を上げる。そうして、いつもの気だるげな流し目とつまらなそうな表情をして、呆れたような声で「冷めてしまいましたよ」とレイのオムライスを指す。
「えへへ……」
レイはその可愛らしい顔で誤魔化すように笑みを作る。その中に一欠片の申し訳なさが混ざっているのを見て取ってか、クレイシはそれ以上叱るような言葉を発しなかった。
「レイちゃ──」
鈴彦が、口を開いた。それにクレイシが睨み付けるように目を向ける。そこそこガタイのいい成人をとっくに過ぎた男は、高い身長ではあるが細身で一挙一動に力の入っていないような女のその射殺さんばかりの眼光に戦く。
「黙れ」。女は長い金色の前髪の奥でそう口を動かす。
「うん?」
名前を呼ばれっぱなしで放っておかれたレイがオムライスを口に詰めながら小首をかしげ会話を催促する。鈴彦は一瞬言葉を詰まらせると、
「その……どうしていきなり、炬燵なんて買おうと思ったの?」
当たり障りのない世間話を振った。眼光はもう鈴彦を捕らえなかった。
あー、と、高くも柔らかい独特の声色が間を埋める。
「あんな血行の悪そうな足見ちゃうとねー」
「あし?」
「クレイシの足」
「私の足がなんです?」。クレイシが心当たりがない、という風に首をかしげる。
「最近見てて思ったけどさぁ、クレイシの足って凄い青白いんだよ。触ると冷たいし。やっぱあの部屋炬燵が必要だなって」
言われて、思わず自分の足を見るクレイシ。ローライズのジーパンに包まれて当然肌の色は見えないが、日頃の不摂生から同い年の女と比べればあまり良くない色をしているだろうことは想像出来た。
しかしレイが自分自身のためではなく同居人を思って炬燵を買ったというのは、当のクレイシにとって意外だった。てっきり面倒がる風呂の変わりに炬燵で温まろうなどと考えていると思っていたのだが、どうやら違ったらしい。──自分のためか、と、ふと確認するように頭の中で復唱する。なんとなく組んでいた足をもぞもぞと組み換えた。
「……駅前のケーキ屋寄って帰りますか?」
「えっ? いいの? どしたの?」
「私が食べたい気分なんです」
クレイシの返答にレイが目を丸くして笑う。
ここら辺の人間にとってケーキと言えば駅前の『すとろべりー』というケーキ屋の苺のショートケーキが一等美味しいのだが、人混みを嫌うクレイシは基本的にそこに寄ろうとしないため滅多に買いにいくことはなかった。それが突然行くことになり「なんか知らないけどラッキー!」と言いながら財布の中身を確認し始めたレイを、クレイシは伏せた横目で見詰める。
──いや、違う。
嬉しそうなレイの横顔に一瞬胸は満たされたが、なんとなく靄がかった気持ちが残る。
──もっと別に言うことが……。
もぐぐ、と何度か口を動かすとケチャップの味がした。それをきっかけに、クレイシは再び唇を離す。
「あの」
「ん?」
いくつ買おうか数えていた彼女の指が四本折られたところで、少し掠れた声をかける。
「ありがとう、ございます。炬燵」
レイの顔が一瞬呆け、その幼い印象を強める。しかしそれはすぐに口角を上げ、
「いいよ──クレイシには来年もあるんだし!」
そう──笑みを取り戻した。
どう見ても子供のような、邪気のない、他意のない、真実の笑みと言葉だと──クレイシは理解している。
「……ええ、そうですね」
「ね、クレイシはケーキなに買うの? 私はねー、苺とーチョコとーあと雪だるまの形したやつがあるんだって! ちょっと早すぎだと思わない? まだ11月なのに」
「私は、……苺ですかね」
はしゃぐレイに当たり障りのない言葉をぼんやり返して、クレイシは、目の前の景色が僅かに歪んで渦巻いたのを感じた。
──『レイ』。
名字も知らない、名前の字も知らない、それが本名かすら怪しい、その同居人。儚げな風貌と黒くうねった髪を持ち、あるときは完成された女性のような静けさを、またあるときは無邪気な子供のような騒がしさを見せ、大人と子供の中間地点に立っているような不安定な印象を与える少女。
ただ一つだけクレイシにわかることは──彼女が『明日』を持っていないということだけだった。