第1話 黄色い人と仲間たち その1
2回目の投稿です。できる限り週に一話あげていこうと思います。よろしくお願いします。
今日も一日、ギルドで商品取引カウンターでアイテム鑑定の手伝いをしていると、受付嬢の一人『ウェルチ』が、いつものように呼びに来た。
「カレン来たよ。特別窓口に一品。」
特別窓口、それは遺産や意味不明の物等の鑑定専門の窓口である。
「は~い。今日は、遺産だといいなぁ~。」
「期待はしないほうがいいわよ。持ってきたのは、ガラクタ市場のゴミ屋のクランプだから。」
ゴミ屋のクランプはガラクタ市でもゴミと呼ばれるものばかり専門に取り扱っている変わり者だ。先日持ってきたのは、100年ほど前の錆びたスプーン価値は古いだけだった。要するにゴミ。
「今日は、何のゴミかな?」
何一つ期待のない客のもとにそう言って向かう。
「カレン嬢ちゃん聞こえてるよ。」
クランプはそう言って少しひきつった笑顔をしていた。
「で、今日は何?」
「今日は当たりも当たり!この魔力が通せるなんかの金属製の箸。」
そう言って出された箸はどこにでもある銀製の箸、錆びないから長く使えるために一般家庭でもよく使われているものとあまり変わりがないように見える。スプーンの次が箸とか、ハズレとしか思えないけど、魔力が通せるなら少しは期待できるのかな?
「それじゃあ、見てみようか。鑑定。」
右手をかざしてスキルを使うと鑑定結果が脳内に流れ込んでくる。
【浄化の箸】
効果 どんな毒や、呪いも浄化して状態異常も防ぐ。
レア度 アーティファクト
「っ!これは!ウェルチ、マスターと監査官に連絡をお願い。投映の間でお待ちしていますと伝えて。」
「了解!って当たり来たのーーー!」
「大当たりよ!」
そんなやり取りを見ながら、クランプが恐る恐るという感じで訊ねてきた。
「マジ・・・で、か?」
その言葉に私は、笑顔で頷いた。
「よっしゃーーーーーーーーーーーっ!!」
ギルドにクランプの雄叫びが響き渡った。
それから、二時間後、投映の間。
その場には、私を含めて四人が円卓を囲むような形で座っている。円卓の中心には穴が開いていて床から天井付近まで垂直に円柱状の巨大な水晶がたっていた。四人のうちの一人『ラジット』監査官と呼ばれている男が落ち着いた雰囲気で言った。
「それでは始めてくれた前、カレンさん。」
そう言われて私は箸に対して、右手をかざして、
「深層解明。」
のスキルを使った。続けて、水晶に手をかざして、
「投映。」
と、スキルを唱えた。直後、水晶は反対側も見渡せるほど透き通ったかと思うと薄っすらとどこかの家のリビングを映し出した。
「これが、噂の投映か・・・。」
クランプは、緊張してみていた。それは自身が見る初めての黄伝の語る時代の風景だからだ。
「ほう、黄色い人の家か当たりだな。」
私の隣にいたギルドマスター『レイドック』が興味深そうな表情でつぶやいた。
そして、よく見ると映し出されたリビングのソファーには、何やらどこか土木作業員のようなズボンと胸が窮屈そうなランニングを着て顔に頭にでも巻いていたらしいロングタオルが乗せられている女性が横たわっていた。
「神匠ボルト様ですね。」
そのことに気付いたラジットが、手元のメモに記録を取りながら、女性の名を呼んだ。
『神匠ボルト』黄色い人に仕えていた従者の一人とされ、数多くのアーティファクトを創りあげたとされる鍛冶師の神とまで言われている。ドワーフたちの村には必ず御神体が祭られているほどである。
リビングの扉が開け放たれた。突如、飛び込んできた人影は、
『できたかっ!!』
と、鬼気迫る顔で叫んだ。その声に反応して、ボルトの右手だけがプルプルと震えながら上がり、握られていた拳から親指だけが立ち上がった。そして、歓喜の雄叫びおあげた。
『おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!愛してぜっ!!、ボルト!』
その叫んでいる人物こそが伝説の黄色い人その人である。
次回は、黄色い人と仲間たちの箸にまつわる話です。




