「まささん、ねねさんを擁護する」の巻
「ぶっちゃけ言うと、付き合ってるオンナが他人に言えない過去持ちだろうが他人に言えない職業持ちだろうが、俺にとっては実にどーでもいいことなんでね。そんなもんはな、その娘の持ってるいま現在とこれからの人間性と比べたら、全然優先度の高い項目じゃないんだわ」
「言うと思った。拳王さまかよ」
「ネタにされてる台詞だけどさ、突き詰めてくとあの言葉こそ真理じゃね? そもそもさ、過去って奴は人間の土台なわけだ。いまのそのひとそのものに納得できてるんなら、その土台が何でどうやって作られたかにはこだわる意味を見出だせんな。むしろ土台の造りにこだわることで、その上に乗ってる本体を偏って見ちまうほうがどうかと思うぞ」
「その土台がちゃんと建築基準を満たしていれば、だろ?」
「当然。さすがにそこが姉○建築では話の根幹が狂ってくる。そういうところで嘘吐く時点で、俺ならハイ、サヨウナラだ。で、いまのところ、ねねさんは約束破りをしてないし、俺とのルールも守ってる。だったら、あの娘が過去現在において、どんな職業についてようが、どんな経験をしていようが、質悪い嘘さえ吐いてなけりゃあこっちとしては一向に構わんわけだ。ただひとつ、むかしもいまも悪意をもって大事なひとを裏切ってさえなけりゃあ、だが」
「それがおまえの『ゆずれない点』か」
「浮気不倫は心の殺人。ゆずる気はさらさらないよ」
「しかし、浮気不倫は男女の本能、とも言うぜ。俺的視点じゃ、韓国人が日本人より貞淑とも思えんがな」
「ああ、その点なら心配してない」
「その心は?」
「ねねさんが他好きしないって意味じゃないぞ。ただな。あの娘の場合、他に好きな男ができても、昨今の日本女みたいに天秤かけたりは絶対にしない。それだけは確信できる」
「答えになってねーぜ」
「悪い。あの娘が他好きしたとしたらな。俺とそいつと二股かけてどっちがいいか見極めるなんて面倒臭いことせず、即刻俺に三行半突き付けて、その足で新しい男のほうに走ってくよ。間違いない」
「……それはそれで問題ありだと思わんでもないが」
「俺がいいっつーてんだからそれでいいの」